あの「20世紀フォックス映画 75周年記念盤」がDSDリマスタリングで再登場しましたの巻

20thcenturyfox

映画会社20世紀フォックスの75周年を記念して、2010年にVarese Sarabandeからリリースされた3枚組の企画盤、「20th Century FOX: 75 Years of Great Film Music」。
先日ランブリング・レコーズさんから国内盤がリリースされました。
75周年からさらに6年経っての国内盤リリースなので、ある意味80周年記念盤という感じでもありますね(正確には81周年ですが細かいことは気にしない)。

日本サントラレーベルの良心・ランブリング・レコーズさんですから、もちろん輸入盤にオビをつけただけの再発売なんてものではありません。
「サウンドトラック傑作選50」や「サウンドトラック名作選35」でおなじみになった、DSDリマスタリングによる音質向上を行っているのです。
ディスク3枚組で3,000円(+税)だから、1枚1,000円。
ディスク1枚に20曲前後収録しているので、1曲50円の計算になりますね。
しかもリマスター音源。なかなかのお得感ではないでしょうか。

…で、国内盤をリリースするからということで、先方からワタクシにライナーノーツの執筆依頼が来まして、僭越ながらあれやこれやと音楽紹介/作曲家紹介を書かせて頂きました。

 

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『ウルフ・オブ・ウォールストリート』のサントラを補完するための楽曲リスト

the wolf of wall street

「こんなスコセッシ映画を待ってたんだよぉぉぉ!! マーティ最高!!」
『ウルフ・オブ・ウォールストリート』(13)を観終わった後、
心の中で思わずこう叫びたくなったワタクシ。

巨匠の風格を携えた『ヒューゴの不思議な発明』(11)も名作かもしれないし、
『シャッター アイランド』(10)のような思わせぶりな怪奇映画もいいのかもしれない。
『ディパーテッド』(06)も嫌々撮った割には水準以上の出来だったし、
変わり者の富豪の人生を描ききった『アビエイター』(04)も優れた作品なのでしょう。

が、しかし。

やはり僕にとってマーティン・スコセッシは、
「『グッドフェローズ』(90)のスコセッシ」であり、
「『ミーン・ストリート』(73)のスコセッシ」であり、
「『カジノ』(95)のスコセッシ」なのです。
巨匠然とした格調高い作風よりも、
下町風情溢れるエネルギッシュで下品で暴力的で音楽鳴りっぱなし…という映画をつい期待してしまうのです。

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これはこれでアリではないかと思う 『コズモポリス』

cosmopolis

どちらかというと苦手なのに、つい観てしまうもの。
それはデヴィッド・クローネンバーグの映画。

自分はクローネンバーグ映画で好きな作品もあるけれども、
それ以上に苦手な作品も多かったりもするので、
今回の『コズモポリス』(12)は果たしてどっちだろうなーと、
期待と不安が入り交じった状態で本編を鑑賞しました。

ちなみに、
好き→『デッドゾーン』(83)、『ヒストリー・オブ・バイオレンス』(05)、『イースタン・プロミス』(07)
苦手→『クラッシュ』(96)、『スパイダー/少年は蜘蛛にキスをする』(02)
…という感じ。まだまだ甘ちゃんですね…。

 

『コズモポリス』は決して面白い話とは言えませんが、
クローネンバーグらしさという点で言えば「これはこれでアリ」だったのではないかと。
エリック(ロバート・パティンソン)がボディーガードのトーヴァル(ケヴィン・デュランド)を唐突にアレする所とか、
ベノ・レヴィン(ポール・ジアマッティ)の粘液質なキャラとか、
「不均衡(=左右非対称)」に固執する後半のストーリー展開などは、
特にクローネンバーグ度の高い要素だったような気がします。

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『ディパーテッド』スコア盤のごく私的な思い出話。

今から遡ること2年と数ヶ月前、フレイヴァー・オブ・サウンド様から『ディパーテッド』スコア盤のライナーノーツのお仕事を頂きました。
音楽はデヴィッド・クローネンバーグ作品でおなじみのハワード・ショア。

名作『インファナル・アフェア』(02)のハリウッド・リメイクという事で、オリジナル版を観て男泣きしてしまった自分には不満な点も結構あったりするのですが、それでもこの映画は自分にとって特別な作品なのです。多分、これから先もずっと。

何故かというと、このサントラの仕事でチャーリーさん(Charlie DeChant)とご縁が出来たようなものだからです。

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