『レヴェナント 蘇えりし者』の音楽は、サントラの枠を超えた実験音楽・アンビエント・エレクトロニカの野心作かもしれない。

the revenant

先日やっと『レヴェナント 蘇えりし者』(15)を観てきたのですが、
見応えのある映画でございました。

もはや説明不要のエマニュエル・ルベツキによる圧倒的な映像&カメラワーク、
「目的を果たすまで俺は絶対死なない」という強固な意志に貫かれたグラスの人物像、
「俺は絶対オスカーを獲る」というレオ様の気迫の成せる業かもしれませんが)
「利己的で他人を理解する気が全くない男」を演じたトム・ハーディの存在感、
そして”教授”坂本龍一の音楽。
どれも素晴らしいではありませんか。

『レヴェナント』の音楽はメロディー的な盛り上がりを極力抑えたサウンドで、
ミニマルとかアンビエント、あるいはサウンドスケープとか、
そういった感じの音楽。
サントラ盤は全23曲(輸入盤)で収録時間70分少々。
最初から最後まで全編張り詰めるような緊張感が漂ってます。
再生YMOのアルバム「テクノドン」に教授のNostalgiaという曲がありましたが、
重厚なストリングスの和音が繰り返される構成は、
あの曲の雰囲気に近い印象を受けました(あくまで個人的見解)。

 

続きを読む 『レヴェナント 蘇えりし者』の音楽は、サントラの枠を超えた実験音楽・アンビエント・エレクトロニカの野心作かもしれない。

Out of Noise

教授の新作『Out of Noise』を購入しました。

今回は「フルアートワーク盤」、「パッケージレス盤」、「アナログ盤」、「配信盤」の
4つのリリース形態だったわけですが、ワタクシは無難に「パッケージレス盤」を
チョイスしました。

学生の頃だったら迷うことなく「フルアートワーク盤」を選んだと思うのですが、
以前『Sweet Revenge』と『Smoochy』を初回限定盤で買ったら置き場所に困った、
という思い出があるので、今回はパッケージレス盤にしました。

それに、今月は幸宏さんの新譜『Page by Page』と再発盤でお金を使いそうだったので・・・。

さて本題の『Out of Noise』なんですが、うーん・・・ワタクシにはかなり難解かつ高尚な
感じでした。

commonsのメールマガジンや雑誌の記事などを読んで、大体こういう音楽になるだろう
とは思っていたのですが、想像以上に「ピアノ曲」(『BTTB』とか『トニー滝谷』みたいな
感じ)が少ないなぁ、と。その辺がちょっと意外な気もしました。

commonsmartのサイト内に教授本人の楽曲解説があるので、詳しくはそちらを
見て頂くとして、まぁ今回のアルバムは教授の音楽のコアなファン向きというか、
「家具の音楽(サティ)」、「ミュージック・コンクレート」、「アンビエント」、「ブライアン・イーノ」
というようなキーワードにピンと来た方向けの作品と言えるでしょう。

ワタクシは『音楽図鑑』を教授作品のベストに挙げている人間なので、あのような音楽は
もうやってくれないのかな、と思うと少々寂しくなったりします。

でもHASYMOのライヴで「Tibetan Dance」とか演ってるから、本人もああいうノリは今でも
嫌いじゃないとは思うんだよなぁ。あるいは今の教授の音楽嗜好でああいうサウンドを
やろうとすると、前回の『Chasm』みたいになるのでしょうか。

今回の『Out of Noise』、ワタクシは仕事中のBGMや就寝前のBGMとして楽しんでます。
このアルバムは論理的に「理解」して聴こうとすると(精神的に)相当疲れますが、肩肘
張らずにリラックスして聴くとあら不思議、ピアノ、弦、環境音といった音の層が心地よく
耳に入ってくるではありませんか。

そんなわけで、第一印象の難解さから解放されたワタクシは、現在このアルバムを
仕事場でリピートして聴いている毎日です。

    

N-04Aを買ってみた

先週末、携帯電話を買い換えました。

思い切ってdocomo SMART seriesのN-04Aを購入。いわゆる「amadanaケータイ」です。
さすがSMARTシリーズというだけあって、厚さは旧ケータイ(F900iT)のほぼ半分になりました。

ボタンの間隔が若干狭くなったので、ボタン押す時の感触がまだ馴染めませんが、
まぁ使っていればそのうち慣れるでしょう。

難点を挙げるなら、外部接続端子部のカバーがヒジョーに取れやすいという事でしょうか。
これはハンパなく取れやすいです。旅行先などでケータイにアダプタやPCを接続する時は要注意です。

しかし、こんな問題はワタクシにとっては些細なこと(でもないんだけど)。
N-04Aを選んだ一番の理由は、「HASYMOによる音楽コンテンツ」だったのです。

気になるコンテンツはと申しますと、着うたフルの「Good Morning, Good Night」が1曲と、
着信メロディー(ジングル)が14曲。

「Good Morning…」はテレビCMのバックで流れている曲と同じです。

その他のメロディーは以下の通り。カッコ内はワタクシの個人的な感想です。
いーかげんなのであまり参考にはならないと思いますが、まあ一応という事で。

HOPE (この中で一番メロディアス)
SESAMI (短いベル音)
BLUE HEAVEN (「Good Morning…」のイントロ部分)
A HINT (優しいベル音)
ATTENTION (ブザー系。細野さんの「フィルハーモニー」に出てきそうな音かも)
GOOD NEWS (スーパーマリオでパワーアップキノコを取った時のような音)
ALARMING (テクノな感じ)
RING RING (エレクトロニカな感じ)
MERCURY (アンビエントな感じ)
AERO (アンビエントな感じ)
OPEN SESAMI #1
CLOSE SESAMI #1
OPEN SESAMI #2
CLOSE SESAMI #2

「HOPE」と「A HINT」の作曲が幸宏さんで、他は全て細野さんが作曲しています。
教授は1曲も作ってません。HASYMO名義の「Good Morning…」だけですね。

ワタクシの場合、メールの着信音に「A HINT」、目覚ましアラームに「HOPE」、
i コンシェルの着信音に「SESAMI」、ケータイをスライドさせる際の音は
「OPEN / CLOSE SESAMI #2」にしてみました。

…というわけで、着信音のほとんどを細野さんが作っているという点で、YMOファンでも
特に細野さんファンは押さえておきたい一品ではないかと思ったりします。

   

仕事納め

30日の午後に、今年最後の仕事を済ませて参りました。
これで2008年度のレーベルの仕事は全て終了という事になります。

28日と29日は仕事のリサーチ&私用で東京に行っていたのですが、ニュースで報道された通り、
29日は東北新幹線が運行管理システムのトラブルに見舞われまして、仙台に戻ってくるのも
ひと苦労でございました。

「帰省ラッシュ+運行ダイヤの乱れ」ですから、その混雑ぶりは推して知るべしといった感じです。
ああ疲れた。JRもこういう大事な時期にトラブル起こすかなぁ、フツー。

さて今回は2008年を振り返るという事で、今年購入したアルバムで個人的に気に入った作品を
トップ5形式で挙げてみたりしたいと思います。

1. PUPA “Floating Pupa” (EMIミュージック・ジャパン)
 今年一番聴きました。エレクトロニカとアコースティック・サウンドが絶妙なさじ加減でミックスされた
 心地よいサウンド。幸宏さんの名盤”Blue Moon Blue”に「キュートさ」を加味した進化形かと。
 「Tameiki」と「How」を聴いて高野寛さんの完全復活を確信した次第です。

2. Daryl Hall & John Oates “Live at the Troubadour” (Shout! Factory)
 ホール&オーツの2008年5月のライブを収録したCD2枚組+DVD付きの豪華盤。ダリル・ホールが
 web上で展開しているライブ企画”Live from Daryl’s House”の延長線上にあるアンプラグドな
 演奏ですが、彼らの80年代の瑞々しさが随所に感じられてよい感じです。
 
3. Yellow Magic Orchestra “LONDONYMO” & “GIJONYMO” (commons)
 YMO(というかHuman Audio Sponge)のロンドン/スペイン公演を収録したライブ盤。Sketch Showの
 楽曲は(いい曲ではあっても)淡々としたノリのものが多かった印象があるのですが、このライブの
 アレンジはメリハリが効いていて、ワタクシはこちらのバージョンの方が好きです。

4. Steve Jansen “Slope” (samadhisound)
 元JAPANのスティーヴ・ジャンセンの初ソロ作品。アンビエント/エレクトロニカ系の楽曲がメインで、
 シルヴィアンやティム・エルセンバーグらがゲスト・ヴォーカリストとして参加。出来ればスティーヴも
 1曲くらい”Stay Close”や”BETSU-NI”で披露した美声を聴かせてほしかった…。

5. miette-one “Children’s Corner” (abcdefg record / Girl School)
 名古屋のインディーズレーベル「abcdefg record」の女番長(とレーベルのサイトに書いてあります)、
 miette-one女史による、ヨーロピアン・テイスト溢れるラブリーなガールズポップス・アルバム。
 「インディーズでガールズポップスを演るとはどういう事か?」という課題に対するひとつの答えが
 この作品にはあるのではないかと思います。勉強になりました。

…とまぁ、見事に偏ったラインナップになってしまいましたが、そもそもマイベストなんていうのは
そういうものなわけでして、大目に見て頂ければと思います。

明日は映画『ミラーズ』(08)を観てきます。