クオリティ高い『47RONIN』の音楽。ジャケ写は国内盤のほうがオシャレです。

47ronin_ost 

先日『47RONIN』(13)のアメリカ国内での興行成績が出ましたが、
何というかまぁ…芳しくない結果ですわね。
この映画、一にも二にも製作費がかかりすぎました。
(1億7000万ドルでしたっけ?)
せめて1億ドル、いや9000万ドルくらいまで製作費を抑えておけば、
ここまでコケたと言われる事もなかったかもしれないのに…。

まぁ興行成績を知ったからと言って、
自分のこの映画に対する評価が変わる事はなく、
「皆さんイロモノ扱いするけど、評価すべき点もある映画」
…という見方は変わりませんのであしからず。

というわけで、今回は自分が一番書きたかった『47RONIN』の音楽について。
この映画、日本が世界最速公開だったわけですが、
サントラ盤はアメリカの公開日に合わせたリリーススケジュールなので、
日本国内の映画公開時期を考えると、
「たぶん日本盤は出ないなー」と思っておりました。

ところが日本盤が急遽発売される事になり、
さらにライナーノーツを自分が書く事になりまして、
慌てて原稿執筆モードに入ったのでした。
キアヌ・リーブス主演作のサントラの仕事がやりたかったし、
スコアの作曲が僕の好きなイラン(アイラン?)・エシュケリだったので、
これはもうお引き受けするしかないと思った次第です。

自分の記憶が確かならば、
エシュケリのサントラが国内盤としてリリースされるのは今回が初だったと思います。
僕はエシュケリ氏のファンでございますので、
彼のバイオグラフィーも『47RONIN』のパンフに掲載されているものより詳しく書かせて頂きました。
特に下積み時代に携わった映画のタイトルなんかは結構面白いですよ。
ジマーさんのあの映画に参加してたりとか。

 

さてこの映画、音楽担当がエシュケリに決まるまで、
2人の作曲家が降板してるんですね。
最初は『ザ・ウォーカー』(10)のアッティカス・ロスの名前が発表されていたのに、
気がついたら『パンズ・ラビリンス』(06)のハビエル・ナバレテになっていて、
結局2人とも降板して、最終的にエシュケリに決まったという感じ。
原因はやはり前にブログにも書きましたが、
まず撮影スケジュールが延びに延びたせいでしょう。
長期間作曲家を拘束出来なくなったせいもあるだろうし、
追加撮影とか再編集を実行した結果、
その時点で出来上がっていた音楽と尺が合わなくなって、
別な作曲家に新規に曲を書いてもらう事態になったのではないかと。
(こういう部分でもムダに製作費がかさんでいったと思われます)

過去に作曲家降板のゴタゴタがあった作品、
例えばマイケル・ケイメン降板のゴタゴタを引き継いで、
10日程度でスコアを仕上げたグレーム・レヴェルの『トゥームレイダー』(01)は、
練り込み不足でメロディー的な盛り上がりに欠ける音楽になってしまいましたが、
果たして『47RONIN』の場合はどうだったのか。

これがですねぇ、すごくいい音楽なのですよ。
作曲家の交代劇なんか全然なくて、
最初からエシュケリが指名されていたんじゃないの?というぐらい。

 

何より素晴らしいのは、
しっかりしたメインテーマ(ライトモティーフ)が存在する事。
映画を観ていると自然にメロディーが入ってきて、
何度か繰り返されるうちにメインテーマを覚えてしまう耳馴染みの良さ。
同一のメロディーを巧みにアレンジを変える事で、
ある時は大石以下四十七士の「忠義」や「名誉」を、
またある時はカイ(キアヌ)とミカ(柴咲コウ)の悲恋を描いています。
この力強さの中に悲哀を感じさせる旋律がまたいいんです。

麒麟狩りのシーンや討ち入りの場面では「燃えるスコア」を聞かせてくれるし、
吉良(浅野忠信)とミカの婚礼の宴の場面では和風の楽曲も披露。
「オーケストラ+和楽器」の親和性もいい感じだし、
アルバム全22曲70分の収録時間もボリューム満点です。
『ラスト サムライ』(03)に勝るとも劣らない、
「静かにアツくなれるハリウッド製サムライ音楽」と言えるでしょう。
『47RONIN』の音楽はイラン・エシュケリで正解だったと思います。

 

ところで今回の日本盤、ジャケット写真が日本独自仕様になります。
というのもUS盤のジャケ写(このブログに載せてるやつ)が、
レコード会社の方曰く「何だかホラー映画みたいでコワイ」ので、
もっと日本の市場向けに変える事にしたそうです。
まぁ確かに菊地凜子の顔が恐いし、
活躍皆無のタトゥー男が準主役キャラの如くキアヌの右に居座っているので、
これは確かにデザインを変えた方がいいですね…。

というわけで日本版のジャケットには、
キアヌ、真田広之、菊地凜子、柴咲コウ、浅野忠信ら主要キャストが勢揃い。
そして赤西仁さんのファンの方に朗報なのですが、
日本盤のジャケットには大石主税(赤西仁)がちゃんと載ってます。
彼の画像をジャケットに使用するのに結構苦労したようなのですが、
レコード会社の方が頑張って下さいました。

このブログでも日本盤のジャケ写をお見せしたいところなのですが、
大石主税役の人の画像は二次使用の規程がものすごく厳しいので、
残念ながらweb上では国内盤のジャケットをお見せ出来ないのです。
お手数ですがジャケットデザインについては、
CDショップなどで実際にサントラ盤を手にとってご覧頂ければと思います。

…と、こういった事情もありまして、
webショップなどに掲載されている日本盤のジャケ写はロゴだけの画像ですが、
製品版はちゃんと主演俳優たちの画像が入ってます。
実際、僕の手元にサンプル盤があるのですが、
ちゃんと赤西さんもジャケットに写ってますし、
全体的に見て日本人向けのデザインになっています。
「47RONIN」のロゴデザインもアメリカ版よりスタイリッシュ。
ここはひとつ国内盤をお買い求め下さいという事で、
何卒よろしくお願い致します。

 

『47RONIN』オリジナル・サウンドトラック
音楽:イラン・エシュケリ
品番:RBCP-2740
発売日:2014/01/15
価格:2,400円(税抜)

 

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