北野武 著『不良』を読んでみた。

9月の4連休はどこへも行かず、外出自粛生活を継続すると決めていたので、巣ごもり生活のお供に北野武 著の小説『不良』を買いました。
ハードカバーで1500円+税。

たけしさんの小説を読んでみようかなと思ったのは、Yahoo!ニュースで見た小説の販促用インタビューでいろいろ腑に落ちる(共感できる)ところが多かったから。

北野武「ヤワな優しさを捨て、野性を取り戻せ。国の理不尽に本気で怒るのも〈新しい生活様式〉」
https://news.yahoo.co.jp/articles/d2d13c1076e0a6852bc9684f45f421ae3942caf8


こういう考え方を持っている人が、小説ではどういう物語を組み立てていって、どういうテーマを描いているのだろうと興味が湧いてきたわけです。

主人公である高野茂が「俺」という一人称で語り手となり、中学校のバンカラな同級生の「キーちゃん」こと吉岡菊二とその仲間との交流を綴っていく、北野武映画でおなじみのバイオレントな世界を舞台にした青春小説(キーちゃんは実在の人物をモデルにしているらしいです)。

北野作品の原点にして、渾身の青春バイオレンス小説!北野武『不良』発売!
https://rooftop.cc/news/2020/06/06200000.php


小説の中で描かれる世界も、その大半がヤクザ業界のお話。
もちろんそれもマフィア映画のようで面白いのですが、物語の舞台となる高度経済成長期の「その恩恵を全く受けていない人たち」の日常描写が興味深い。


「真面目に働いたって全然報われないんだから、ヤクザな仕事に手ェ出して日銭稼ぐしかないだろ」的な発想になってしまう青年たちの行動が、短慮ながらも逞しく、そして痛々しい。
そしてヤクザ稼業も結局カネが全てで、下っ端は上納金の捻出に明け暮れる日々を過ごすという、映画『フェイク』(97)でも描かれていたサエない日常が続いていく。

しかし何と言ってもキーちゃんの無茶苦茶ぶりがすごい。
『グッドフェローズ』(90)のジョー・ペシそのまんま。

ケンカも強いし頼もしいんだろうけれども、生き方があまりにも刹那的かつ無茶苦茶なので、絶対長生きできそうにないタイプ。
さらに一緒に付き合っていたら確実に面倒事に巻き込まれるタイプなんですな。
実際、主人公の茂もキーちゃんに誘われて、なし崩し的にヤクザ稼業に手を染めてしまうわけですが。

で、一連の北野武映画でもそうであるように、今回の『不良』でも「好き勝手やって来た奴にはそれ相応の報いが来る」という結末になっているのが深い。そして切ない。
話の核心に触れてしまうので詳しくは書きませんが、中学生の頃に非凡な(ケンカの)センスを持っていたキーちゃんも、結局大人になってからは「堕ちていく人間」の一人でしかなくなってしまう。
カタギでやっていく選択肢もあったのに、道を踏み外してしまう茂の仲間もいたりして、呆気ない結末だからこそ、生き方についていろいろ考えさせられるお話でした。

たけしさんの文章は、度な装飾を控えた簡潔なスタイルなので、一気にスラスラ読めてしまう。
次の展開が気になって、2日ぐらいで読んでしまいました。
自己破滅的な登場人物、「指を詰める」「ドスが腹に刺さった」など痛覚を刺激する描写もバンバン出てきますが、笑えるエピソードも織り込まれておりまして、茂の地獄のような童貞卒業エピソードにはかなり笑わせて頂きました。
アイビーファッションに関する一連のエピソードも何かヘンで可笑しかった。

あと、物語の舞台になった当時の流行歌の描写が何度か出てくるのですが、その歌詞に対するツッコミがなかなか面白い。
面白いからここでは書きませんが、例えるならこんな感じですかね。

「三橋美智也の[星屑の町]っていう歌が流れてるけど、”両手を回して 帰ろ 揺れながら”って、そりゃどんな歩き方だよ。不自然にもほどがあるだろ」

1950年代半ば〜1970年くらいまでの、日本の混沌とした雰囲気が味わえる作品でした。

「3-4X7月」は高校野球ネタの短編でした。
たけしさんは例のバイク事故を経験して、その時にこういう体験をされたことがあったのかも…?などと思ってしまいました。

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