ディズニー presents 『ボルト』

8/1からディズニー映画『ボルト』(08)が公開になります。

ワタクシがマスコミ試写に行ったのは4月22日で、その時はまだ日本語吹替えの
キャストが決まっていなかったのですが、うーん、こういう顔ぶれになるのか…。

個人的には、字幕版での鑑賞をオススメします。なぜかというと、まず主人公のわんこ
「ボルト」の声をアテているのがジョン・トラボルタだから。飼い主のペニーひと筋の一途さ
とか、ボルトのナイーブな一面をあのソフトな声で表現していて実にいい感じなのです。

あと、ノラ猫のミトンズの声をアテたスージー・エスマン(TVシリーズ『ラリーのミッドライフ★
クライシス』の人)の演技がこれまた巧い。ひねくれ者だけど愛嬌があって、意外と親切な
一面も持ち合わせているミトンズのキャラを完璧に表現しています。日本語吹替えを担当
する某女優の声と演技では、ちょっとミトンズの魅力とは違うような気がするんですよねー。
やっぱりこういうキャラは本職の声優さんに演じてもらわないと。

幸い『モンスターvsエイリアン』(09)と違って、東京都内では字幕版が上映されている映画館も
結構多いようなので、ぜひぜひ字幕版でお楽しみ頂ければと思います。

肝心のお話はと申しますと、外の世界を知らないまま、ハリウッドの撮影スタジオの中で
育てられたスター犬「ボルト」の冒険物語ということで、ひと言で申しますと『トゥルーマン・
ショー』(98)のわんこ版という感じです。

「現実世界ではダメダメ犬」のボルトが冒険を通して立派に成長する物語・・・ではなくて、
ドクトクな環境で育てられたボルトが「フツーの犬のシアワセ」を掴む過程を描いた物語でした。
視聴率第一主義のTV業界への風刺なんかは、ドリームワークスのアニメだったらもっと
ブラックユーモアを交えて描いたと思うのですが、そこはディズニー映画。毒気はほどほどに
「愛・友情・優しさ」をテーマした、子供も安心して観られる作品に仕上がっています。

ま、そこに物足りなさを感じる人もいらっしゃるかもしれませんが、戦闘ヘリや戦車が登場する
劇中ドラマ『ボルト』の気合いの入ったアクション描写は大人も結構楽しめるのではないかと。
悪役のマッド・サイエンティストの声はあのマルコム・マクダウェルだし。

TVディレクター役が『アクターズ・スタジオ・インタビュー』のジェームズ・リプトン氏っていうのも
異色の配役です。言われないとなかなか気付かないなー、コレは。

さて本作の音楽はジョン・パウエルが担当してます。作曲時期が『ハンコック』(08)と重なって
いたのか、使用する楽器(ギター、ダルシマー、チェレスタ、ハーモニウム等)の構成にいくつか
共通点が見受けられます。とはいえ、アクション・スコアでは打楽器を鳴らしまくり、ドラマ・スコア
では流麗なメロディーで聴かせる、というパウエル節を存分に楽しめるのでなかなかよい感じです。

劇中ドラマ『ボルト』のアクション・シーンの音楽などは、ほとんど『ジャンパー』(08)とか
『Mr. &Mrs.スミス』(05)のノリで、子供向けアニメの音楽とは思えない仕上がり。これが
なかなか聴き応えがあるのですが、残念なのはアクション・スコアの一番オイシイ部分が
アルバムに収録されてないんですよね・・・。これだけは何とかしてほしかった。

サントラにはジョン・トラボルタとペニー役のマイリー・サイラスが歌う主題歌”I Thought I Lost
You”が収録されていますが、これがまたいい曲なんだな。トラボルタの声が若い!そして相変わ
らず歌が巧い! この曲が流れるエンドタイトルの映像も可愛らしいアニメーションに仕上がって
いるので、映画が終わっても席を立たずに曲とアニメを楽しんで頂きたいと思います。

国内盤はエイベックスから本日発売。歌詞・対訳もついているのでお買い得です。
ジャケットも日本盤の方が可愛らしい感じですしね。

『ボルト』オリジナル・サウンドトラック
音楽:ジョン・パウエル他
品番:AVCW-1235
定価:2,600円