メインテーマがカッコいい『ホワイトハウス・ダウン』の音楽

white house down

というわけで前回の投稿の続き。
『ホワイトハウス・ダウン』(13:以下WHD)の音楽について。
こちらのサントラ盤のライナーノーツを書かせて頂きました。

作曲はハラルド・クローサーとトーマス・ヴァンカーの二人。
スコアの作曲から映画の共同プロデュース、
さらに共同で脚本まで手掛けてしまうクローサーと、
彼の下で下積みをしながらキャリアを築いてきたヴァンカー。
綴りは「Thomas Wandar」なので表記は「ワンダー」じゃないの?とも思うのですが、
いろいろ調べてみたら「ワンダーでもヴァンカーでもどっちでもOK」という状態で、
こういう場合どっちにするべきかとかなり悩みました。

しかしながら同じ発売元(ランブリング・レコーズさん)の
『デイ・アフター・トゥモロー』(04)のサントラ盤ライナーノーツには、
「トーマス・ヴァンカー」と記載されておりましたので、
今回もそれに合わせた形になります。
ハンス・ジマーも今の表記になるまで「ズィマー」とか「ツィマー」とか安定しなかったので、
ヴァンカーも今よりもっとメジャーになったら、
カタカナ表記も統一されるのではないかなーと思います。

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バイオレンス控えめ、爽快感重視の『ホワイトハウス・ダウン』

whd_01

先月中旬に『ホワイトハウス・ダウン』(13:以下WHD)を内覧試写にて鑑賞。
『エンド・オブ・ホワイトハウス』(13:以下EOW)と見事にネタかぶりしてしまった本作ですが、
個人的にはこっち(『WHD』)の方が楽しんで観られました。

密室(ホワイトハウス内)で繰り広げられる武装集団との攻防戦は、
ほとんど『ダイ・ハード』(88)のノリ。
ジョン・マクレーンはロシアで息子と暴れてなんかいないで、
ホワイトハウスで大統領とコンビを組んで大暴れするべきだったと思います。

自分はジェラルド・バトラーもアントワン・フークアも好きだし、
『EOW』も面白かったとは思うのですが、
あの映画はエンタメ系アクションにしては暴力描写が正直キツすぎました。
テロリストの攻撃でバタバタと殉職するシークレット・サービスを筆頭に、
北朝鮮ガンシップのミニガン掃射で次々に殺される一般市民、
発射コードを吐かせるために容赦なくボコられる女性国防長官(メリッサ・レオ)、
アメリカへの見せしめでテロリストにあっさり殺される韓国首相などなど、
国際的にいろいろマズいんじゃないかという描写も含めて、
観ていて「いいのかコレ…?」と若干引いてしまうシーンもありました。

その点『WHD』はバイオレンス控えめで、
愛国的なメッセージもそれほど前面に押し出していないので、
ポップコーンとかホットドッグ食いながら見ても、
食べ物がマズくならない娯楽映画に徹していて、
ある意味安心して観られます。

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ジェフ・ダナさんから『サイレントヒル:リベレーション3D』のサントラを頂きました

silent hill revelation

先日ジェフ・ダナと久しぶりにいろいろ話をする機会があったのですが、
(『ケルティック・ロマンス』の売上報告とか映画の公開状況とか、割とマジメな話)
途中から『サイレントヒル:リベレーション3D』(12)の話題になりました。
「いま日本で公開中なんですけど、サントラが売ってないんですよねー」と言ったら、
「興味あるなら僕が持ってるサントラCD送るぜー」との嬉しいお言葉が。

実際、ジェフさんの音楽には非常に興味があったので、
何だか申し訳ないなーと思いつつ、
厚かましくも「ご迷惑でなければ是非お願いします!」などと言ってしまった私。

その後1週間くらいで『サイレントヒル:リベレーション3D』のサントラが届きました。
早っっ!! あああージェフさんありがとうーーー!!

配信のみのリリース(確かつい最近まで日本では買えなかったはず)と聞いていたのに、
CDプレス版がある事に驚いた。
盤面もオフセット印刷。
ブックレットはフルカラー4P。ジャケ裏にジェフ・ダナのコメント付き。

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『ワイルド・スピード EURO MISSION』の音楽

fast and furious 6

前回のブログで文章が長くなって先送りしたネタです。
『EURO MISSION』(13)の音楽について。
ここでいう「音楽」というのはオリジナル・スコアの事ですのであしからず。

 

『ワイルド・スピード』シリーズの音楽は、
ジャスティン・リンが監督するようになってからずっとブライアン・タイラーだったので、
今回もそうなんだろうなーと思ってました。
しかしいつまで経ってもVareseからスコア盤リリースの情報が入らない。
ブライアン・タイラーもYouTubeにテーマ曲のPVをアップしない。
何か変だなーと思ったら、音楽担当がタイラーさんじゃなくて、
『推理作家ポー 最期の5日間』(12)のルーカス・ヴィダルだったと。

 

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サブキャラ愛に溢れた続編 『ワイルド・スピード EURO MISSION』

fast and furious 6

遅ればせながら、昨日やっと『ワイルド・スピード EURO MISSION』(13)を鑑賞。
『TOKYO DRIFT』(06)、『MAX』(09)、『MEGA MAX』(11)のサントラ盤ライナーノーツを担当した身としては、絶対に見ておきたい作品でございました。
何で今回はスコア盤が出ないんだ?と不思議に思っていたのですが、
音楽担当がブライアン・タイラーじゃなくてルーカス・ヴィダルだったんですね。
タイラーさんだったらVareseが放っておくわけないもんなぁ。

まぁその話は後で詳しく書くとして、まず本編を観て思った事をずらずらと。

前作『MEGA MAX』でかなり派手なカーアクションを見せてしまったので、
もうあれ以上スゴイアクションは出来ないだろうと思っていたのですが、
やりようはあるもんなんだなーと感心しました。
ロンドン市街地のカーチェイスにストリートレース、
高架道路で戦車を逆走させるイカれたカーアクション、
銃撃戦、ストリートファイト戦、サブミッション戦にタッグマッチ戦、
離陸する飛行機の中と外で繰り広げる壮絶なドツキ合い&カーアクション…と、
次から次に趣向を凝らした豪快アクションを見せてくれているではありませんか。
惜しむらくはクライマックスの滑走路アクションが、
夜間なので暗くてよく見えないところでしょうか。
『MEGA MAX』のクライマックスは陽光輝くリオの街中で暴れ回ってくれたので、
あれに比べると視認性の点でちょっと。

 

それにしてもこのシリーズ、見た目の派手さと豪快さとは裏腹に、
登場人物の描き込みが結構しっかりしているのがポイントだったりします。
チーム・ドミニクの面々はもちろん、サブキャラにもそれぞれ「見せ場」があるのが秀逸。
シリーズのファンがネタにしていそうな、
「そういえば前作に出てたアイツとかどうしたのかな?」みたいな脇役も、
続編でしっかり登場させてしまうのが実にニクい。

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