一筆啓上 悪魔が見えた -『ネオン・デーモン』音楽雑感-

先週末、チネ・ラヴィータで『ネオン・デーモン』(16)を観てきました。

仕事が立て込んでいてなかなか観に行く機会がなく、
劇場で観るのを半ば諦めていたのですが、
何とか時間を作って最終日の上映を観てきた次第です。

ソフト化されてから自宅で観てもよかったのですが、
やはりレフン監督のあの独特な色使いの映像を大画面で観つつ、
クリフ・マルティネスの音楽を”気持ち大きめ”の音量で聴く快感は捨てがたいわけで。

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で、映画本編はと申しますと……
まあ『オンリー・ゴッド』(13)よりはよかった…というか、
あれよりはちゃんと観られました。

が、しかし…後半の展開はちょっと…

ワタクシ本編を観る前はこの映画を「サイコスリラー」だと思っていましたが、
どちらかというと「オカルトホラー」だったなぁ、と。

クリフ・マルティネスの音楽に関して言えば、
『ドライヴ』(11)が「80年代ネオン・ノワール音楽を現代風にアップデートさせたサウンド」だったのに対し、
今回の『ネオン・デーモン』は「80年代シンセ・サウンドに寄せていったサウンド」だったかなという印象でした。
『ドライヴ』よりもアナログ・シンセの音が前面に出てる感じかな、と。

そこでワタクシ帰途につく途中でふと思ったのですが、
『オンリー・ゴッド』でパイプオルガンの音が”神”を暗示していたように、
『ネオン・デーモン』ではアナログ・シンセの歪んだ音が”悪魔”の存在を暗示していたのではないでしょうか?

“美しさが全て”の世界をキラキラした電子音で彩りつつ、
不吉なシーンや恐ろしいシーンでは歪んだ電子音や重低音が鳴っておりましたので、
あれは単なる状況説明的な音演出ではなく、
何か悪魔的な存在をほのめかしていたのではないかな、と思ったり。
そう考えると「美しさと恐ろしさは紙一重」という今回の音楽もなかなか面白いですねー。
まあマルティネスの音楽大好きな自分がそう思っただけかもしれませんが。

映画本編は後半の展開にかなり引きましたが、
サントラ盤はかなり好きなサウンドでした。
“Messenger Walks Among Us”が結構いい感じ。

 

 

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