男泣き必至の『ロッキー』シリーズ番外編『クリード チャンプを継ぐ男』(15)で、
シルヴェスター・スタローンがゴールデングローブ賞の助演男優賞を受賞しました。
いやー実に嬉しい＆めでたいですね。
やはりあの「不屈の男」ロッキー・バルボアが、
老いと病で弱っていく姿は衝撃的だったのでしょう。
それを”あの”スタローンが見事に演じきったという事実と、
映画界での長年の実績が評価された形なのかなーと思います。
ことほどさように近年再評価の動きがあるスタローンではありますが、
80年代後半～90年代の映画界の彼の扱いは本当にヒドかった。
特に”ラジー賞”ことゴールデン・ラズベリー賞の辛辣なこと辛辣なこと。
出演した映画がヒットしようがコケようが、
毎年のように最低主演男優賞に選出され、
監督・脚本を手掛けた作品は当然のように最低監督賞や脚本賞にも選出。
1989年には特別枠の「この10年ワースト主演男優賞」受賞、
1999年には「今世紀最低男優賞」（彼がした全てのこと99.5％に対して）受賞など、
ヒドい仕打ちを受け続けてきたのでした。
まぁ確かに『刑事ジョー／ママにお手上げ』(92)は泣けてくるほどヒドかったし、
コミックの設定を無視してヘルメットをあっさり外した『ジャッジ・ドレッド』(95)もアレだったけど、
ここまで最低男優とレッテルを貼ることはないだろうと。
これだからワタクシはラジー賞があまり好きではないんですよね。。
そのラジー賞の選考委員（？）が手ぐすね引いて待っていたであろう、
『ロッキー・ザ・ファイナル』(06)が予想以上によく出来ていて、
これまた隙あらばラジー賞にエントリーさせようとしていた、
『ランボー 最後の戦場』(08)がハードな骨太アクション映画に仕上がっていて、
業界のスタローンへの認識も若干変わってきたのは周知の事実ですが、
その後も『エクスペンダブルズ』(10)や『バレット』(13)でノミネートされてたりして、
ラジー賞もなかなかしつこい。
何でだよ！
『エクスペ』も『バレット』も『大脱出』(13)も面白かったじゃないか！
…とワタクシは思うのですが、いかがでしょう。
「ラジー賞は映画への愛情表現の裏返し」とか、
「選ばれて話題になるだけマシ」とかよく言われますが、
ここ10年くらいのラジー賞は、
「とりあえずコイツが出てる映画は選んどけ」的な愛のない作品選出になっているし、
（アダム・サンドラーとかニコラス・ケイジとか）
１回ラジー賞に目をつけられると、
当たり障りのないフツーの映画に出てもノミネートされたりするので、
結構厄介な代物だったりします。
しかし我らがスタローンは負けなかった。
最低主演男優賞というボディブローを食らおうが、
最低監督賞・脚本賞という名のアッパーカットが顎に入ろうが、
今世紀最低男優賞という右ストレートをモロに食らおうが、
世代交代の激しい映画業界をしぶとくサヴァイヴして、
ゴールデングローブ賞受賞の栄誉に輝いたわけです。
『エクスペンダブルズ』シリーズで落ち目のアクションスターを復活させたり、
『追撃者』(00)ではスタジオの反対をおして、
当時落ち目でドン底だったミッキー・ロークを起用してあげたり、
（しかもスタローンが自腹でロークに適正な額のギャラを払った”イイ話”つき）
１作目を観たベトナム帰還兵からの手紙を読んで、
『ランボー 怒りの脱出』(85)を作る決意をしたり、
チャーリー・シーンのHIV騒動についてパパラッチからコメントを求められた時も、
ゲスなパパラッチに悪態をつくこともなく”大人の対応”をしてみせたり、
たぶんスタローンっていい人だと思うのですよね。。
裏表がない人というか、見たまんまの人というか。
映画の出来不出来はともかく、
スタローンのような愛すべき”映画バカ”をあまり悪く言いたくないな、と。
…と、まぁワタクシこういう風に考えておりますので、
スタローンのGG賞受賞は大変嬉しいのであります。
アカデミー賞の最優秀助演男優賞…いけるかな？
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