タイタンの逆襲

Wrath of the Titans

巷の評価はどうあれ、僕自身は『タイタンの戦い』(10)が結構好きだったりします。
出演者の顔ぶれもよかったし、神と人間の愛憎半ばの関係を描いたドラマもツボだったし、クリーチャーデザインもいい感じだったし、音楽もよかった(と思う)。

そんなわけで、続編の『タイタンの逆襲』(12)もそれなりに期待して観に行ったのですが、やっぱり1作目の方がよかったなーと思いました。まぁ映画開始早々、前作のヒロイン・イオが既に亡くなっていたり(不老不死ではなかったらしい)、アンドロメダ役がアレクサ・ダヴァロスからロザムンド・パイクに変わっていたりして、何となく嫌な予感はしていたのですが。

今回は「親子(兄弟)の絆」という限定的なテーマが題材になっているせいか、ドラマが神と半神(デミゴッド)のキャラクター中心で、前作のような「神と人間の関わり」を描いたドラマが面白かった自分には何か物足りないものがありました。

前作も続編も「人間ドラマ」が描かれた作品とは言えないのかもしれませんが、それでも前作は人間が「神がいなくても俺たちはやっていける」と増長して神に祈らなくなったり、クラーケンが解き放たれた途端に右往左往したり、結構現代にも通じる人間の本質を突いたドラマが描かれていたように思うのです(千葉繁氏が声をアテた預言者みたいな人って現実の世界にもいるし)。

一方『タイタンの逆襲』に登場する人間キャラは、何というか「その他大勢」扱い。人間ドラマのスケールが小さくなったぶん、戦闘シーンの描写に力を入れたわけですが、監督が『世界侵略:ロサンゼルス決戦』(11)のジョナサン・リーベスマンだったせいか、何か『世界侵略:オリンポス決戦』みたいなノリで冗長な感じだったような気がする。ま、サイクロプスの造形は何か生々しくてよかったかなーとも思いますが。

何だかんだ言っても、やっぱり1作目の『タイタンの戦い』はよく出来ていた気がします。

音楽担当はラミン・ジャワディからハヴィエル・ナバレテ交代。リーベスマン監督だから、てっきりブライアン・タイラーが音楽を担当するものだとばかり思ってましたが。

で、このナバレテの音楽がなかなか健闘しておりまして、3回も聴けばすぐに覚えてしまう明確なメロディーのメインテーマ、スケール感のあるオーケストラ、ドコドコ打ち鳴らされる打楽器(+打ち込み)、エキゾティックで異様な音が渾然一体となった迫力あるサウンドを聴かせてくれてます。

まぁその・・・僕はそれでも前作でジャワディが書いたRC系メロディーの方が好きではあるのですが、続編の音楽もなかなかイケますぞ、と。

それなのに、アルバムはダウンロード販売のみ。何でこういう事するかなー。ちなみに曲数が多いせいか、収録時間が74分強と長いせいか、アルバムはiTunesで1650円でした(1曲200円)。その代わりデジタル・ブックレットつき。

ちなみに今回もブーボがゲスト出演してました。あれはなかなか上手い使い方だったかも。
(少なくとも「そんなもの置いていけ!」と言われるよりはマシ)

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