9/20公開のSFアクション映画『エリジウム』(13)。
映画を観る前に、あるいは映画を観終わった後、
忘れがたい演技を見せてくれた俳優たちをチェックして頂きたいと思い、
主要なキャスト／キャラクターをまとめてみました。
まず主人公のマックスを演じるのはマット・デイモン。
「昔不良少年、今は真面目な工場労働者」というブルーワーカーを熱演。
キレのある殺陣は『ジェイソン・ボーン』シリーズで披露済みですが、
今回はあれとは違った「生々しくて痛々しい格闘戦」がなかなか新鮮です。
似合っているのか似合っていないのかよく分からないスキンヘッドも迫力満点。
私立女子校の校長先生っぽいエリジウム防衛省長官デラコート役はジョディ・フォスター。
鼻持ちならない政府官僚のトップを演じております。
キャラ的には『インサイド・マン』(05)の辣腕弁護士役の系統かな。
もともとの脚本ではデラコートは男の設定だったそうですが、
まぁそういう意味（どういう意味？）でもフォスターは適役ではないかと。
ちなみに常時着ているスーツはジョルジオ・アルマーニがデザインした特注品。
本作最大のヴィラン、覆面エージェントのクルーガーを怪演しているのが、
『第９地区』(09)で悲劇の主人公ヴィカスを演じたシャールト・コプリー。
接近戦で嬉々として日本刀を振り回し、
エコーズのダグザ隊長も真っ青な長射程ロケットランチャーで、
密航者のシャトルを地表から撃ち落としてしまう凄腕の「掃除人」。
エージェントというか完全に殺し屋です。
南ア訛りのキッツイ英語と、
瞳孔が開いたような目（カラーコンタクトだそうです）が実に不気味。
基本的にクルーガーは悪役かつ嫌われ役だと思うのですが、
デラコートの指示で対象を何人処分したところで、
番犬同然の扱いしかされない哀れな男でもあります。
マックスとクルーガー、「行き場を失った男」同士が激突する終盤の戦いは必見。
桜の花びらが舞うガントリーでの殺陣にブロムカンプ監督流の様式美を見た。
超ブラック企業アーマダイン社のCEOを演じるのは、ウィリアム・フィクナー。
『プリズン・ブレイク』のマホーン捜査官とか、
『ブラックホーク・ダウン』(01)のサンダーソン軍曹のような熱い男を演じる事もありますが、
今回はいわゆる「クソ上司」の役。
「俺は本来エリジウムで悠々自適に暮らせる身分なんだぜ？
でも会社のCEOとして会社の運営を管理する義務があるから、
わざわざ地球に通勤してるんだよ。
それが分かったらお前ら（＝労働者）さっさと働けコノヤロウ」
…と言っているかのような淡々とした佇まいがフィクナー演技の真骨頂。
照射線を浴びて瀕死状態のマックスを見て、
「不潔だ。解雇して追い出せ」と冷たく言い放つ冷血漢ぶりが最低（褒め言葉）。
この一連の行為がマックスの怒りを買い、
後にマックスから「倍返し」を食らうハメに。
それにしても、未来の大企業の守秘義務ってのもなかなか大変ですね。
詳しくは言いませんが、究極の２択（しかもどっちもイヤ）という…。
一方こちらはスラム街の住人たち。
レジスタンスのリーダー、スパイダー役はヴァグネル・モウラ。
『エリート・スクワッド』シリーズのナシメント隊長役の人ですね。
今回はパーマヘア＆ヒゲ面でみずぼらしい感じになってますが。
「金を貰ってエリジウムへの密航を助けてやるけど、自分自身は特に行動を起こさない」
という斜に構えたキャラなのですが、
物語後半で遂に立ち上がって男気を見せてくれます。
このあたりはナシメント隊長役の面目躍如といった感じ。
マックスの旧友フリオ役は『天国の口、終わりの楽園。』(01)のディエゴ・ルナ。
何だか捨てられた子犬のような表情をしていて、
画面に登場した瞬間から幸薄そうな雰囲気を醸し出してます。
マックスを助けるため、レジスタンスに加わった彼の運命は…？
ちなみにスパイダーの仲間サンドロ役で『アドレナリン』(06)のホセ・パブロ・カンティーロが出てました。
『アドレナリン』で終始「チェブチェリオス！」とハイテンションでわめいていたあの人。
今回はあれよりは真面目な技術屋の役…ではありますが、
ネヴェルダイン／テイラー監督作品を彷彿とさせるバイオレントな散り様を見せてくれました。
本作のヒロインでマックスの幼馴染みフレイを演じるのは、
現在『オン・ザ・ロード』(12)にも出演中のブラジル人女優アリシー・ブラガ。
『シティ・オブ・ゴッド』(02)や『アイ・アム・レジェンド』(07)に出演してますが、
『正義のゆくえ I.C.E.特別捜査官』(09)のような、
荒んだ世界の薄幸のヒロイン的キャラクターが似合う女優さんですね。
これから映画をご覧になる際は、
脇役の演技も隅から隅まで見て頂きたいなと思います。
