『47RONIN』で「投げっぱなし」と言われているあの伏線を検証する

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まだまだ『47RONIN』(13)の話が続きます。
「いい加減飽きた」という声も聞こえてきますが、
もうしばらくお付き合い下さい。

この映画、予算超過とか追加撮影とかいろいろゴタゴタしたらしいのですが、
これが監督デビュー作だったカール・リンシュも、さぞかし大変だった事でしょう。
『トロピック・サンダー 史上最低の作戦』(08)でスティーブ・クーガンが演じていた、
新人映画監督デミアン・コックバーンみたいな状況だったのではないかと。

まぁ、あのデヴィッド・フィンチャーですら、
監督デビュー作の『エイリアン3』(92)で修羅場を経験したわけですから、
リンシュも今回のゴタゴタにメゲずに頑張って頂きたいところです。
映像センスは確かなものを持っていると思うので。

今回は映画を観た人の中で「伏線投げっぱなし」と批判されている、
あの「天狗の刀」について自分なりに検証して書いてみようかなと。

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吉良城への討ち入りを画策する四十七士ご一行様。
しかし人数分の武器がない。
腕利きの刀鍛冶とやらがいるらしい村に行くも収穫ゼロ。
そこで「天狗に育てられた鬼子」ことカイ(キアヌ・リーブス)が、
「天狗様のところで”特別な”刀をもらってこよう」と提案するという流れでした。

ここで何が問題になっているかというと、
「天狗の刀のどこが特別なのか分からない」という事。
カイ曰く「使う奴によって(特別さの度合いが)違う」刀らしいのだけど、
その違いとやらが描けていないではないか、という話らしい。

でも終盤の討ち入りのチャンバラを見ると、
天狗様の刀の「特別さ」が一応描かれているんじゃないかなーと思います。

一番分かり易いのが、カイと竜変化したミズキ(菊地凛子)との対決シーン。
天狗の刀でバリアー(?)を張って、
ミズキのファイアブレスを防いでいるシーンがありました。

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天狗様の刀の秘めたる力が発動!!

これは天狗様の刀の「特別な力」って事でいいんじゃないでしょうか?
天狗の秘術を習得したカイがあの刀を使うと、
ああいう特殊なスキルが発動すると。

それじゃあ普通の人が使うとどう特別なのか、という話になるわけですが、
とりあえず「堅いものを斬っても刃こぼれしない(折れない)刀」って事でいいのではないでしょうか。

うーん、何だか「それだけかよ!」と突っ込まれそうだ…。

でも突っ込む前にちょっと思い出して頂きたい。
御前試合のシーンで、確かカイが巨人兵士に刀を折られるシーンがありましたが、
要はそういう事だと思うのですよ。
普通の刀だったら折れてしまいそうなものでも、
天狗様の刀なら何を斬っても折れませんと。
確か討ち入りの場面でも、天狗様の刀が折れる描写はなかったと思うので、
多分この解釈でいいのではないかなーと思います。

ガンダムで例えるならZガンダムのバイオセンサーみたいなもので、
あれもニュータイプ特性の高い人が乗ると、
バイオセンサーと共鳴してZの秘めたる力が発動するという仕組みでしたが、
フツーの人が乗ってもリミッターがかかって機能しない仕様でした。
天狗様の刀もそれと同じようなものって事でよろしいんじゃないでしょうか。

ま、このへんの描写をあまり細かくやろうとすると、
セリフが説明的かつ不自然になったり、映画のテンポが悪くなったりするので、
こと細かに説明されなくても自分の頭の中で補完するのが一番ではないかと。
あの状況だと、そもそも「吉良に知られずに質のいい刀を大量に入手する」事自体が難しいから、
いわゆる「闇ルート」で天狗から刀を調達しようという事だったのだと自分は解釈しました。

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次の投げっぱなし説はアイツです。
「US版ポスターで大写しになっている出島の骸骨タトゥー男が活躍皆無」という話。
あれはねぇ…一体どうしちゃったんでしょうねぇ。
出島に来た大石内蔵助に「何かお探しかい?お侍さんよぉ」とか声をかけただけ。

あれは恐らく…出番がカットされたのではないかと思われます。
本当は彼の場面をもう少し撮っていたかもしれないけれど、
何しろ追加撮影だの再編集だのゴタゴタしたらしいので、
出演シーンを大幅に削られた可能性が高いです。
もしかしたら、大石やカイと斬り合いをやっていた…のかもしれません。
ま、このあたりはDVD/Blu-rayになった時の音声コメンタリーか、
未公開シーン集の映像特典でハッキリするのではないかと思います。

それを考えると巨人兵士の呆気ない爆散も、
本来は違う最期だったのかもしれませんね。
予算超過で散り様を変えたとか。

あとは『47RONIN』の音楽について書きたいと考えているのですが、
こちらは諸般の事情で年が明けてからブログに投稿する予定です。
誰がこんな文を読んで下さっているか分かりませんが、
何卒ご了承下さい。

 

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