ESSAY Part 1 - Charlie DeChant


-Sax and Keyboard player for Hall & Oates-

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■少年時代を語る

 最初に興味を持った楽器はピアノだった。5歳の時、私は母と一緒にピアノのレッスンを受けていたんだ。だが7歳の頃にペンシルバニアからフロリダに引っ越して以来、我が家にはピアノがなくなってしまった。それで私のピアノのレッスンも終わってしまったというわけさ。

 次に私はヴァイオリンを演奏してみたいと思った。それでクリスマスにオモチャのヴァイオリンを貰ったんだが、弦を調律しようとしたら間違って壊してしまったんだ。何とかその壊れたヴァイオリンをうまく弾けないものかと無駄な努力をしてみたけど、ま、最終的にそれは壊れたオモチャが行くべき所(=ゴミ箱)に行ってしまったよ。

 小学四年生の頃、私の通っていた学校でバンド活動が始まった。ヴァイオリンがなかったので、私はサキソフォンを選んだ。誰かが「習うのは簡単だから」と言っていたんでね。小学校のバンドや、高校のマーチング・バンドと一緒に演奏したよ。私はチャーリー・フレイジャーからサックスとフルートのプライベート・レッスンを受けた。ミスター・フレイジャーは以前ジミー・ドーシー・オーケストラで演奏した事のある人物だった。

 15歳の頃、地元のアマチュア・バンドがサックス・プレイヤーを探しているというので、(私の学校の)バンド・ディレクターが私を推薦してくれた。ドラマーの自宅のガレージでリハーサルをやったんだが、これが本当の「ガレージ・バンド」というやつだね。
 テリーという少年は年上の知り合いからドラム・セットを手に入れていて、バス・ドラムには既にバンド名が書かれていた。そこにはヤシの木と夕焼けが描かれていて、”The Catalinas”という名前が書かれていたんだ。それがそのまま私たちのバンド名になった。
 メンバーはドラマーのテリー、ギターのビル、そして私の3人。私たちのファースト・ギグはテリーの姉の結婚式だった。私たちはインスト曲をいくつか演奏した。そうだなぁ、確か”Blue Moon”とか”Guitar Boogie Shuffle”を演奏したと思う。あと、ビルの妹がニール・セダカの”Little Devil”(邦題:小さな悪魔)を歌っていたのを憶えているよ。

■中学時代~高校時代について

 その後、私たちはThe Catalinasにメンバーを追加した。トランペットのレオとアルト・サックスのジョン。私は16歳の誕生日にセルマーのテナー・サックスを貰ったので、アルト・サックスからテナー・サックスに転向したんだ。それからセカンド・ギターのトミー、ハモンド・オルガンのバディ、そしてフェンダー・ベースのカーティスの5人だ。初めてフェンダー・ベースと聞いた時、私は車のバンパー(Car Fender)で作ったコントラバス(Bass)かと思ったんだが、その後すぐに4弦のギターのような楽器だと分かったよ(笑)。

 The Catalinasの仲間たちとは高校に進学してからもちょくちょく集まっていた。クリアウォーター・オーディトリアム(地元の講堂)でプロ・ミュージシャンのバック・バンドを務めた事も何度かあったよ。アイク・クラントンとかディッキー・リーとか…。ディッキーは”Patches (My Darling of Old Shanty Town)”が当時大ヒットしたから有名かもしれないね。”Like a Tiger”を歌ったファビアンが公演に来た事もあったが、彼は自分のバンドを従えてツアーをしていたから、残念ながら舞台で共演する事は出来なかったんだ。

 レオと私はジャズに興味を持つようになり、バンドの他のメンバーにもジャズを演奏させようとした。もちろん、私たちはジャズの何たるかをまるで分かっていなかったんだが、レコードをしこたま買い込んで、何とかしてジャズ・プレイヤーたちのソロ演奏をコピーしようと試みたものさ。当時はデイヴ・ブルーベックの”Take Five”やスタン・ゲッツの”Desafinado”がヒット・チャートを賑わせていて、ラジオでもよくオンエアされていたので、私たちもこれらの曲を演奏してみようと思うようになった。チャーリー・パーカーやクリフォード・ブラウンの演奏をモノにするために、自分の部屋に籠もって練習に多くの時間を費やしたよ。

 私は高校3年の頃にマーチング・バンドを辞めてしまっていたが、学校では「ステージ・バンド」で相変わらず演奏していた。「ステージ・バンド」はグレン・ミラーとかカウント・ベイシーを演奏するようなジャズ系のビッグバンドだったんだが、専門家に言わせれば、まぁ、あれはジャズとは呼べないような代物だったかもしれないな。