映画予告編音楽シリーズ、TRAILERHEADの日本独自企画盤で「熱くなれ!」

trailerhead

『Introduction to TRAILERHEAD』がいろんな意味でアツいらしい。

TRAILERHEAD(トレイラーヘッド)は、
映画の予告編音楽を製作する音楽製作会社「イミディエイト・ミュージック」がリリースしている、
予告編音楽のコンピレーション・アルバム・シリーズ。
「トレイラーヘッド」はアーティスト名やユニット名ではありません。
「ケルティック・ウーマン」とか「Feel」のようなシリーズ名に相当します。
なのでアーティスト名は社名の「イミディエイト」という事になりますかね。

このシリーズはこれまで「Trailerhead」、「Saga」、「Triumph」の3枚が発売されていて、
今回の「Introduction to Trailerhead」は、
過去3枚のアルバムから「2分でボルテージ最高潮!」になれる曲を、
各アルバムから5曲ずつセレクトした日本独自編集盤です。
正式には「(トレイラーヘッドの)イントロダクション盤」という位置づけではありますが、
事実上の「ベスト盤」と言っていいでしょう。

それにしても、サントラにハマるなら分かるけれども、
映画本編で使われない予告編音楽に目をつけるなんて、
よっぽどのマニアだろうと思っておりましたが、
これが意外と(というか、かなり)売れているらしい。

どうやらその「よっぽどのマニア」な人たちの熱心なクチコミで、
トレイラーヘッドの面白さがゲーム音楽リスナーを経由して、
「何か面白い音楽聴きたい」的なライトユーザー層にまで届いたようです。
予告編音楽の製作チームというとTwo Step From Hellとか、
『エリジウム』(13)のライアン・アモンのプロジェクト「City of The Fallen」などがありますが、
やはり知名度・人気度共にトレイラーヘッドが抜きん出ているような印象です。

いろいろ書くことが多くてお知らせするのが遅くなりましたが、
自分は去年の暮れにこのイントロダクション盤のライナーノーツを担当することになり、
集中的にトレイラーヘッドの音源を聴きまくったのですが、
豪快かつアツいサウンドを毎日のように浴びまくってハイな気分になりました。

トレイラーヘッドの音楽のアツさ、豪快さを文章で説明するなら、

 

1曲目からいきなりクライマックス。

 

いまいちピンと来ませんか?

 

最初から最後までずーーーっとラスボス戦のBGM。

 

いかがでしょう。少しイメージを掴んで頂けたでしょうか?
このアルバムを食べ物で例えると以下のような感じです。

 

前菜からメインディッシュまで食材が全部肉のフルコース。

 

…まぁこのへんでやめておきますが、とにかく凄い迫力。
このアルバム1枚でお腹いっぱい。
オーケストラ!合唱隊!ドラムス!エレキギター!
そして必要とあれば打ち込みのエッジィなリズムもガンガン!
サービス精神旺盛(すぎる)「燃える音楽」を鳴らしてくれています。
「アツイゼ アツイゼー アツクテシヌゼーーー!」…というやつです。
(『ならず者戦闘部隊 ブラッディウルフ』のセリフより)

冷静に考えてみると、
映画の予告編の時間はせいぜい2分か長くて3分。
その間に作品の面白さや燃えどころを余すことなく伝えるとなると、
短距離走者の如く最初から全力で突っ走らなければいけないわけで、
このアルバムに収録されているような曲になるのは当然の結果と言えるでしょう。

通常、映画のサントラ(スコア盤)というものは、
楽曲に抑揚をつけて、
激しい曲や静かな曲、愛らしい曲を交互に展開させることで、
アルバムそれ全体で「起承転結」の流れを作るものです。

しかしトレイラーヘッドの楽曲の場合、
収録曲ひとつひとつがそれぞれ3分弱の予告編用に作られたものなので、
ある意味では個々の曲の中で「起承転結」の流れが完成してしまっていると言えます。

一般的にスコア盤の敷居が高いと思われがちなのは、
「歌がないからつまらない」
「メロディーのない曲とか静かな曲がつまらない」
…という2点によるところが大きいように感じます。
僕自身は歌がない=つまらないとは決して思わないし、
メロディーのない曲にもちゃんとした意味があると考えておりますが、
残念ながら誰もがそういう聴き方をしてくれるわけではないわけで。
「悲しいけど、これが日本の音楽シーンなのよね」と、
スレッガー中尉のごとくボソッとつぶやきたくなってしまいます。

ところがトレイラーヘッドの場合、
インスト曲を聴く習慣のないリスナーが「ダレ場」と感じる要素が一切ない。
1曲平均3分強のプレイタイムは長すぎず短すぎず、
世間一般で「つまらない」と解釈されがちな静かなパートは数秒程度。
オーケストラとはいえコマーシャル的な要素の強いサウンドなので堅苦しさもない。
頭をカラッポにしてアツい音楽に身を委ねられるシアワセ、プライスレス…ならぬ2,500円(税抜価格)。

「オーケストラ音楽とかスコア盤って何か難しそうで…」という人には、
その入門編という感じで聴いて頂けるのではないかなと思います。
で、トレイラーヘッドの音楽に慣れてきたら、
サントラ盤(スコア盤)の世界にも徐々に慣れ親しんでいって頂けると嬉しいですね。

今回のアルバムは日本独自編集盤という事で、
ライナーノーツには「どういう人たちが曲作ってるの?」という事や、
メイン作曲家のおおまかなバイオグラフィー、
どの曲がどの映画の予告編に使われたかのリストなど、
年の瀬のものすごく忙しい時期に一生懸命まとめてみましたので、
アツい音楽を聴きながら拙稿にも目を通して頂ければ幸いです。

 

ここでライナーノーツで書けなかった事を少々補足させて頂きますと、
トレイラーヘッドのレコーディング・エンジニアには、
ハンス・ジマーやリモート・コントロール組でおなじみのアラン・メイヤーソンも
名前を連ねています。
そしてオーケストラ指揮をしているラリー・グループは、
ロッド・ルーリー監督作『ザ・コンテンダー』(00)や、
リメイク版『わらの犬』(11)の音楽を手掛ける映画音楽家でもあります。
この事実だけでも、
トレイラーヘッドが「映画音楽家志望の若手が下積みで作った音楽集」ではなく、
「映画音楽を知り尽くしたその道のプロが、予告編に特化させて作ったこだわりの音楽」
…である事がお分かり頂けるのではないかと思います。

ヴィレッジヴァンガードを中心に売れているそうなのですが、
仙台のビレバンさんもこのアルバムを店頭に並べてみませんか?

イントロダクション・トゥ・トレイラーヘッド
音楽:イミディエイト・ミュージック
品番:RBCP-2733
発売日:2014/01/22
価格:2,500円(税抜)

 

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