大傑作『ゼロ・グラビティ』のサントラは是非”アルバム”で買って下さい…!

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映画『ゼロ・グラビティ』(13)は映像、物語のみならず音楽(オリジナル・スコア)も素晴らしかった。
僕個人としては、作家性の強いSF映画の音楽はクリフ・マルチネスの『ソラリス』(02)と、
クリント・マンセルの『月に囚われた男』(09)の2本でもう最高レベルに達したと思っていました。
もうこれ以上のものは出て来ないのではないか、と。

ところが出てしまったんですねー。
今回の『ゼロ・グラビティ』の音楽、聴いていて鳥肌が立ちました。
こんなにも心の底から感情を沸き立たせてくれる音楽がまだあったとは、と驚いたほどです。

作曲はスティーブン・プライス。
『ワールズ・エンド 酔っぱらいが地球を救う!』(13)とか、
『アタック・ザ・ブロック』(11)の音楽を手掛けた若手作曲家です。
プライスのバイオグラフィーはサントラ盤封入のライナーノーツに詳しく書かせて頂きましたが、
それにしてもエドガー・ライト印のコメディ映画の音楽を作曲していた人に、
シリアス極まりないSFサバイバル映画の音楽を任せてしまうのだから、
アルフォンソ・キュアロン監督の人選もスゴイものがありますね…。
結果的にその選択は大正解だったわけですが。

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『ゼロ・グラビティ』のマット役がジョージ・クルーニーでなければならなかった理由を考える

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というわけで、前回に続いて『ゼロ・グラビティ』(13)の話題。
今回はもう一人の出演者、ジョージ・クルーニーについて。

聞くところによると、クルーニーが演じたマット・コワルスキー役は、
当初ロバート・ダウニーJr.が演じる予定だったのだとか。
(その後スケジュールの都合で降板したらしい)
ダウニーJr.の降板を受けてキャスティングされたのがジョージ・クルーニー。
この二人の俳優を並べてみると、マット役に必要とされた要素が見えてきます。

その1:特徴ある声の持ち主である事。
その2: 男前(の中年)である事。
その3:ユーモアのセンスがある事。
その4:どこかマイペースで余裕を感じさせる人物である事。

個人的にはこの4つがマット役に必要不可欠な要素だと思いました。

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『ゼロ・グラビティ』のライアン役はサンドラ・ブロックで大正解!という話。

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アメリカ国内のみならず、世界中で絶賛の嵐が巻き起こっている『ゼロ・グラビティ』(13)。
『キャプテン・フィリップス』(13)のライナーノーツの仕事を仕上げた後、
こちらの仕事も担当する事になったので、
11月上旬に内覧試写へ行ってきました。
3D字幕版で観る事が出来て大感激。
久々に「3Dで観る事に意義がある映画」を観た気がします。

12/13(金)全国ロードショーという事で、
この映画の肯定派の方は、
既に気合いの入った好意的なレビューを書いているだろうし、
逆に否定派の方は、
ここがダメ、あそこがダメと手厳しいレビューを既に書いていると思うので、
自分は何か別な事を書きたいと思います。

この映画の登場人物は、
サンドラ・ブロック扮するメディカル・エンジニアのライアン・ストーン博士と、
ジョージ・クルーニー扮するベテラン宇宙飛行士のマット・コワルスキーのみ。
つまりこの二人の演技力と化学反応が映画の出来を左右するわけですが、
これがまた最高のコンビでございました。

今回はサンドラ・ブロックについてちょっと書いてみたいと思います。

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『キャプテン・フィリップス』でヘンリー・ジャックマンが描く「単純じゃない世界」の音楽

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今回は『キャプテン・フィリップス』(13)の音楽について。
作曲は『X-MEN:ファースト・ジェネレーション』(11)のヘンリー・ジャックマン。
ポール・グリーングラス作品の常連、ジョン・パウエルではありません。

まず起用されたのがパウエルではなくジャックマンだった事に驚いたのですが、
近年のパウエルはアニメ映画の作曲機会が増えてきたので、
作品傾向が若干変わってきたのかもしれません。
とはいえ、リモート・コントロール所属のジャックマンも、
過去にパウエルの作品(『ハンコック』(08)など)で追加音楽を作曲しているので、
全く繋がりがないというわけでもないでしょう。
「パウエルに作曲を依頼したらジャックマンを推薦された」なんて経緯もあったかもしれません。
(あくまで推測)

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『キャプテン・フィリップス』の気になる出演者を(可能な限り)総チェック!

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パンフでどこまでフォローされているか分かりませんが、
『キャプテン・フィリップス』(13)のキャストについて、
思いつく限りの事をあれこれ綴ってみようと思います。

まずトム・ハンクスですが、
本当に今回のフィリップス船長役はこの人の新境地というか、
今まであまり見た事のない演技だったように思います。

今まで自分が観てきたトム・ハンクスの出演作を振り返ってみると、
確かに巧い演技をしているのだけれども、
どこかに「トム・ハンクス印」というような一種のオーラが感じられて、
(愛嬌とか茶目っ気とか、どこか人好きするような要素)
「トム・ハンクスがキャラクターを演じている」というような印象があって、
ああ、やっぱりこの人は「映画スター」なんだなと思っていました。
ポール・グリーングラス監督との相性もどうなのかな、とも思いました。

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