エレクトリック・ミスト 霧の捜査線(In The Electric Mist):映画について

トミー・リー・ジョーンズ主演の激シブ・ハードボイルド映画をDVDにて鑑賞。

ジェイムズ・リー・バーク原作のデイヴ・ロビショー・シリーズ第6作「In the Electronic Mist with Confederate Dead」を映画化した作品です。

ちなみにデイヴ・ロビショー・シリーズは、第2作「天国の囚人」が『ヘブンズ・プリズナー』のタイトルで1996年に映画化されてます(主演はアレック・ボールドウィン)。フィル・ジョアノー監督のクールな演出がなかなかカッコイイ作品でした。それにしても、ボールドウィンが演じた役をジョーンズが引き継ぐとは、ロビショーも15年で随分枯れちゃったなぁ、という感じ。まぁ似合ってますけどね。ジョーンズのロビショーも。

今回の『エレクトリック・ミスト』は、ロビショーが若い女性を狙った連続殺人事件を追ううちに、自分が40年前に目撃したある殺人事件の記憶が蘇り、2つの事件が同時進行していくというストーリー。養女のアラフェアや使用人のバティストなど、原作でおなじみのキャラが登場しているのが嬉しい。アラフェアを養女に迎えたいきさつも語られていて、きちんと『ヘブンズ・プリズナー』との関連づけがなされています。

ロビショーが南軍将軍の幻覚を見始めるあたりから若干シュールな展開になるものの(彼は原作でも亡き妻の幻覚を見たりするのですが)、アル中気味の俳優エルロッド(ピーター・サースガード)との”幻覚”繋がりの友情とか、ヤクザな映画プロデューサー・バルボーニ(ジョン・グッドマン)との腐れ縁、その子分との奇妙な信頼関係など、ハードボイルド小説のツボを押さえたドラマは見応えアリ。50年前から時の流れが止まってしまったかのような、ハリケーン・カトリーナ襲来後のバイユー地帯の光景も味わい深いものがあります。

キャストもクセ者揃いで、上記の他にもロビショーの妻役でメアリー・スティンバーゲン、エルロッドの恋人ケリー・ドラモンド役で『ノーカントリー』(07)のケリー・マクドナルド、バルボーニの子分(いい奴)役で『メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬』(05)でタイトルロールを演じたフリオ・セディージョ、前科者のミュージシャン・ホグマン役でブルース界の大御所バディ・ガイ、その他ネッド・ビーティ、ジェームズ・ギャモン、プルート・テイラー・ヴィンスら「1度見たら忘れない顔」の面々が出るわ出るわ(映画監督役でジョン・セイルズまで出てる)。

ちなみに件の南軍将軍の亡霊を演じているのは元ザ・バンドのレヴォン・ヘルム。この人、浮世離れした胡散臭いジイさん役がすっかりハマリ役になりましたな(『ザ・シューター/極大射程』(07)とか)。

何はともあれ、ハードボイルド映画好きならとりあえず見ておいて損はないと思います。あと、ジョーンズ好きの人も。

音楽についてはまた次回。

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