古き良きワーナーアニメのような賑やかさ。マイケル&ジェフ・ダナ兄弟による『コウノトリ大作戦!』の音楽

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ランブリング・レコーズ様からのご依頼で、
『コウノトリ大作戦!』(16)のサントラ盤にライナーノーツを書かせて頂きました。
音楽は弊社リリース作品「ケルティック・ロマンス」でおなじみのマイケル・ダナ&ジェフ・ダナ。
『アーロと少年』(15)に続いてのアニメ映画の仕事になります。

おかげさまで弊社がダナ兄弟のアルバムを出していることもかなり浸透してきておりまして、
彼らのサントラ盤のライナーノーツ執筆の依頼を頂けるようになりました。
マイケルさんもジェフさんも、
ワタクシがライナーノーツを書くことになると「よかったじゃないか!」と喜んで下さるので、
本当にありがたいことです。

 

今回は締切のスケジュールがかなりタイトだったのですが、
彼らは『アーロと少年』の時に続いて今回もインタビューに応じてくれました。
今回はマイケルさんが翌週のインド旅行の準備でものすごく忙しいところ、
せっかく日本盤が出るのだからということで、
『コウノトリ大作戦!』のレコーディングに関する話をいろいろ聞かせてくれました。
ジェフさんも「何か聞きたいことがあったら言ってくれよ!」と言っていたのですが、
「(自分が言おうと思っていたことも)兄貴がほとんど話しちゃったから」ということで、
今回はマイケルさんへの単独インタビューとなりました。

とはいえ、なかなか中身の濃い話が聞けましたので、
ぜひ国内盤のサントラを手に取って頂いて、
拙稿に目を通して頂ければ幸いに存じます。

 

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90年代はおよそ明るい音楽のイメージがなかったマイケル&ジェフ・ダナですが、
『(500)日のサマー』(09)や『リトル・ミス・サンシャイン』(06)、
CGアニメ『サーフズ・アップ』(07)あたりから軽いタッチの音楽を作曲するようになって、
『アーロと少年』と短編『ボクのスーパーチーム』への登板が決め手となって、
近年はすっかりアニメ映画の音楽も自分たちの得意分野となったようです。

ダナ兄弟がアニメ映画の音楽を手掛けると、
「フツーのアニメ映画ではちょっとお目にかかれない手法」をいろいろ使ってくれるのが面白いですね。
『アーロと少年』での古今東西の民族楽器やホーミーを使っていたし、
今回の『コウノトリ大作戦!』も皮モノ、金属系、電子系など様々なパーカッションを使ったり、
およそアニメ映画には似つかわしくない荘厳なラテン語のコーラスを使ったり、
フルオケ・スコアを基調としつつユニークなアイデアをたくさん盛り込んだ音楽になっています。
ちなみにこのラテン語コーラスにはちょっとした秘密というか”お遊び”が隠されているのですが、
それについては是非ライナーノーツをご覧頂きたいと思います。
ワタクシ、マイケルさんの話を聞いて正直「そこまで凝りますか!」と思いました。

 

今回の音楽は映画本編のドタバタした展開に合わせて、
1曲あたりの演奏時間が短い曲を繋いでいく感じになっているのですが、
そのテンポの速い曲の展開がどことなく『ルーニー・テューンズ』を彷彿とさせるものがあって、
ダナ兄弟が古き良きワーナーアニメにインスパイアされた曲を書いていることが分かります。
すごく賑やかな音楽になっていて、これがまた面白いんですよ。
オオカミ組体操のシーンのドラムソロとか最高ですね。
映画『セッション(14)終盤のキャラバンみたいなドラムソロが聴けます。

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全体的にスラップスティックコメディのようなドタバタした音楽だけれども、
その中でも印象的なメロディーをしっかり聞かせていて、
ライトモティーフの手法を用いたきめ細かなサウンドになっているのがポイントでもあります。
まだ見ぬ家族を捜し求める天然ガール「チューリップのテーマ」や、
仕事と子供との時間のどちらを取るかで揺れ動く「ガードナー家のテーマ」
赤ちゃんを運ぶという崇高な仕事を天職とする「コウノトリのテーマ」など、
複数のモティーフがスコアの中できちんと変奏されているのです。
賑やかだけれども決して場当たり的な音楽ではありません。

 

ディズニー/ピクサー映画に比べると、
パッと見た感じ中身が軽そうというかドタバタしてそうな本作ですが、
ダナ兄弟の作り込まれた音楽の効果もあって、
終盤は結構いい感じにホロっとさせられます。

ちなみに何かと賛否両論(否定派多し)の日本語版主題歌ですが、
今回のサントラ盤には日本語版主題歌は入っていません。
そのかわり原語版のエンドクレジットで流れるザ・ルミニアーズのHoldin’ Outが収録されてます。
なのでサントラとしての音楽のまとまりが大変よいアルバムになっています。
コレ、洋画で最後に日本語の曲がかかるとガクッとなる方(筆者含む)には吉報ではないかと。

エンディングテーマ込みで全30曲、
収録時間約50分。
フルオケサウンドでアルバムとしてのボリューム感もあり、
メロディーもしっかりしているので、
なかなかの力作サントラになっているのではないかと思います。

『コウノトリ大作戦!』オリジナル・サウンドトラック
音楽:マイケル・ダナ&ジェフ・ダナ
レーベル:Rambling RECORDS
品番:RBCP-3164
発売日:2016/11/11
定価:2,400円+税

 

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