巨大化が止まらない!作曲家のこだわりも止まらない!『ランペイジ 巨獣大乱闘』の凝りまくり&燃えまくりな音楽を体感して下さい!という話。

ランブリング・レコーズ様からのご依頼で、
『ランペイジ 巨獣大乱闘』(18)のサントラ盤にライナーノーツを書かせて頂きました。

音楽担当はアンドリューロッキントン。
Lockingtonの読みは”ロッキントン”だと思うのですが、
映画のチラシなどでは”ロッキングトン”という表記だったので、
ライナーノーツではそれに倣ってます。

本作のブラッド・ペイトン監督の常連作曲家で、
『センター・オブ・ジ・アース2』(12)や『カリフォルニア・ダウン』(15)、『ドクター・エクソシスト』(16)の音楽もこの人です。
結果的に「ドウェイン・ジョンソン出演作品の音楽を多数手掛ける作曲家」ということになってます。

 

ロッキントンの名前こそ知る人ぞ知るという感じですが、
業界内での評価(およびコアなサントラマニアからの注目度)は結構高い人でして、
『センター・オブ・ジ・アース』(08)の音楽は結構評判がよかった記憶があります。

今回の『ランペイジ』では大規模編成のフルオケ+ウガンダの児童合唱団のコーラスを使って、前述のタイトルに負けず劣らずのハデな音楽を鳴らしまくってくれています。

しかしただハデに鳴らしているだけではないのが『ランペイジ』の面白いところでして、
ロッキントンは「こんな映画(←”豪快な娯楽大作”という意味です)でここまで音楽に凝りますか!?」というぐらい、
あんなアイデアやこんなアイデアを詰め込んだスコアを作曲しているのです。

詳しいことはサントラ盤のライナーノーツに書かせて頂きましたし、
アンドリュー・ロッキントンのセルフ・ライナーノーツも要約して拙稿の中でご紹介させて頂いたので、
ここではざっくりと音楽をご紹介した上で、
字数の都合でライナーノーツに書けなかったことを書かせて頂こうかなと思います。

 

通常こういった映画の音楽だと、
「フルオケガンガン!打楽器ドコドコ!」系のスコアを鳴らせばオッケー!という感じになりますが、
ロッキントンのこだわりはそれだけでは終わらない。
わざわざゴリラを観察しに行ったり、
ホエザルの鳴き声を録音しに行ったり、
カスタムアナログシンセ(モジュラーシンセ)を組み立てたり、
映画の撮影が始まる前から監督と打ち合わせをしていろんなことをやっているのです。

そのホエザルの鳴き声の録音にしても、
最初はゴリラの鳴き声を録ってみたものの期待したような声が録れなくて、
飼育係(?)の人に「ホエザルのようにはいかないからねぇ~」と言われて、
「ホエザル?それいいね!」と思い立ってコスタリカまで飛んだらしいです。
(どこかのインタビュー記事にそういう話が載ってました)
音楽にかける予算の範囲内でやったのか、
あるいは自腹でやったのか分かりませんが、
えらい凝りようです。

 

で、実際に本作の音楽に耳を傾けてみると、
確かにぶっとい唸りを上げる金管楽器の音はゴリラの吠え声っぽいし、
ホエザルの鳴き声をサンプリングしたっぽい音もいくつかの楽曲で聞こえてきます。
クマの唸り声をトロンボーンで表現していたジェリー・ゴールドスミスの『ザ・ワイルド』(97)とか、
オナガザルとヒヒの鳴き声をサンプリングしたサウンドでシャールト・コプリーが演じたヴィランの凶暴さを表現したライアン・アモンの『エリジウム』(13)とか、
このあたりの作品を反射的に思い出してしまいましたねー。

音楽が壮大で、なおかつ凝った作りなのは分かった。
それじゃあメロディはどうなの?
印象に残るテーマ(モティーフ)はあるの?

はい、あります!

パッと聴いてすぐに判別出来るものだけでも3つくらい特徴的なテーマ曲がありますが(詳しくはサントラ盤のライナーノーツに書きましたので是非ご覧下さい)、
画面に登場して早々、巨大オオカミにあっさり全滅させられる傭兵部隊にもわざわざモティーフが用意されていたりするので、
何だかんだで5,6種類くらいのテーマ曲があるのではないかと。
ワタクシ映画本編を観ていて気になったのが、
いわゆる「巨獣のテーマ」が、悪徳企業「エナジン社」の極悪経営者姉弟の登場シーンに繋がって流れるような使われ方をしているところがいくつかありまして、
「ワイデン姉弟のテーマはないのかな?」と思いました。
どうもロッキントンのセルフ・ライナーノーツを読むとこれにも理由がありそうな感じで、
ワタクシが思うに「動物さんが巨大化して凶暴になったのは全部コイツら(=エナジン社)のせいです」ということを、
「巨獣のテーマ」と「ワイデン姉弟のテーマ」をひと繋がりにして描きたかったんじゃないかな、と。

いや~、こうしてあれこれ考えを巡らせてみると、
『ランペイジ』の音楽はものすごく奥が深いです。
ただ「フルオケと打楽器が鳴りまくりでどったんばったん大騒ぎ!たーのしー!」と聴いていただけでは勿体ない。
映画本編を観て思いっきり楽しんだ後は、
是非サントラ盤でロッキントンのスコアにじっくり耳を傾けて頂きたい。
劇中では効果音でよく聞こえなかった音楽がしっかり聞けて、
映画を観ている最中には気づかなかったことをいろいろ発見出来るかもしれません。

なお映画の予告編・TVスポットでスマッシング・パンプキンズの”Bullet With Butterfly Wings”がうっすら流れていましたが、
映画のエンドロールではそのスマパンの名曲をサンプリングしたキッド・カディの新曲”The Rage”が流れます。
で、嬉しいことにこの曲はサントラ盤にも収録されてます。

…というわけで、『ランペイジ 巨獣大乱闘』のサントラ盤を何卒よろしくお願い致します。

 

『ランペイジ 巨獣大乱闘』オリジナル・サウンドトラック
音楽:アンドリュー・ロッキングトン
レーベル:Rambling RECORDS
品番:RBCP-3282
発売日:2018/05/16
定価:2,400円+税

 

 

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