トニー・スコット追悼企画/『ドミノ』のサントラを補完してみる

週明け早々トニー・スコットが亡くなったというニュースを聞き、どうにも気が滅入って仕方がない。

「関係者でもないんだから、そこまで考え込む必要ないだろ」というお声もあるかと思いますが、ワタクシの大好きな監督のひとりだし、『ハンガー』(83)から『アンストッパブル』(10)まで監督作を全部見てきた事もあって、思い入れが深いぶん、喪失感も大きかったりするのです。

傍目にはコンスタントにヒット作を撮って、自分のスタイルを確立させて、兄弟で映画製作会社(スコット・フリー)を立ち上げて、そこでも手堅くヒット作を製作して順風満帆でやっていたように見えたのですが、きっと本人にしか分からない悩みがあったのでしょう。

たぶん、これからいろんな憶測やら情報やらが出てくると思いますが、個人的には必要以上にネタを追いかけず、あれこれ詮索しないようにしようと考えています。

そんなわけで、今回はトニー・スコット追悼の気持ちも込めて、2005年監督作品『ドミノ』のサントラを補完してみたいと思います。

『トゥルー・ロマンス』(93)で開眼した過激なバイオレンス描写&三つどもえの限定空間銃撃戦と、『スパイ・ゲーム』(01)あたりから磨きがかかった(加速した)ガチャガチャしたカメラワークや映像テクニック(スローモーション、早回し、逆回し、フラッシュバック、オーヴァーラップ、細かいカットの積み重ねなど)をこれでもかと使いまくった異色作。

巷の評価はイマイチのようですが、キーラ・ナイトレイがカッコよく撮れているし、『レスラー』(08)でゴツい体型になる前のミッキー・ロークが好演しているので、個人的には好きな作品です。賛否真っ二つに分かれているトニー・スコットのガチャガチャした映像も、個人的には大好きです。

サントラはWAGRAMというレーベルからひっそりとリリースされました。いわゆるヨーロッパ盤というやつです。当時タワレコ渋谷店のサントラコーナーにこれまたひっそり売られているのを見つけて、速やかに保護しました。

 

トラック数は21あるのですが、そのうち8トラックは劇中のダイアログ。映画で使われた歌モノ12曲(テクノ・ヒップホップ・懐メロ・クラシックなどごった煮状態)と、ハリー・グレッグソン=ウィリアムズのスコア1曲が収録されてます。

01: Am I Really That Bad (Danny Saber Mix) / Domino Harvey and the Dagger Baileys
02: Azulee / Shantel
03: Paris / BT
04: Autumn Evening / Bai Kwong
05: 3 The Hard Way / Bahamadia
06: Choke Me, Spank Me (Pull My Hair) / Xzibit
07: I’m Sorry / Brenda Lee
08: Jesus Gonna Be Here / Tom Waits
09: Bounty Squad / Harry Gregson-Williams (オリジナル・スコア)
10: Matthaus Passion / J.S. Bach
11: Nasty Girl / Nitty (The Archies “Sugar Sugar”のヒップホップ・カヴァー)
12: Mama Told Me (Not to Come) / Tom Jones with Stereophonics
13: Real / Macy Gray

サントラ未収録曲はだいたい以下の通り。

■Another Soul / Harry Gregson-Williams
■Main Title: Man on Fire / Harry Gregson-Williams
■The Barrio / Heitor Pereira
■Alma Muda / Heitor Pereira
■Got Answers / Seeds of Love
■Get Out / Seeds of Love
■Animal Control / Seeds of Love
■The Gambler / Xzibit featuring Anthony Hamilton
■Muthaf*cka / Xzibit
■Impressionism / Robert Viger
■Tango Bradere / Brad Hatfield
■Two To Tango / Brad Hatfield
■Speaking In Tongues / Eagles of Death Metal
■San Berdoo Sunburn / Eagles of Death Metal
■Troubleshot / Mike Chapman
■The Weakest Link / Paul Farrer
■Why Did I Let You Go Away / Bobby Kranc
■Debestar / The Green Car Motel
■Shimmy Riddle / Matt Backer
■Ska Rats / Kent Buchanan
■Hey You / Nick Welsh
■Mr. Lucky / Rudy Guess
■Latinova / Andrew Basil
■Let’s Get It On / Bill Baylis
■Next Trend / BeatCorp
■Hot Lips / The Funky SOL
■Nothing Is Wrong / FC Kahuna
■Where Do You Keep Your Love / Lennox Brown (as Buppy) featuring Marius Moga
■Me So Horny / 2 Live Crew
■Hail To The Chief / Graham de Wilde
■Boom Shot Dis / ‘Kully B’ / Gussy G
■Juice / GMS
■La Marcela / Jack Darby featuring Joe Motter on Trumpet
■Cold Cold Ground / Tom Waits
■Hell-Bent / Deakin Scott
■Supa Powa / Da Diggler
■Hands of Time / Groove Armada

特筆すべきは、『マイ・ボディガード』(04)で後半パートがナイン・インチ・ネイルズの”The Mark Has Been Made”に差し換えられたメイン・タイトル曲が今回やっと日の目を見た点でしょうか。Nich Welshの”Hey You”はWWEファンにはブライアン・”スパンキー”・ケンドリックの初期入場曲として有名かと。グルーヴ・アルマダの”Hands of Time”は『コラテラル』(04)でも使われてました。

オープニング・タイトル曲の”The Gambler”がサントラ未収録だったのは残念でしたね。イグジビットの”Muthaf*cka”も映画本編で「マザファカ!」の連呼が妙に耳に残った曲。トム・ウェイツは劇中ザ・ワンダラー役で顔を出してるんだから、”Jesus Gonna Be Here”だけじゃなくて”Cold Cold Ground”もアルバムに収録してほしかった気がする。

曲数が多いのでフルコンプは至難の業かと思いますが、根気と努力とトニー・スコット作品への愛の力で、可能な限り曲をコレクトして自分だけの『ドミノ』サントラ盤を作って頂ければと思います。

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