『プリズン・ブレイク』DSDリマスター盤でラミン・ジャワディ・サウンドの原点を振り返るの巻

prison break

ラミン・ジャワディ作品の宣伝強化月間継続中!ということで、
『パーソン・オブ・インタレスト』(11~)、
『アイアンマン』(08)に続いて、
先頃DSDリマスター盤が発売になった、
『プリズン・ブレイク』(05~09)のサントラ盤について書かせて頂こうと思います
今回リイシューされたのは、
シーズン1と2の音楽を合計31曲・63分ほど収録したサントラ盤です。

『プリズン・ブレイク』はジャワディさんの初期代表作のひとつですが、
順番から行くとまず『プリズン・ブレイク』で注目されて、
次に『Mr. ブルックス 完璧なる殺人鬼』(07)でワールド・サウンドトラック・アワードのディスカバリー・オブ・ザ・イヤーにノミネート、
その後『アイアンマン』(08)で大ブレイク、
そして現在の映画にTVに大活躍へと至るという流れですかねー。
言うなれば『プリズン・ブレイク』はジャワディ・サウンドの原点とも言えるわけです。

今でこそTVシリーズに結構な予算をかけるようになりましたが、
当時(2000年代前半)のTVシリーズ業界はまだまだ予算が厳しい状況。
音楽もオーケストラを使うほどのお金をかけられず、
一部の例外(『エイリアス』や『LOST』など)を除いて、
劇中音楽は全編シンセ+打ち込みで仕上げるのが基本でした。
何しろあの『24 -TWENTY FOUR-』ですら、
予算の関係上音楽は全曲シンセでしたので。

 

というわけで、『プリズン・ブレイク』の音楽もシンセ+打ち込み仕様。
ストリングスにオーケストラ演奏が使えるようになった『パーソン・オブ・インタレスト』と、
音の質感の違いを味わってみるのも面白いかもしれません。

しかしオーケストラが使えなかったからと言って、
『プリズン・ブレイク』の音楽が『パーソン・オブ・インタレスト』より劣っているかというと、
そういうことにはならないのであります。
ある意味では、
「限られた予算の中で、いかに表情豊かなサウンドを鳴らすか?」
…という創意工夫に溢れた音が詰まっていると言えるのではないかな、と。

『パーソン・オブ・インタレスト』では主要キャラごとにライトモチーフを設定し、
『ゲーム・オブ・スローンズ』でも各勢力ごとにテーマ曲を設けているジャワディさんですが、
『プリズン・ブレイク』ではメロディーというより、
楽器の「音」そのものや、
短いながらも印象的なフレーズでキャラクターに個性を持たせている感じですね。
ティーバッグの登場シーンで流れてくる不吉なエレキギター音とか、
マホーン捜査官の推理シーンで聞こえてくる神経質な感じのシンセ音とか。
そして『プリズン・ブレイク』の音楽で印象に残る音といえば、
あのバンブーフルートというか尺八のような掠れた音。
アルバム3曲目のInking The Planとか、
5曲目のIn The Yardで聴けるあれです。
まぁ恐らくシンセで作った音だとは思いますが、
なかなかインパクトがありました。
いま聴き直してみても、
ジャワディさんは非常に丁寧な仕事をしてますねー。

 

さてDSDリマスター盤恒例のマスタリング・エンジニア葛巻善郎氏のコメント。
リマスタリング前の『プリズン・ブレイク』の音源は、

『24 -TWENTY FOUR-』ほど痛々しくなく、
『LOST』ほど柔らかくもなく、
ちょうど中間のようなサウンド。
音圧も高過ぎず、低域・中域・高域のバランスも良好。

…となかなかの高評価。
そうかー、当時の音源も結構音質よかったんですね。

それをさらにリマスタリングした結果、
トラック4曲目Save a Brother’s Lifeの終盤や、
21曲目Stand-Off終盤のクレッシェンドしていく部分などが、
より一層ドラマティックなサウンドになったのだとか。
詳しくは「サウンドトラック傑作選50」の特設サイトをご覧下さい。

『アイアンマン』でブレイク前夜のジャワディさんの音楽、
この機会に是非お聴き下さいませ。

以下、関連商品。

『プリズン・ブレイク』オリジナル・サウンドトラック
音楽:ラミン・ジャワディ
レーベル:Rambling Records
品番:RBCP-2834
発売日:2014/11/19
価格:1,800円(+税)

 

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