『タイタニック』20周年記念CD4枚組サントラ盤は、サントラリスナーとして買ってよかったアルバムだったと思う。

2017年にLa-La Land Recordsから『タイタニック』(97)の20周年記念サントラ盤がリリースされました。


全世界5,000枚限定、CD4枚組、36ページフルカラーブックレットという内容。
CDの内訳はディスク1と2で映画に使われたスコアを完全収録、
ディスク3に追加音楽とスコアの別バージョン、
ディスク4にイ・サロニスティが演奏した船内楽団の曲などのソースミュージックを収録といった具合。
価格は日本円にして9,000円前後。

ワタクシ『タイタニック』は映画史に残るスペシャルな映画だとは思うし、ジェームズ・ホーナーの音楽も好きなのですが、「何十回も観ました!」という映画ではなかったので、発売当初はこのサントラ盤の購入を見送っておりました。

しかし限定盤ということで、後になって欲しくなった時に在庫がなくなっていて、「やっぱり買っておけばよかった…」と後悔するのも嫌だったので思い切って購入。何度かアルバムを聴いた結果、「買って正解だったな」と思うようになりました。

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『ドロップ・ゾーン』の長尺版サウンドトラックアルバムが発売になるというお話

以前ザ・シネマで『ドロップ・ゾーン』(94)の放送があった時にサントラの話をツイートした記憶があるのですが、「エクスパンデッド盤が出ないかなー」という我が願いが届いたのか、単にそういうリリース計画がもともとあったのか、Quartet Recordsからめでたく長尺版サウンドトラックアルバムが発売になります。

『ドロップ・ゾーン』のサントラは『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズのテーマ曲「彼こそが海賊」の原型とも言える曲が収録されているので、以前からマニア人気の高いアルバムでした。
監督のジョン・バダムはアーサー・B・ルビンスタインとのコラボで知られていましたが、『バード・オン・ワイヤー』(90)と『アサシン 暗・殺・者』(93)とこの映画で3回ジマーさんとコラボしていたんですよね。『アサシン』も長尺版サントラの発売が待たれます(個人的に好きな作品なので…)。

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アカデミー賞作曲賞ノミネートは伊達じゃない! 『この茫漠たる荒野で』のジェームズ・ニュートン・ハワードの音楽が素晴らしいというお話。

ランブリング・レコーズ様からのご依頼で、NETFLIXで配信中の映画『この茫漠たる荒野で』(20)のサントラ盤に音楽解説を書かせて頂きました。
音楽担当は『ファンタスティック・ビースト』シリーズ(16,18)や『ナイトクローラー』(14)のジェームズ・ニュートン・ハワード(以下JNH)。

まずサントラ盤の概要については、BANGER!!!に書かせて頂いたこちらのコラムをご覧下さい。

アカデミー賞有力! Netflix『この茫漠たる荒野で』 壊れた世界を調和へと導く意味深長な音楽
https://www.banger.jp/movie/53607/

サントラ盤のブックレットにはポール・グリーングラス監督の比較的長めのライナーノーツが載っていたので、こちらは学生時代の恩師に全訳をお願いしました。
『この茫漠たる荒野で』の音楽のこと、そしてパンデミックでボロボロになっている今日の現実世界のことなど、かなり大事なことが書かれてあったので、これはプロの方に翻訳して頂いたほうがいいなと思ったので。これを読むのと読まないのとでは、本作の音楽に対する見方(聞き方)もかなり変わってくると思います。

さてワタクシはJNHの音楽が大好きでして、学生時代(90年代前半)からいろんなサントラを買い漁っていました。

『メジャーリーグ』(89)や『摩天楼を夢みて』(92)…はコンピ盤でしたが、『逃亡者』(93)とか『ダイヤルM』(98)とか『ディアボロス 悪魔の扉』(97)とかいろいろです。


個人的に一番好きなJNHの作品は、何と言っても『わかれ路』(93)ですね。トゥーツ・シールマンスのハーモニカをフィーチャーした、コンテンポラリー・フュージョン系のスコアがすごくよかった。

しかしながら、サントラリスナーとの会話で「ジェームズ・ニュートン・ハワードが好き!」と公言しても、なかなか会話が盛り上がってくれなかったり、「あ、そうなんですか。ところで私はですね…」と華麗にスルーされたり、「通ぶってマニアックな作曲家を選びやがって」と思われたり、個人的な体験から言ってもいい思い出がほとんどなかった。「ビートルズのメンバーで誰が好き?」と聞かれて、「ジョージ・ハリスン!」と答えた時の相手のリアクションに似ているかもしれません。

でも、いや、そんな感じだからこそ、「ジェームズ・ニュートン・ハワードの音楽はいいぞ」とワタクシは声を大にして申し上げたいわけです。

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ブライアン・フェリーのレア音源集を作って気分転換したお話。

2年前の今日、ブライアン・フェリーの来日公演を見に行っていたことを思い出しました。
その時のことはBANGER!!!のブライアン・フェリー映画主題歌コラムでも少し書いてます。

『キングスマン』『ナインハーフ』英ロック界の伊達男ブライアン・フェリーの音楽を堪能
https://www.banger.jp/movie/6753/

海外アーティストが頻繁に来日して、彼らのライブを見に行ったり、仕事で県外へ気軽に出張したり出来たあの頃。たった2年前のことなのに、もう遥か昔のことのように感じてしまうのが悲しい。

コロナ禍が収まるどころか宮城県はリバウンドで状況が悪化してきているし、「なんでこうなる…!?」と、この頃すっかり気が滅入っております。
ただ、あまり気が滅入ってしまうと物書きの仕事に支障が出るので、これは少々気分転換をしなければいけないなと思い、先日は一日中家にこもってブライアン・フェリーのレア音源集を作っていました。

要するにフェリーさんのアルバム未収録曲やシングルB面曲、映画に提供したカヴァー曲や主題歌などをまとめて一枚のアルバムにする作業なのですが、こういう編集作業というのはいざ着手するとなかなかハマるものでして、作業に没頭するうちに精神集中というか雑念が取り払われて、意外とよい気分転換になった次第です。

今だったら「プレイリスト作り」ということになるのかもしれませんが、それだと簡単かつ便利にいろいろ出来てしまうので面白くないし、頭がリフレッシュされない。
あえて時間と手間をかけて作業することに意義がある。
どうせ外出を控えて自宅での時間が有り余っていることだし、他人に”無駄”と思われる行為に没頭するのも乙なものです。

そんなわけで、ワタクシが編集したフェリーさんのレア音源をご紹介します。

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『クラッシュ』(1996年)のスコアに聴く、ハワード・ショアの実験的室内楽の世界

『クラッシュ』(96) 4K無修正版が劇場公開中ということで、せっかくだからサントラにまつわる学生の頃の思い出話でも書こうかなと思い、ブログを書きました。

若い映画ファン(サントラリスナー)には「ハワード・ショア=『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズの作曲家」というイメージが定着しつつありますが、ワタクシのような『羊たちの沈黙』(90)やデヴィッド・クローネンバーグの最盛期にショアの音楽を聴き始めた人は、「ショア=実験的で難解な音楽を書く人」という印象を持っているのではないかと思います。

『羊たちの沈黙』や『セブン』(95)、『ザ・セル』(00)あたりの音楽も強烈でしたが、ショアはクローネンバーグ監督作に登板した時の実験精神に溢れた音楽もすごい。
『スキャナーズ』(81)や『ヴィデオドローム』(83)の悪夢的な音楽とか、『裸のランチ』(91)の前衛的なジャズスコアもなかなかのインパクトでしたが、ショア×クローネンバーグの作品では、個人的に『クラッシュ』が一番印象的でした。

この映画が日本で劇場公開になった当時、自分はまだ成人になるかならないかの年頃だったので、『クラッシュ』は観に行きませんでした。成人映画指定だったので、親に「映画館に観に行くのはやめてくれ」と言われてたんですね。観るならビデオレンタルか衛星の映画チャンネルで放送になった時に家で観てくれと。
ワタクシは素直な青年でしたので、親の言いつけを守って『クラッシュ』の本編を観たのは映画公開から数年後、スターチャンネルで放送があった時でした。
サントラ盤を買ったのもその頃。今はなき新星堂カルチェ5仙台店のサントラコーナーにひっそりと売られているのを発見し、すみやかに保護(購入)したのを今でも覚えています。

映画のオープニングタイトルで流れるエレクトリックギター・アンサンブルの不吉なメインテーマに一発でヤられまして、「これは是非サントラで聴きたい!」と思ったんですね。そのぐらいインパクトのある音楽だった。

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