NHK BSシネマで『プラトーン』の放送があるので拡張版サントラを自作した話

PLATOON – Expanded Original Motion Picture Soundtrack (TOWER RECORDS)

『プラトーン』(86)は自分が中学生の頃にテレビで観て衝撃を受けた…というか、物語に引き込まれて、時間を忘れて見入ってしまった映画でした。
当時はまだ何も知らない子どもだったので、サミュエル・バーバーの「弦楽のためのアダージョ」も、この映画ために作ったメインテーマ曲だと思って聴いておりました。もちろんその後情報を収集して、スコア作曲を作曲したのはジョルジュ・ドルリューで、バーバーの「弦楽のためのアダージョ」も彼の編曲によるものだときちんと覚えましたが。

そして時は流れ、サントラ盤もいろいろなバージョンが発売になったので、これまでバラバラに聴いていたアルバムをひとつにまとめて、自分なりの拡張版サントラを自作しようと思い立ちました。

まずは劇場公開時に発売になったサントラ盤。これはバーバーの「アダージョ」を2バージョンと、ジョルジュ・ドルリューのスコア”Barnes Shoots Elias”、そして往年の歌モノを収録したコンピ盤…なのですが、「PLATOON Original Motion Picture Soundtrack and Songs From The Era」という記述があるとおり、映画本編で使われない当時のヒット曲を収録したインスパイア盤的側面もあるサントラだったのでした。
そして”Adagio For Strings”にはチャーリー・シーンのラストのナレーションが入っている。
自分のように「音楽(劇伴)をじっくり聴きたいリスナー」にはいささか中途半端なサントラ盤でした。

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BANGER!!!で書いたクリストファー・ノーラン作品音楽コラムの補足的なお話

ムービープラスでのクリストファー・ノーラン監督作品特集放送に合わせて、BANGER!!!で『プレステージ』(06)、『インセプション』(10)、『インターステラー』(14)、『TENET テネット』(20)の音楽紹介コラムを書きました。

音楽も“逆再生”だった?『テネット』ほかクリストファー・ノーラン作品の音楽を紐解く! 『インターステラー』『インセプション』
https://www.banger.jp/movie/83771/

どの作品も解説を書くなら1タイトルで2,500字くらい必要なくらい緻密な音楽なのですが、今回はノーラン作品4タイトルの音楽を3,000字以内で紹介するという無謀な試みをすることになりました…。

先日twitterにも書きましたが、ノーラン作品の音楽解説コラムを書くことになってから3週間くらい、昼と夜、就寝前に毎日毎日『プレステージ』『インセプション』『インターステラー』『TENET』の音楽を繰り返し聴いて、コラムでそれぞれの劇伴のどの部分を紹介して、どの部分は今更言うまでもないことだから削るかという取捨選択に明け暮れる日々が続きました。

その間、ワタクシの応援している阪神タイガースが連日不甲斐ない試合をしていて、情けない試合を何回も何回も見させられたストレスと、弊社の決算期と原稿締め切りが重なった疲労が祟って、人生初の帯状疱疹を患うという事態になりました…。

せめて当方のBANGER!!!コラムが多くの方に読んで頂けたら、この苦労も報われるかなと思っております。

そんなわけで、今回のブログではコラムで書ききれなかったネタをいくつかお話ししたいと思います。

その1:悲しくなるくらい音楽が注目されなかった『プレステージ』

BANGER!!!のコラムでも書きましたが、劇場公開当時『プレステージ』の音楽は本当に注目されなかった。どのくらい注目されていなかったかというと、パンフレットのスタッフ紹介のページに音楽担当のデヴィッド・ジュリアンの名前がなかったほど。『メメント』(98)と『インソムニア』(02)のパンフにはきちんと紹介されていたにもかかわらず、です。

ネット上に出回っているサントラレビュー(国内・海外の両方)を見てみても、その大半は「退屈な音楽(面白みのない)」という内容のものでした。だから少なくとも2006年当時、この映画のスコアででジュリアンがシェパード・トーン(無限音階)を実験的に使っていることなど誰も気づかなかったし、指摘もしていなかったのですね。自分の場合は「サントラを聴いていたけどシェパード・トーンの存在には気づかなかった」というタイプのリスナーでしたが。

『ダンケルク』(17)のようにハンス・ジマーがシェパード・トーンを使うと注目されるけど、ややマイナーなジュリアンがそれを行ってもなかなか気づかれない。批評なんてそういうものなのかもしれません。自分はそうならないよう気をつけたいと思っています。

ワタクシは『インソムニア』や『ディセント』(06)、『キャビン』(12)のジュリアンの音楽が好きなので、今回のコラムで彼の音楽を紹介する機会をもらえて嬉しかったです。

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「死ぬまでにこれは観ろ! 2022」で『アメリカン・サイコ』のブルーレイを買いました

キングレコードの「死ぬまでにこれは観ろ!」シリーズで、『アメリカン・サイコ』(00)がラインナップに加わっていたので買いました。

『アメリカン・サイコ』 Blu-ray (amazon)
『アメリカン・サイコ』 Blu-ray (TOWER RECORDS)

なんか、ちょっと観ない間に強烈なパッケージビジュアルに変わってたんですね…。

自分が映画館に観に行った頃は、余白を活かしたデザインのポスター/チラシとか、クリスチャン・ベールの陰のある斜め横顔をフィーチャーしたスタイリッシュな写真だったのですが。
まあ映画の内容を考えれば、新装版のビジュアルでも間違いはないんだけど(実際、こういう顔をして素っ裸でチェーンソーを振り回しながら襲ってくるし)。

DVDを買ったのはもう20年くらい前になるのかな。
映像特典を比較してみると、

■DVD版
メイキング&インタビュー
クリスチャン・ベール来日コメント
オリジナル予告編
日本版予告編/特報
TVスポット

■ブルーレイ
The ’80s: Downtown(業界人インタビュー集)
削除シーン集(監督コメンタリーつき)
American Psycho: From Book to Screen(関係者インタビュー集)
音声解説×3(グウィネヴィア・ターナー、メアリー・ハロン×2)

…といった感じ。
当然のことながら後発のブルーレイ版のほうが特典も充実しているのですが、クリスチャン・ベール来日コメントは旧版DVDでしか観られないので、数分程度の映像特典とはいえ、DVDの存在意義があると言えるでしょう。
あと草尾毅さんや野沢那智さんの日本語吹き替えが聴けるのは、旧版DVDのみのようです。ブルーレイ版の吹き替えキャストはVOD版のものっぽかったので。

で、久々に『アメリカン・サイコ』のサントラなんかも聴いてみたりしたわけですが、いま思えば、自分が完全版・拡張版サントラを自作するきっかけになったのはこの作品だったんですよね…。

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HG G-ルシファーとモンテーロを部分塗装し直して部屋に飾りました。

ここ最近、劇場版『GのレコンギスタV 死線を越えて』関連のSNS投稿を眺めていたら、「テレビアニメ放送時にGレコのガンプラ結構買ったよなぁ」と懐かしい気持ちになり、当時少々雑に作ってしまったキットを部分塗装し直してお盆休みを過ごしていました。
こういうこまごまとした面倒な作業は、あまり外に出歩かなくなった今こそやりどきとも言えます。

まず再部分塗装に着手したのはHg G-ルシファー。
キュベレイやA級ヘビーメタルを彷彿とさせる、芸術性の高いシルエットに一目惚れしてプラモを買ったという思い出があります。
成形色の色分けもよく出来ているので、当時組み立てた時はスミ入れと胸部のパープルピンクぐらいしか色を塗らなかったのですが、スカート・ファンネルの付属シールで補えていない部分のパープルピンク部分を少し塗り足しました。

ガンダムマーカーの蛍光ピンクにブルーやレッドをチョイ足しするぐらいで色が作れるので、楽と言えば楽でした。

細身でどことなくフェミニンな造形なのが素敵ですな。

せっかくなので付属の台を使ってスカート・ファンネル発射状態も撮影。


「スカート・ファンネル喪失後の本体火力は無いに等しい」という様式美重視の思い切った設計が、「ロマン主義的」と言われるジット・ラボらしいなと思います。

左腰部分のビームサーベルがポロッと取れやすいので、無くさないよう注意が必要。

そうしてG-ルシファーを再部分塗装している間に、「そういえばモンテーロのウイングの裏側塗ってなかったな」と思い出したので、こちらも再塗装しました。

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『刑事グラハム/凍りついた欲望』のブルーレイを買ったので拡張版サントラも自作したお話

先日、遅ればせながら『刑事グラハム/凍りついた欲望』(86)のブルーレイを買いました。

以前WOWOWで放送した時に録画したからBDは買わなくてもいいかなと思っていたのですが、マイケル・マン好きを自認する者としては購入しておくべきなのではないか、購入見送ってその後BDが欲しくなった時、もう生産終了になっていて買えなくなるパターンに陥るのではないか、などと考えた結果、やはり今のうちに買っておこうということになってサクッと購入しました。

刑事グラハム/凍りついた欲望 [Blu-ray] – amazon

そしたらこれが買って大正解だったのです。

まず当方の思った以上に映像特典が充実していた。
ウィリアム・ピーターセン、トム・ヌーナン、ジョーン・アレン、ブライアン・コックス、撮影監督ダンテ・スピノッティのインタビューに加えて、音楽担当者(スコア作曲のザ・レッズとミシェル・ルビーニ、楽曲提供したバンドメンバー)のインタビュー映像を収録していたんですね。
短くても15分前後、ブライアン・コックスのインタビューに至っては40分近く喋ってくれている。音楽担当者のインタビューも40分強あって、ワタクシのような映画音楽ライターの仕事をしている人間にとっては実に参考になる話が聞けました。

そしてインタビューで語られる内容がどれも大変面白い。これは是非実際に映像を観て頂きたいので、どんなことを話していたのかはここでは書きません。
ただひとつだけ書かせて頂くならば、スコア作曲者や楽曲提供したバンドメンバーが『刑事グラハム』の音楽を絶賛しているのに、ブライアン・コックスが「もしこの映画をいま上映するなら音楽は差し替えたいな」と言っていたのはちょっと笑ってしまいました。
まあその理由が「80年代という時代を感じさせてしまうから(=いま聴くと古臭さを感じるから)」というのはよく分かるし、「その一方で、この音楽が我々をあの時代に誘ってくれる」と言っていたのも興味深い分析でした。何だかんだでコックスもこの映画が好きなんだな。彼が語ってくれるエピソードはどれも資料的価値が高いです。

あとディレクターズカット版本編が特典として収録されているのも嬉しかった。
劇場公開版が120分でディレクターズカット版は124分だから、収録時間的にはそれほど追加映像はないのだけれども、映画公開から30年近く経って(←映像特典のコピーライト表記から推察すると2016年のようです)ディレクターズカット版が観られるというのは実にありがたいものです。

そんなわけで久々に『刑事グラハム』本編を堪能したので、その勢いで拡張版サントラも自作してみました。

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