ハムナプトラ3

さて、ワタクシは自分がライナーノーツを担当したサントラ盤についてレーベルのブログでいろいろ
書かせて頂いているわけですが、そういえばまだこの作品について触れていなかったなぁ、と
正月休み中にふと思い出したので、本日は『ハムナプトラ3』について書かせて頂きます。

物語についてはもはや説明不要でしょう。お気楽冒険野郎リック・オコーネル(ブレンダン・フレイ
ザー)とその仲間たちがミイラ退治を繰り広げるアクション・アドベンチャー・シリーズの第3作目です。
今回は舞台をエジプトから中国に移し、ジェット・リー扮する皇帝とその配下の兵馬俑軍団相手に
荒唐無稽なドツキ合いを繰り広げております。

「舞台が中国に移ったら『ハムナプトラ』じゃないだろ」とか(このシリーズの原題は”The Mummy”
なので、その点については問題ナシ)、「エヴリン役がレイチェル・ワイズじゃなくて萎え」とか、
「皇帝が変身した龍の姿は、どう見てもキングギドラだろ」とかツッコミを入れたくなる所も多々ある
でしょう。しかしワタクシが一番気になったのはコレです。

アレックス(リックの息子)がウザい。

前作では可愛らしかったのですが、今回の成人したアレックスは「父親と疎遠」というキャラクター
設定になっているため、何かと言動がカンに障るんですな。いわゆる「主人公の片腕兼足手まとい」
というヤツです。しかも本編では父親以上に張り切って活躍してしまうため、アクションシーンでも
リックが喰われてしまっている印象を受けるのですよ。うーん、これはどうしたものか。

このシリーズのファンは、リックの冒険野郎っぷりやエヴリンとの夫婦漫才チックなやり取り、
義兄ジョナサン(ジョン・ハナ)のコメディリリーフ演技が毎回楽しみなわけですから、むしろ
そっちの方をいつも通り賑やかに描いてほしかったなぁと思った次第です。

この後4作目が作られてもおかしくないようなエンディングだったのですが、その時はぜひアレックスの
出番を減らして(笑)リック、エヴリン、ジョナサンの3人の冒険活劇に戻して頂きたいと思います。

と、まぁ不満もいろいろあった『ハムナプトラ3』なのですが、音楽はなかなか良かったです。
1作目のジェリー・ゴールドスミス、2作目のアラン・シルヴェストリと来て、今回はロブ・コーエン監督の
盟友ランディ・エデルマンがスコアの作曲を担当しております。

エデルマンはシンガー・ソングライター出身という事もあって、メロディアスなスコアを書く事で知られて
いますが、本作もメインテーマのメロディーがまたいいんですよ。
何かこう、冒険の旅に心躍らせるような「前向きな高揚感」とでも言いましょうか。古き良き冒険活劇の
エッセンスを凝縮したサウンドがなかなかアツイ仕上がりなのです。

映画本編ではジョン・デブニーが30分ほど追加音楽を書いておりますが(テスト・スクリーニングの後に
何度か再編集作業を行ったため)、CDにはエデルマンのスコアだけを全30曲/77分収録しております
ので、彼のアツイ音楽を思う存分堪能出来ますぞ。

輸入盤のジャケットデザインは、日本人の美的感覚からすると少々アレな感じなので、シリーズの
ファンの方はランブリング・レコーズより発売中の国内盤を購入される事をオススメします。

国内盤ジャケットには、主要キャストの顔がほぼ全員写ってますしね。

『ハムナプトラ3 呪われた皇帝の秘宝』オリジナル・サウンドトラック
音楽:ランディ・エデルマン
品番:GNCE7034
定価:2,625円