【朗報】『ゼロ・グラビティ』の作曲家スティーヴン・プライス、『フューリー』でまたしても傑作スコアを世に送り出す

fury

先月『フューリー』(14)の内覧試写に行ってきたのですが、
映画を観終わった後ランブリング・レコーズさんの担当の方と、
「スティーヴン・プライスの音楽がすごい!というか、この人は本当にすごい!」
…という話で大いに盛り上がったのでした。

スティーヴン・プライスといえば、
トレヴァー・ジョーンズやハワード・ショア、ハンス・ジマーのもとで仕事した後、
去年の『ゼロ・グラビティ』(13)でアカデミー賞の最優秀作曲賞に輝き、
映画音楽界の第一線に彗星の如く現れたUK出身の俊英作曲家ですが、
今回の『フューリー』の音楽も確かに凄かった。

何がスゴイかといえば、
『ゼロ・グラビティ』の事故シーンのような音響系サウンドと、
主題操作でストーリーや人物描写に深みを与えるような、
普遍的な映画音楽の作曲法を両立していることにまず驚かされます。
メロディーレスな音響系スコアは近年そう珍しいものでもなくなってきましたが、
音楽の性質上、音響系のスコアではメインテーマを聴かせるような構成にはなりにくい。
でもプライスはそれを難なく両立させてしまうのです。

『ゼロ・グラビティ』の時は、
映画前半から中盤のデブリ衝突事故や宇宙漂流シーンでは、
ノイズを多用した音響系スコアを鳴らしていたけれども、
ライアンが生きる気力を取り戻す過程を描いた後半パートからは、
心に残るメロディーを力強く響かせておりました。
今回の『フューリー』でもプライスはドラマティックなサウンドを聴かせてくれます。

ノイズやサンプリング音、残響音を駆使した楽曲を戦闘シーンで鳴らす一方、
印象的なメロディーもしっかりとスコアの中に組み込んでいます。
『ゼロ・グラビティ』の流れを組む音楽ではあるのですが、
『ゼログラ』で使用を控えていたリズムが本作では解禁になってます。
戦車バトルのシーンでは重厚かつ荒々しいリズムを打ち鳴らしていて迫力満点。

戦車部隊の死闘を描いた戦争映画ではあるけれども、
トランペットで愛国的なメロディーを高らかに鳴らすような音楽ではない。
戦闘シーンが終わった後はファンファーレ的な音楽が鳴ることが多いですが、
この映画は戦闘シーンが終わった後、すごく虚無的な音楽が流れてきて、
物悲しい旋律が観客の胸にズドンと突き刺さるわけです。
個人的にはエマさんのシーンがあまりにも悲しすぎて、
アルバム10曲目を聴くと自分は今でも胸が痛くなりますね。。
あれは可哀想すぎます。。

 

さて次の「スティーヴン・プライスがすごい作曲家である理由」ですが、
「音数の多い曲を書いているのに、無駄な音がひとつもない」ということです。
今回もオーケストラと各種ソロ楽器(ピアノ、チェロなど)、
各種パーカッション(認識票や薬莢をジャラジャラならした音をサンプリングしたりしているらしい)、
複数のコーラス(合唱、女声ヴォーカル、ささやき声など)、電子音など、
音を何層にも重ねたスコアを書き下ろしているのですが、
そのひとつひとつの音に何かしらの意味が込められているように聞こえるのです。

先に音楽だけ聴いても十分楽しめるスコアではあるのですが、
アルバムを聴いていて、
「なるほど、今回もユニークな音楽だなぁ」ぐらいしか感じなかったものが、
映画本編を観ると、
「ひょっとして、この音楽(もしくは音)にはこういう意味があるのでは…?」
…といろいろ見えてくる箇所が出て来ます。
いわゆる「読み解きながら聴く音楽(オリジナル・スコア)」。
音楽を聴いているうちに、いろんな考えが思い浮かんでくる。
これがなかなか面白い。

プライスは彼なりに自分の中でテーマを設けて曲を作っていったと思いますが、
聴き手の楽曲の受け取り方、感じ方は人によって違うのではないでしょうか。
決して答えがひとつではない、多面的な音楽とでも申しましょうか。
そこが実に奥が深いし、聴き応えがあるように思うのです。

ここはひとつ是非サントラ盤をご購入頂いて、
スティーヴン・プライスの音世界をじっくりと味わって頂きたいですね。
『ゼロ・グラビティ』のDSDリマスタリング盤と本盤で、
年末はスティーヴン・プライスの音楽にどっぷりと浸かっちゃって下さい。
まぁ、美メロとはいえ徹底してヘヴィでシリアスなサウンドなので、
休み明けの通勤通学がちょっとツラくなるアルバムではありますが…。
いや、それでも買って損はございません!是非!

『ゼロ・グラビティ』のDSDリマスター盤も併せて是非。

『フューリー』オリジナル・サウンドトラック
音楽:スティーヴン・プライス
レーベル:Rambling Records
品番:RBCP-2856
発売日:2014/11/12
価格:2,400円(+税)

 

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