『ファーゴ』の音楽にはなぜスカンジナビア民謡の要素が含まれているのか

Filmarksの1990年代名作上映「Filmarks 90’s」企画の第13弾で、今週末から『ファーゴ』(96)の上映が始まるとのこと。

『ファーゴ』は自分が本格的にコーエン兄弟の映画を観た最初の作品だった気がします。
コーエン兄弟が「一風変わった映画を撮ることで定評のある監督」という情報は以前から聞いていたし、『バートン・フィンク』(92)も衛星放送か何かでチラッと観たことがあったけれども(当時の自分はまだ若く、映画を観てもわけが分からなかった)、きちんと映画館へ観に行って、コーエン兄弟の”妙味”を理解して観ることができた作品となると、『ファーゴ』が初ということになります。

そしてカーター・バーウェルの音楽にハマるきっかけとなった作品でもあります。

映画館で『ファーゴ』を観たとき、どこか民俗音楽調で哀愁漂うメロディのメインテーマを聴いて、一気に物語の世界に引き込まれました。
「サントラ盤が出ているならぜひ買いたい」と思ったものの、いまのようにインターネットでリリース情報が簡単に調べられる時代ではなかったので、まずサントラが出ているか出ていないのかもよく分からなかった。仮にリリースされていたとしても、田舎のレコードショップではまず買えないだろうと思っていました。

結局東京に遊びに行ったとき、タワーレコード渋谷店のサントラコーナーで運よく製品を見かけて手に入れることができたのでした。

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BANGER!!!で書いた『レクイエム・フォー・ドリーム』4Kリマスター見どころ&音楽紹介コラムの補足

先日、「BANGER!!!」で『レクイエム・フォー・ドリーム』(00)の見どころ&音楽紹介コラムを書きました。

観客を悪夢に引きずり込む“映像・演技・音楽”を解説!伝説のトラウマ映画『レクイエム・フォー・ドリーム』4Kで復活|BANGER!!! https://www.banger.jp/movie/161989/

映画音楽物書きの当方としては、この機会にクリント・マンセルの音楽を思う存分ご紹介したかったのですが、先方は「トリビア多め」な内容をご希望でしたので、あのような構成になりました。

個人的には裏話とか逸話を得意気に書く構成はあまり好きではないし、この映画の主要キャストのすさまじい役作りの話はつとに有名だから、トリビアネタで何を書くべきか悩みました。

その結果タピー・ティボンズ役のクリストファー・マクドナルドについて言及している人はあまりいないのではないかと思い、もともと好きな俳優さんでもあったので、文字数を多めに割いて彼の熱演をご紹介した次第です。2026年になってピーター・ガブリエルの”The Barry Williams Show”の話を出してくる人もあまりいないと思うし。

ちなみにタピーのテレビショーの場面は1日で撮ったというから、すごい集中力です。

そんなわけで、当方のブログではBANGER!!!のコラムで書ききれなかったネタとか補足しておきたいネタ、マンセルの劇伴についてより深く掘り下げたいことなどを書いていきたいと思います。

まずはクリント・マンセルの劇伴についてもっと詳しく書かせて頂きます。

Requiem for a Dream / OST – amazon music
Requiem for a Dream Original Motion Picture Soundtrack -Reissue- [Analog] – amazon

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マルコホリックを自称するなら必携のアイテム、『スクリーム』1-4 デラックス・エディションのサントラ盤を購入。

前回のブログでご紹介したランブリング・レコーズさんの直販サイト(https://music-in-cinema.stores.jp/)で、「まだ何か以前買いそびれたサントラがあるのではないか…?」と調べていたところ、マルコ・ベルトラミの『スクリーム』シリーズ(第1作から第4作まで)の劇伴を6枚のCDに収録したデラックス・エディションのサントラBOXが売られていることに気づきました。

この製品はですねぇ、マルコホリック(=マルコさんの音楽をこよなく愛するリスナーのこと。造語)としては是非とも抑えておきたいアイテムだったのですが、お値段がネックで当時購入を見送ったのでした。確か2万円弱だったかな。Vareseのデラックス版サントラは日本のショップだとお値段が高めになる傾向がありますので。

当方も無尽蔵にお金があるわけではないので、泣く泣く購入を見送って3年近くの歳月が流れていったわけですが、ランブリングさんの直販サイトで50%オフの大特価(セールは1月で終了しました)で製品が売られており、「9,000円台なら何とか買える…!」と思い、セール終了ギリギリでオーダーしたのでした。

ちなみにこのBOXセットはデジタル版でも出ています。曲を聴くだけならデジタル版でもいいわけですが、やはりマルコホリック的にはCDで手元に置いておきたい。

Scream (Original Motion Picture Score / Box Set) – amazon music

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ランブリング・レコーズさんの直販サイトで掘り出しものサントラ(今回は『ドラキュラ』と『グレムリン』)を購入。

日頃お世話になっているランブリング・レコーズさんが直販サイトを密かに開設していたということを知り、以前買いそびれたサントラ盤を早速購入してみました。今回購入したのはLa-La Land Recordsの『ドラキュラ』(92)とFilm Score Monthlyの『グレムリン』(84)の2タイトル。

https://music-in-cinema.stores.jp

昨今いろいろなデラックス・エディションやリマスター盤サントラが発売されておりますが、映画音楽物書きを生業としている当方も、さすがに片っ端から買っていくわけにもいかず、諸々の事情で購入を見送ったタイトルが多々ございます。

その事情というのは大きく分けると以下の3つです。

理由1:当時懐具合が心許なかった
理由2:東日本大震災で気が滅入っていて購入意欲が失せていた
理由3:旧盤と収録内容がほぼ同じだった

特に「理由2」で購入を見送ったサントラが惜しまれる。
あの頃は本当に気が滅入っていて、サントラ盤を買うどころか映画を観たり音楽を聴いたりする気も失せていたのでした。仕事で使う必要があるサントラ以外はほとんど買わなかった気がする。

『グレムリン』のFilm Score Monthly盤の発売は、そんな2011年の11月。
「11月ならもう震災の傷も癒えているのでは?」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、8ヶ月程度では到底立ち直れないのですよ…。こればかりは実際に被災した身でなければ心情をご理解頂けないと思います。

で、後年になって製品を買おうと思ったら、その頃には既に在庫切れ。
もともとFilm Score Monthlyの製品は日本のショップで取り扱いが少なかったので、BSやCSで『グレムリン』の放送がある度に「震災さえなければサントラ買ってたのにな…」と切ない&悔しい思いをしていたのでした。

でもこれでやっと報われます。

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La-La Land Recordsから発売になる『バウンド』サントラ盤の内容を確認してみた。

今月下旬にLa-La Land Recordsから『バウンド』(96)のサントラ盤が発売になるとのこと。1,000枚限定リリースとプレス枚数はやや少なめ。

オリジナル・サウンドトラック バウンド<限定盤・国内流通仕様> – amazon
Bound Original Motion Picture Soundtrack (Limited Edition)<限定盤> – TOWER RECORDS
オリジナル・サウンドトラック バウンド<限定盤・輸入盤国内流通仕様> – TOWER RECORDS

スコア作曲のドン・デイヴィスはこの映画でウォシャウスキー兄弟(←当時)の信頼を得て、数年後に『マトリックス』3部作のスコア作曲を任されることになったのでした。『バウンド』の劇場公開からもう30年になるんですね…。

たぶん40歳以上の洋画ファン/サントラリスナーであれば、「あれ? 『バウンド』ってサントラ出てなかったっけ?」と思われるでしょう。
はい、確かに出てました。1999年6月23日にカルチュア・パブリッシャーズから国内盤サントラが出ていたのです。

Bound (Original Motion Picture Soundtrack) – amazon music

調べてみると映画の日本公開は1997年の7月。
なぜ2年経ってからサントラがリリースになったのか。
1999年といえば『マトリックス』(99)公開の年であり(日本公開は9月だった模様)、ウォシャウスキー兄弟×ドン・デイヴィスの『マトリックス』関連商品ということで、この機会に『バウンド』のサントラをリリースしたのでしょう。

注目すべきはオビに記載の「世界初CD化!!」という文言。
当時はもちろん、今回La-La Land盤が発売になるまで、『バウンド』のサウンドトラックアルバムはつい最近まで日本以外では未発売だったのでした。

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