ハンス・ジマー式ドキュメンタリー音楽の世界を堪能できるアルバム 『リビルディング・パラダイス 楽園に戻るまで』

ランブリング・レコーズ様からのご依頼で、ドキュメンタリー映画『リビルディング・パラダイス 楽園に戻るまで』(20)のサントラ盤に音楽解説を書かせて頂きました。
音楽担当は『ワンダーウーマン 1984』(20)のハンス・ジマーと、『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』(18)のローン・バルフ。

この映画はナショナル・ジオグラフィックのチャンネルで確か昨年の11月くらい(だったと思う)に放送されたぐらいで、劇場公開にもなっていないし、CSのほかのチャンネルでも放送していないような気がしたのですが、ランブリングさん的には「それでもこの作品は是非リリースしたい」という思いがあったようです。「ジマーさんの音楽が素晴らしいから」ということなんだろうなと思います。

実際、ランブリングさんはジマーのドキュメンタリー系サントラをいくつかリリースしていて、『プラネット・アースII』(16)と『Seven Worlds One Planet』(19)は大変よいアルバムでした。

前述のネイチャードキュメンタリー作品の音楽に比べると、『リビルディング・パラダイス』のスコアはドラマティックな盛り上がりは抑え気味。
サウンド的には「『ダークナイト』3部作以降のミニマル・ミュージックとの邂逅を果たしたハンス・ジマーのスコア」ということになります。
『ワンダーウーマン 1984』のような派手なキャッチーさはないものの、同一音型の反復で徐々に盛り上げていく楽曲構成は、『インセプション』(10)の名曲”TIME”を彷彿とさせるものがあり、とても味わい深いサウンドです。

アルバム1曲めの”Rebuilding Paradise”が映画の事実上のメインテーマ。
個人的には3曲めの”One Year Anniversary”がベストトラックですね。
ジマーやバルフの海外メディアのインタビューを読んだり聞いたりしていると、たぶん彼らが本作で一番力を入れていたのは3曲めのようなスコアなのではないかなと思います。

例によって”Music by Hans ZImmer & Lorne Balfe”というクレジット(さらにadditional musicで4人のコンポーザーの名前あり)なので、ジマーとバルフがどのぐらいの割合で曲作りに携わっているか分かりにくい部分もあります。
でも今回はロン・ハワード監督作なので、さすがにジマーさんも「メインテーマ曲だけ書いてあとはお弟子さんにお任せ」みたいな仕事はしていないと思われます。ジマーとバルフはハワードが製作総指揮を務めたTVシリーズ『ジーニアス:世紀の天才 アインシュタイン』『ジーニアス:ピカソ』でも音楽を担当しているので。

ジマーもバルフも説明不要の人気作曲家なので、差込解説書でも彼らについて目新しいことは特に書けなかったのですが、ゲストミュージシャンでちょっと珍しい方がソリストとして参加していたので、そのあたりをご紹介させて頂きました。

あとカリフォルニア州の山火事については、以前インタビューなどでお世話になったLA在住の映画音楽家さんと、当時頻繁に安否確認のやり取りをしていたので、その時に聞いた話などを少し書きました。

『インセプション』の”TIME”のような音楽がお好きであれば、心に響くサウンドトラックアルバムだと思います。

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『リビルディング・パラダイス 楽園に戻るまで』オリジナル・サウンドトラック (TOWER RECORDS)

『リビルディング・パラダイス 楽園に戻るまで』オリジナル・サウンドトラック
音楽:ハンス・ジマー&ローン・バルフ
発売・販売元:Rambling RECORDS Inc.
品番:RBCP-3390

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