miette-one@NORETURN 015

今年のGWは思ったように仕事が捗らず、心身共に疲れ気味でございました。
(連休中に逆に疲れてどーするんだ、というお声も聞こえて参りますが)

これはちょっとハメを外して気分をリフレッシュしてきた方がいいんではないか、という事で、16、17日と東京に1泊2日で行って参りました。

16日に渋谷UNDERBAR(たばこと塩の博物館の隣)で「NORETURN 015」という渋谷系DJパーティーがあったのですが、そのイベントでmiette-oneがゲストライブを行うという話を聞いたので、これは見に行かなきゃダメでしょー!と、無謀にも仙台から参戦した次第です。

mietteさんは、昨年ガールズポップスの名盤『Children’s Corner』をリリースした名古屋の女性シンガー・ソングライターさんです(昨年末のブログで「2008年の私的ベスト・アルバム・トップ5」にも選ばせて頂きましたが)。また、名古屋のインディーレーベルabcdefg*recordの偉い人のひとりでもあります。

今回はmiette-LOVEというDJイベント限定の2人組ユニットでの参加という事で、はてさて一体どういうパフォーマンスになるのかしらん、と思ったのですが、いざステージが始まると「なるほど、こう来ましたか!」と、衝撃を受けてしまいました(もちろん、いい意味で)。

ユニットの相方の「まなぽん」愛美さんとmietteさんが、80年代アイドルユニットのような振り付けで歌って踊る30分とでも申しましょうか。ポップな音楽とキュートな歌声、そしてキャッチーな振り付けが融合して、スーパー胸キュンなひとときを演出しておりました。

いやー、ホントに見ていて楽しい&シアワセな気分になりました。自分でも驚くほど。

曲目は「Good Morning Song」や「Watermelon Panic!」、「Rain and Snow」など『Children’s Corner』からのナンバーに加えて、相対性理論の「LOVEずっきゅん」のカヴァーをやってました。さすがに身の丈181cmのアラサー男(ワタクシの事です)にはあの振り付けは出来ませんでした。mietteさんスイマセン。でも、楽しい光景でした。

「Rain and Snow」は原曲とは違うサンバ・リミックスが施されたバージョンで、これがまたグルーヴィンな感じで最高。DJのmiya氏による「Rain and Snow (S&L Remix)」が正式タイトルのようです。「Watermelon Panic!」の掛け合いも楽しそうでよかったなぁ。そういえばFujiko Moreさんの即興演奏もすごかったような気がする。

ライブ当日はmiette女史やabcdefg*recordのオニマガ氏(レーベルの偉い人)、イベントを主催されたmiya氏ともお話し出来たので、実に中身の濃い充実した1日となりました。お忙しいところお時間を割いて下さった皆様、どうもありがとうございました。

次の日は『Like the Weather』のプロモーションであちこち回りつつ、渋谷東急で『バンコック・デンジャラス』を見て仙台に帰りました。映画についてはまた後ほど。

帰りの新幹線の車内では「Rain and Snow」を脳内サンバ・リミックスしながら、ライブの余韻に浸って爆睡しつつ仙台に戻ったのでありました。

イベント会場で頂いたMix-CD、これからじっくり聴かせて頂きます。

  

『ディパーテッド』スコア盤のごく私的な思い出話。

今から遡ること2年と数ヶ月前、フレイヴァー・オブ・サウンド様から『ディパーテッド』スコア盤のライナーノーツのお仕事を頂きました。
音楽はデヴィッド・クローネンバーグ作品でおなじみのハワード・ショア。

名作『インファナル・アフェア』(02)のハリウッド・リメイクという事で、オリジナル版を観て男泣きしてしまった自分には不満な点も結構あったりするのですが、それでもこの映画は自分にとって特別な作品なのです。多分、これから先もずっと。

何故かというと、このサントラの仕事でチャーリーさん(Charlie DeChant)とご縁が出来たようなものだからです。

続きを読む

バビロン A.D.

今回はヴィン・ディーゼル兄貴久々の主演作『バビロン A.D.』のお話。

日本版ポスターなどのメインビジュアルは割と『フィフス・エレメント』(97)的な
近未来イメージになっておりますが、映画本編は何というかこう、もっと薄汚い
荒廃した感じの世界です。何しろ「戦争やテロで秩序が崩壊した未来」という
設定なので。世紀末的世界観を愛好する人には、結構グッと来るビジュアル
かもしれません。

物語はと申しますと、ディーゼル兄貴が演じる傭兵トーロップが、腐れ縁の
マフィア・ゴルスキー(ジェラール・ドパルデュー)からの「オーロラっちゅー
若い女をモンゴルの修道院からニューヨークまで運んでくれや」という
明らかにヤバそうな依頼を受けた事から、壮絶な戦いに身を投じる事に
なるというストーリーです(かなり大雑把ですが)。

兄貴の仁義溢れる行動や、肉弾戦やスノーモービルを駆使したアクションなど、
結構いい感じでストーリーが進みまして、「いいぞいいぞ」と思うんですが、
なぁぁんか終盤の展開が強引&尻切れな感じなんですよね。

明らかに途中のドラマをブッツリ切った感のある編集が気になって、どうにも
居心地が悪いのです。特にラストがなぁ・・・。「そこで終わるのか?」という感じ。

というのもこの映画、どうやらスタジオ側が勝手に短く編集したらしいんですな。
上映時間90分なので、元々はあと10分か20分くらい長かったんじゃないかと。

自分の作品を勝手にいじられたって事で、監督のマチュー・カソヴィッツは
それはもう大激怒したそうです。映画の最終編集権が監督の手に行かない
ような契約内容だったんでしょうか。気の毒としか言いようがありません。

そんなわけで、大幅に時間を短縮された映画本編では結局何が言いたかった
のか分からない部分もあるかと思います。その説明が足りない部分を補完
してくれるのが、アトリ・オルヴァルッソンの音楽なんですな。

アトリさんは『バンテージ・ポイント』(08)の音楽で名前が知られるように
なった人で、ジマー軍団の一人です。

『バンテージ・ポイント』の時は、デジタルビートをガンガン鳴らしたリズム
重視のスコアを作曲していましたが、『バビロン A.D.』では一転、オーケス
トラと合唱隊を導入して荘厳なミサ曲のようなスコアを書き下ろしています。
これを聞いただけで「この映画、単なるアクション映画じゃないな」と思って
頂けるハズ(ま、製作のゴタゴタのせいで本編はアレな出来でしたけど)。

映画のクライマックスで流れる「Babylon Requiem」という曲が大迫力で、
なかなか聴き応えがありますぞ。

今回、スコアの中で「Agnus Dei」と「Dies Irae」というラテン語のミサ曲の
歌詞を引用しているのですが、なぜこの2曲が選ばれたのかというのにも
ちゃんと理由があるんですねぇ。さてその理由とは?

・・・申し訳ありませんが、それはランブリング・レコーズさんから発売中の
日本版サントラCDをご購入頂いて、ライナーノーツを読んで頂ければと
思います。いやーワタクシもライナーを書いた手前、CDを買って頂けると
有難いので・・・。

他にもアトリさんにインタビューして、いろいろ小ネタをいろいろ書かせて
頂きましたので、買って損はさせません(笑)。ぜひぜひ国内盤をよろしく
お願い致します。

今日は映画館(泉コロナワールド)に行って、この映画のパンフレットを
買ってきました。インタビューでお世話になったアトリさんに日本版CDと
一緒に送る予定です。ライナーを英訳しないといけないから、先方に
発送するまで数日かかるな、こりゃ。

『バビロン A.D.』オリジナル・サウンドトラック
音楽:アトリ・オルヴァルッソン
品番:GNCE-7047
定価:2,625円

  

プリズン・ブレイク(Season 1 & 2)

今月から『プリズン・ブレイク』ファイナル・シーズンのレンタル開始という事で、
ドラマをずーっと観てきたワタクシなどは、
何かこう、最終シーズンを迎えて感慨深いものがありますな。

ランブリング・レコーズさんからリリースになっている、
『プリズン・ブレイク』のサントラ盤(シーズン1と2の音楽を収録)のライナーノーツを書かせて頂いたのですが、
その際に何度も何度も本編を観たせいか、
キャラクターに愛着が湧いてしまいました。
大半がフダ付きの悪党なのにねぇ…。

視聴者人気が高いキャラは誰なんでしょう。
うーん、マリクルースひと筋で義理堅いチンピラのスクレ(アマウリー・ノラスコ)とか、
ロバート・ネッパーの怪演と、
若本規夫氏の強烈な日本語吹替えの相乗効果でキャラが立ちまくりのティーバッグとか、
もともと隠れファンの多かったウィリアム・フィクトナーが演じるマホーン捜査官あたりでしょうか。

個人的には、彼らに加えてベリック(ウェイド・ウィリアムズ)にも注目してます。
この人、自業自得とはいえ刑務官→賞金稼ぎ→囚人と波乱の人生を送るハメになって実に哀れを誘うんですが、
結構間が抜けていて言動が笑えるところがミソかな、と。

シーズン3の話になりますが、
パナマの刑務所でズルして決闘で勝ってしまうくだりなんかは、
ベリックの憎めない小悪党ぶりがうまく出ていてナイス・エピソードです。
この人に今後どういうドラマが用意されているのか、密かに楽しみだったりします。

さて『プリズン・ブレイク』の音楽なのですが、
ハンス・ジマーの主宰する音楽家集団「リモート・コントロール」所属のラミン・ジャワディが担当しています。
『Mr.ブルックス完璧なる殺人鬼』(07)や『アイアンマン』(08)など、
このドラマの仕事を経て一気に売れっ子になりました。

サントラ盤にはシーズン1と2の代表的なスコアが収録されているのですが、
ドラマの主要キャラはシーズン1でほぼ全員出揃っているので、
いわゆる彼らのテーマ曲的な音楽はCDにほとんど収録されています。

「プリズン・ブレイクのテーマ」とでも言うべき「Strings of Prisoners」を始め、
ティーバッグが画面に登場する時のフリーキーな曲(T-Bag’s Coming For Dinner)とか、
アコースティック・ギターを使ったスクレのテーマ曲(Sucre’s Dilemma)など、
4シーズン通して使われているメロディーも多々あります。

スコアの基本構成は「シンセ・ストリングス+打ち込みのリズム+生楽器(orサンプリング)」みたいな感じです。
『プリズン・ブレイク』の音楽で最も耳に残る「♪ すきゃぼぼぼー」という掠れたバンブー・フルートのような音も、
多分サンプリングで作ってます。

『24 -TWENTY FOUR-』のようにヒロイックなメロディーを聴かせるタイプの音楽ではありませんが、
「漢(おとこ)っぽさ」を感じさせる硬派なスコアという印象ですね。
渋カッコイイです。

ジャワディはクラウス・バデルトの『リクルート』(03)とか、
ジマーの『バットマン ビギンズ』(05)などの追加音楽を担当しているのですが、
『プリズン・ブレイク』のサントラ盤を聴いてから(追加音楽を手掛けた)別な映画のサントラを改めて聴き直すと、
「ジャワディはこの曲(あるいはスコアのこの部分)を担当したんじゃないの?」とピンと来る箇所が結構あります。

お手元にジマー/ジャワディ関連のCDのある方は、ぜひお試しあれ。

『プリズン・ブレイク』オリジナル・サウンドトラック
音楽:ラミン・ジャワディ
品番:GNCE-7004
定価:2,625円

4分26秒で分かるCharlie DeChant

先月は『ボルト』と某サントラ・ベスト系のCDのライナーノーツ製作、
そして『Like the Weather』のプロモーション活動を掛け持ちしたせいか、
何だかとっても疲れました。

でも、比較的「心地よい疲労」というんでしょうかね。それなりに
働いた達成感のようなものが感じられる数週間でございました。

CDのプロモでは、行く先々でいろんな方に「チャーリー・デシャント
というのはこういう人ですよ」と説明するわけですが、「ホール&
オーツのサックスの人」と言うと「ああハイハイ! あの人ですねー」と
よい反応をしてくれる方が大多数。名前は知らなくても、彼の存在は
知っているという感じですね。

宣伝しながら気がついたのは、皆さんホール&オーツの話になると
すごく楽しそうになるという事。学生の頃ライヴに行った事があるとか、
「Kiss on My List」のPVのダリルさんに当時萌え萌えだったとか、
オーツさんのソロ曲は「Italian Girls」がベストとか、皆さんそれぞれ
思い出深い曲があるんですね。

で、曲にまつわる思い出話をしていくうちに、ついつい営業を忘れて
長話になってしまうという・・・。

「史上最高のポップ・デュオ」という肩書きはダテじゃないな、と
改めて思いました。

そんなわけで、本日はホール&オーツの名曲「Maneater」のPVをご紹介。
当たり前なんですが、皆さんお若いです。

そういえば、初期の『Live From Daryl’s House』で「Maneater」のレゲエ・
ヴァージョンを演奏していた回がありましたが、あれもなかなか新鮮な
感じでよかったですね(バンド編成の都合上、チャーリーさんのソロ
パートはないんですが)。

この曲、某番組で「♪俺 困ーらなぁーい」という空耳投稿があったそうで。
あと「♪大井歯科 終わっちゃうっぽーい」っていうのもあったかな?

・・・確かにそう言ってる(ように聞こえる)よなぁ。ダリルさんには悪いけど。