「吸血鬼+西部劇+ブルースロック」の異色作 ジョン・カーペンターの『ヴァンパイア/最期の聖戦』

先日中古CDショップに行ったら、『ヴァンパイア/最期の聖戦』(98)のサントラが500円コーナーで投げ売りされていたので、すみやかに保護してきました。映画公開当時買いそびれたサントラだったんですよねこれ。

ジョン・カーペンターのフィルモグラフィーの中でも、あまり語られる事のない映画ではありますが、見所を挙げるならばヴァンパイア討伐隊「スレイヤーズ」のリーダーを演じたジェームズ・ウッズのイカす不良中年っぷりと、『30デイズ・ナイト』(07)のパンフレット内解説でネタにされていたマーク・ブーンJr.の無惨かつアッパレな最期などが挙げられます。
「ヴァンパイアもので西部劇を撮る」というカーペンターのウエスタン・ムービーへの偏愛が微笑ましいです。

で、この映画のサントラ。例によってカーペンターが自分でスコアを作曲しているわけですが、これがコッテコテのブルース・ロック。自分でギター、ベース、シンセを演奏するだけでなく、わざわざスティーヴ・クロッパー(g)やドナルド・”ダック”・ダン(b)、リック・シュローサー(dr)ら腕利きを招集して、「The Texas Toad Lickers」なるバンド(これまたコテコテなネーミングセンス)まで組んでしまうんだから、カーペンターのこの映画への入れ込み具合が分かるというものです。

カーペンターのセルフ・ライナーノーツによると、

「『ヴァンパイア/最期の聖戦』は実にウエスタン・ムービー的だ。ジェームズ・ウッズはこの映画を『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ヴァンパイアランド』と呼んだ。
(中略)
我々は南西部のバーでバンドが演奏しているようなブルース感が欲しくなり、“ザ・テキサス・トード・リッカーズ”を結成した。私は偉大なミュージシャンたちと演奏し、ひと晩中飲んだくれた。
(中略)
私はこのサウンドトラックを大いに気に入っている。あなた方も気に入ってくれる事を願う」

…というような事を言っておりまして、レコーディングを大いに楽しんだ様子が窺えます。

carpenter

『ゴースト・オブ・マーズ』(01)ほどのハジケっぷりはないものの、「ワシはエレクトロニカとかテクノなんて知らん」…と言わんばかりの泥臭くて男臭いブルース・ロックは聞いていてクセになります。カーペンターのベンベン節も健在。

個人的にはスレイヤーズのテーマ”Slayers”と”Padre’s Wood”がお気に入り。コアなカーペンター・マニアでブルース・ロック好きなら”買い”の一品です。

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