デスティニー 未来を知ってしまった男

first snow

ガイ・ピアース主演の日本未公開サスペンス映画。
原題はFIRST SNOW。2006年作品。

やり手セールスマンのジミー(ピアース)が、砂漠の田舎町で占い師(J・K・シモンズ)に自分の未来を占って貰ったところ、「初雪(=First Snow)の日にあんたは死ぬ」と言われ、強迫観念に取り憑かれて平凡な人生が少しずつ狂っていってしまうというお話。

サスペンスとはいっても、かなり静かで淡々とした映画です。
見る人によっては「退屈」と思うかもしれません。
でもこの映画の場合、この淡々とした展開がいいんです。

果たして胡散臭い占い師の言った事は正しいのか?
もしそうだとして、ジミーにどんな死(事故死・病死など)が待っているのか?
仮に誰かに殺されるのだとしたら、一体誰なのか?

…というような”迫り来る不安”が静かに描かれていくのですが、静かに精神のバランスを崩していくガイ・ピアースを筆頭に、『スパイダーマン』シリーズのJ・K・シモンズ、『プリズン・ブレイク』の”マホーン捜査官”ことウィリアム・フィクトナー、『プレステージ』(06)のパイパー・ペラーボ、『バッド・ルーテナント』(09)のシェー・ウィガム、『コーチ・カーター』(05)のリック・ゴンザレスらクセ者俳優が、皆さんいい芝居をしていらっしゃいます。

特にシェー・ウィガムの怪演は必見。この人、『バッド・ルーテナント』の「オゥイェー」とか言ってヨタりまくる変なチンピラ役とか、『プライド&グローリー』の破滅する汚職警官役とか、『実験室KR-13』(09)の口数の多い被験者役とか、ちょっとアブない役で面白い演技をしてくれる俳優です。今回の『デスティニー』でも、ガイ・ピアースを引っかき回す訳アリの幼馴染み役を好演しています。

この映画のテーマは「運命は自分の力で変えられるのか?」というものだと思うのですが、「過去に犯した罪からは逃れられない」とか、「死を覚悟したら自分の人生にケジメをつけろ」という裏テーマが存在すると僕は考えます。そんなわけで、セリフとかジミーの行動を深読みすると、なかなか興味深い内容の映画ではないかなーと思います。ネタバレは避けますが、ラストも僕の好きな終わり方でした。

音楽は『ドライヴ』(11)のクリフ・マルチネス。実はこの日本未公開作をレンタルしてみる気になったのは、音楽をマルチネスが担当していたからだったりします。「マルチネスが音楽をやっているなら、ただのB級映画じゃないだろう」と、まぁそう思ったわけです。実際、その読みはアタリだったのですが。

サウンドは『ドライヴ』や『ソラリス』(02)の流れを組む、実にマルチネスらしいアンビエント・スコア。アコースティック・ギターのアルペジオがいいアクセントになっていて、砂漠の田舎町の寂れた空気感を醸し出してます。

ダメモトでiTunesを検索してみたら、何とこの映画のサントラが発売されてました。マルチネスの音楽が好きで好きでたまらない人(筆者含む)は、iTunesで”first snow”で検索してみて下さい。この時期、寝る前に聴いたりするのにちょうどいい感じのサウンドですので。

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