「行け!マッコール 我前に敵は無し」 世直し仕置き人アクション『イコライザー』

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アメリカ国内の映画興行成績トップ10で、
堂々の初登場1位を記録したデンゼル・ワシントン主演最新作『イコライザー』(14)。
ワタクシ仕事の関係で先月マスコミ試写に行ってきたのですが、
確かに面白い映画でした。初登場1位も納得。

この『イコライザー』という作品、
80年代に放送されていたTVシリーズ『ザ・シークレット・ハンター』が原案でして、
これがどういう話だったかというと、
「カンパニー」なる諜報機関を引退した初老の男ロバート・マッコールが、
法で裁けぬ悪党を人知れず成敗するという1話完結型のクライムドラマでした。
マッコールを演じていたのは英国俳優のエドワード・ウッドワード。
マッコールは一応「探偵」みたいな設定になってたんでしたっけ?

で、今回デンゼル・ワシントンが演じた新生ロバート・マッコールは、
元CIAで昼はホームセンターの従業員、夜は悪党を成敗する仕事人という、
「二つの顔を持つ男」にキャラ設定が変わってます。
そしてデンゼル版マッコール最大の特徴は、
「銃を常時携行せず、身の回りにあるものを武器に返る」という特殊スキル。
「日用品を使ってピンチを切り抜ける」と聞くと、
「それって『ザ・シークレット・ハンター』というより『冒険野郎マクガイバー』じゃね?」
…と思うわけで、実際ワタクシもそう思いましたが、
『イコライザー』を最後まで観たら、
「ああ、確かにこれは『ザ・シークレット・ハンター』の映画版だわ」と納得いたしました。

劇中、ビル・プルマンとメリッサ・レオが扮するプラマー夫妻というキャラが出てくるのですが、
この二人がTV版でいうところの「コントロール」的な役目を果たしておりまして、
まずここで「ああなるほど」と思いました。
あとはTV版でおなじみのキャッチフレーズ、
“Odds Against You? Need Help? Call The Equalizer”
…もちゃんと出て来ます。
で、このキャッチフレーズが出てくるシーンを観た時、
「ああそうか!この映画はこういうことだったのか!」と分かるようになってます。
言うなれば『ザ・シークレット・ハンター:エピソード0』。
この演出、ニクいぐらいキマってますね。。

 

ちなみにこのロバート・マッコールという男、
ものすごく強いです。
ピンチらしいピンチもほとんどなかったと思う。
セガール拳、リーアム拳に続いてデンゼル拳が炸裂します。
「あんまり強いとスリルに欠けるのでは…?」と思われるかもしれませんが、
いやこれがすげー面白いんですよ。
マッコールがあまりにも強いので、
「この悪党をどんな方法でブチのめしてくれるんだろう」とワクワクしてしまうのです。
ノリ的には『96時間』(08)のリーアム無双に近い(1作目のほう)。
あっちは「娘のためならどんなことでもする」というお父さん。
こっちは「更正の余地のない悪党は問答無用でブチのめす」という仕置き人。
マッコールはロシアン・マフィアとかレジ強盗とか、
更正の余地のない悪党は徹底的に痛めつけるけども、
汚職デカ程度なら数発ボコって罪を償わせるなど、
自分の中で「処刑レベル」を設けているのがポイントかと。

今回のメインストーリーは、
「マッコール、顔なじみの娼婦を暴行したロシアン・マフィアを処刑するの巻」
…という感じだったので、個人的には
「もし『マイ・ボディガード』(04)のクリーシーが、あの後アメリカに帰国していたら?」
…みたいな感じで本編を観てしまいましたね。
あの映画はもう続編が作れない終わり方をしてしまいましたが、
こっちは続編も十分イケるでしょう。

 

というわけで、『96時間』のあのノリが好きな人なら絶対楽しめます。
個人的には10月のお勧め映画のひとつですねー。
監督は『エンド・オブ・ホワイトハウス』(13)のアントワーン・フークア。
あの映画は正直あまり好きではありませんでしたが(シークレット・サービスが犬死にしすぎ…)、
今回は以前のフークアのタッチに戻ってくれたかな、という印象でした。

音楽についてはまた次回。

 

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