『ドラゴン・タトゥーの女』:トレント・レズナーの音楽

the girl with the dragon tattoo

MOVIX仙台の木曜のメンズデーまで待ちきれなくて、公開初日に観に行ってきました。
期待に違わぬ見応えのある映画で、ワタクシ的には大満足。
やっぱりデヴィッド・フィンチャーの撮る映画は毎回クオリティ高いです。
(巷では評価がイマイチな『ゲーム』(97)も結構好き)

深みのある映像とシャープでエッジィな編集で、158分の長尺もあっという間。
「人間の心の闇」を巧みに表現する実力派俳優の顔ぶれも素晴らしい。
ダニエル・クレイグは翳りのあるいい役者ですねぇ。無骨な感じなのもイイ。
ジョエリー・リチャードソンも素敵なマダムだった(ちょっと年を感じさせたけど)。

オリジナル・スコアは『ソーシャル・ネットワーク』(10)に続いてトレント・レズナーとアッティカス・ロスの二人。前回の音楽も凄かったけど、今回の『ドラゴン・タトゥーの女』(11)のスコアも、かなり手の込んだ造りになってます。

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『ソーシャル・ネットワーク』の音楽

the social network

公開前にあちこちから断片的に得た情報で、
恐らく『ゾディアック』(07)の流れを汲む会話劇になるのだろうなーとは思っていたのですが、
この映画の会話のテンションというか緊張感は、
どちらかというと舞台劇のそれに近い印象でした。
映画で言うとジャック・レモンとアル・パチーノが共演した『摩天楼を夢見て』(92)のノリ。

パンフの資料によると、フィンチャーは役者を個別にこっそり呼んで、
「この場面ではお前の言っている事の方が正しいから、絶対に譲るな」と焚きつけてから撮影に入ったそうなので、
役者同士の言葉のやりとりの迫力が半端じゃない。

「自分の方が正しい」という絶対的な自信のもと、
双方がものすごい勢いで主張しまくる。
どちらも絶対に折れない。
実際に日本の職場であんな議論をしたら、人間関係が崩壊しそうです。
さすがディベート大国アメリカ。
いろんな意味でリアルなアメリカ文化を疑似体験出来る映画かもしれません。
それが面白いかどうかは別として、ですが。

『ゾディアック』の撮影時にマーク・ラファロが、
「フィンチャーはカメラを回しっぱなしにするから、トイレに行く時間もなかった」と言ってましたが、
今回も1シーンの撮影に90テイクとか200テイクなんて事もザラだったとか。
このテイク数は拷問に近いですね…。
フィンチャーのこだわりも凄いが、それに応える俳優も凄い。
決して楽しい内容の映画ではありませんが、
テンションの高い俳優の演技は一見の価値ありでしょう。

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