『さよなら、僕のマンハッタン』はロブ・シモンセンのスコアも素晴らしいので、是非スコア・アルバムもご購入頂きたいという話。

先日『さよなら、僕のマンハッタン』(17)を観てきました。

「『(500)日のサマー』のマーク・ウェブ監督、10年越しの企画」
「『(500)日のサマー』よりも撮りたかった作品」
「ハイセンスな選曲の音楽」

…という感じで各方面でなかなかの絶賛ぶりなのですが、
ワタクシ的に最も関心があるのが音楽。
誰も言ってくれないので、
この場を借りて声を大にして申し上げたい。

「『さよなら、僕のマンハッタン』は劇中使用曲だけでなくロブ・シモンセンのオリジナル・スコアも素晴らしい!」と。

 

こういう「劇中使用曲の選曲がよい映画」のレビューでよくある話なのですが、
評論家が言うところの「音楽が素晴らしい」というのは基本的に歌モノのことで、
映画音楽家が書き下ろしたスコアについてはあまり触れてくれていないんですよね。。

それじゃあスコアは歌モノのオマケなのか?
歌が入っていない音楽はつまらない?
あるいはスコアはそれほど名曲じゃないのか?

いやいや、そんなことはないでしょうと

誰か評論家が『さよなら、僕のマンハッタン』のスコアを紹介してくれればよかったのですが、
あまりそういう記事を見かけないので、
僭越ながら『二ツ星の料理人』(15)と『gifted/ギフテッド』(17)、『ジーサンズ はじめての強盗』(17)のサントラ盤ライナーノーツを書かせて頂いた自称”シモンセニスト”のワタクシがスコアを紹介させて頂きます。

■ロブ・シモンセン関連作品の過去記事
『gifted/ギフテッド』サントラ盤ライナーノーツで作曲家のロブ・シモンセンにインタビューしました。
https://www.marigold-mu.net/blog/archives/9010

天才少女メアリーのかわいらしさと聡明さをバランスよく描いた『gifted/ギフテッド』の音楽
https://www.marigold-mu.net/blog/archives/9022

『ジーサンズ はじめての強盗』のサントラから選曲のコンセプトを読み解いてみる
https://www.marigold-mu.net/blog/archives/8689

優雅でポップでメロディアス、隠し味にはちょっとした緊張感。
映画『二ツ星の料理人』の音楽
https://www.marigold-mu.net/blog/archives/7762

 

マーク・ウェブ監督は『(500)日のサマー』でタッグを組んで以来、
『ギフテッド』やTVシリーズの『Battleground -戦場』(12)などロブ・シモンセンを重用しているのですが、
今回は過去の作品と少し趣の異なる音楽を聞かせてくれます。

『(500)日のサマー』も『ギフテッド』もほのかにポップなサウンドを隠し味にしたミニマル・スコアでしたが、
『さよなら、僕のマンハッタン』はちょっとクラシカルで(60年代~70年代の映画っぽい感じの)アコースティックな質感のスコア。
オーケストラに木管やギター、チェロなどのソロ演奏をフィーチャーして、
ジャズ・ワルツ・タンゴのエッセンスを加えた「洗練されたオトナのスコア」に仕上がっています。
メインテーマの流麗メロディも、何度か聴いていると自然に耳に馴染んでくる感じ。

『(500)日のサマー』のスコアは恋に恋する青年の若々しさがうまく出ていて、
『ギフテッド』のスコアは天才少女の溌剌とした瑞々しさが伝わってきたけれども、
今回の『さよなら、僕のマンハッタン』は、
「まだ青臭さの残る青年が、”きれいごとだけじゃない”大人の恋愛関係に足を踏み入れて人生を学んでいく」…というビタースウィートな成長ドラマがしっかり描けている音楽ではないかなと思います。

映画を観て最初の15分くらいは、
「このちょいとスノッビーな登場人物たちに感情移入出来るかしらん?」と思ったのですが、
シモンセンのスコアに乗せて右往左往(?)するキャラクターたちを観ていたら、
すんなりと彼らにシンパシーを覚えるようになりましたね~。
ワタクシの場合、特にお父さん(ピアース・ブロスナン)と最後に和解出来て良かったなぁと真剣にホッとした次第でして。
これぞまさしくドラマに説得力を持たせるオリジナル・スコアの魔力。

スコア・アルバムはダウンロード形式でのリリースのみで、
全18曲・収録時間31分くらい。
ボリューム的には気持ち少なめという感は否めませんが、
音楽のクオリティは高いし、
不思議なことに短さが気にならないアルバムになってます。

…というわけで映画本編を気に入った方は、
是非ロブ・シモンセンのスコア・アルバムもお買い求め頂きたい。
なお劇中使用曲は以下の通り(だったと思う)なので、
何らかの方法で歌モノを揃えて、
さらにスコア・アルバムを購入して、
自分だけの「『さよなら、僕のマンハッタン』完全版サウンドトラック・アルバム」を作るというのも面白いのではないかなと思います。

1.Blues Run the Game – Simon & Garfunkel
2. Peace Piece – Bill Evans
3. La Paloma Azul (Live) – Dave Brubeck Quartet
4. Maiden Voyage – Herbie Hancock
5. Tonight at Noon – Charles Mingus
6. Oysters – Meshell Ndegeocello
7. Perfect Day – Lou Reed
8. Tanga – Machito
9. The Only Living Boy in New York – Simon & Garfunkel
10. Visions of Johanna (Alternative Take) – Bob Dylan
11. All We Ever Knew – The Head and the Heart
12. Be My Baby – Christine Ohlman & Johnny Gale
13. Whiter Shade of Pale – Marcus Farrar

 

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