クオリティ高い『47RONIN』の音楽。ジャケ写は国内盤のほうがオシャレです。

47ronin_ost 

先日『47RONIN』(13)のアメリカ国内での興行成績が出ましたが、
何というかまぁ…芳しくない結果ですわね。
この映画、一にも二にも製作費がかかりすぎました。
(1億7000万ドルでしたっけ?)
せめて1億ドル、いや9000万ドルくらいまで製作費を抑えておけば、
ここまでコケたと言われる事もなかったかもしれないのに…。

まぁ興行成績を知ったからと言って、
自分のこの映画に対する評価が変わる事はなく、
「皆さんイロモノ扱いするけど、評価すべき点もある映画」
…という見方は変わりませんのであしからず。

というわけで、今回は自分が一番書きたかった『47RONIN』の音楽について。
この映画、日本が世界最速公開だったわけですが、
サントラ盤はアメリカの公開日に合わせたリリーススケジュールなので、
日本国内の映画公開時期を考えると、
「たぶん日本盤は出ないなー」と思っておりました。

ところが日本盤が急遽発売される事になり、
さらにライナーノーツを自分が書く事になりまして、
慌てて原稿執筆モードに入ったのでした。
キアヌ・リーブス主演作のサントラの仕事がやりたかったし、
スコアの作曲が僕の好きなイラン(アイラン?)・エシュケリだったので、
これはもうお引き受けするしかないと思った次第です。

自分の記憶が確かならば、
エシュケリのサントラが国内盤としてリリースされるのは今回が初だったと思います。
僕はエシュケリ氏のファンでございますので、
彼のバイオグラフィーも『47RONIN』のパンフに掲載されているものより詳しく書かせて頂きました。
特に下積み時代に携わった映画のタイトルなんかは結構面白いですよ。
ジマーさんのあの映画に参加してたりとか。

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個人的に最も思い入れのあるヴォイチェック・キラール作品

the ninth gate

新年を迎えて数日が過ぎたものの、
何だか「ハッピーニューイヤー!」という気持ちになれずにいます。
というのも、去年いろいろな訃報を聞きすぎたから。
特に映画・音楽・演劇業界の大御所の方の訃報がいつになく多かった気がします。
ポーランドの作曲家ヴォイチェック・キラールもその中の一人です。

一般的にキラールの映画音楽の代表作といえば、
フランシス・フォード・コッポラの『ドラキュラ』(92)なのでしょう。
日本初のドルビー・デジタル上映作品だったそうで、
劇場で聴くフルオケ・スコアもかなり迫力があったのではないかと思います。
しかし1992年当時の自分はまだ「映画館で映画を観る」という習慣がなく、
キラールの音楽もサントラ初心者の自分には難解すぎました。

そんなわけで、個人的に最も印象に残っているキラールの作品はというと、
ロマン・ポランスキー監督、ジョニー・デップ主演の『ナインスゲート』(99)なのであります。

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大傑作『ゼロ・グラビティ』のサントラは是非”アルバム”で買って下さい…!

gravity

映画『ゼロ・グラビティ』(13)は映像、物語のみならず音楽(オリジナル・スコア)も素晴らしかった。
僕個人としては、作家性の強いSF映画の音楽はクリフ・マルチネスの『ソラリス』(02)と、
クリント・マンセルの『月に囚われた男』(09)の2本でもう最高レベルに達したと思っていました。
もうこれ以上のものは出て来ないのではないか、と。

ところが出てしまったんですねー。
今回の『ゼロ・グラビティ』の音楽、聴いていて鳥肌が立ちました。
こんなにも心の底から感情を沸き立たせてくれる音楽がまだあったとは、と驚いたほどです。

作曲はスティーブン・プライス。
『ワールズ・エンド 酔っぱらいが地球を救う!』(13)とか、
『アタック・ザ・ブロック』(11)の音楽を手掛けた若手作曲家です。
プライスのバイオグラフィーはサントラ盤封入のライナーノーツに詳しく書かせて頂きましたが、
それにしてもエドガー・ライト印のコメディ映画の音楽を作曲していた人に、
シリアス極まりないSFサバイバル映画の音楽を任せてしまうのだから、
アルフォンソ・キュアロン監督の人選もスゴイものがありますね…。
結果的にその選択は大正解だったわけですが。

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『テイカーズ』のこと(追悼 ポール・ウォーカー)

Takers ポール・ウォーカーが自動車事故で亡くなった。

この話題をツイッターで目にした時、
誤報かタチの悪いガセネタだろうと思いました。
でも『ワイルド・スピード』シリーズや『タイムライン』(03)の作曲家ブライアン・タイラーさんが、
“Devastating. Paul you will be sorely missed.”
…とコメントしているのを見て、
これは本当の事なんだと知り、呆然としました。

映画の中ではいつも溌剌としていて、
カスタムカーを楽しそうに乗り回していた印象のウォーカーに、
こんな人生の最後を用意するとは、この世は残酷すぎますね…。
今後映画チャンネルやDVDで彼の姿を見た時、
恐らく今までとは全く違う思いが、胸の中にこみ上げてくる事になるのでしょう。
それを考えるとすごく切なくなってしまいます。

とはいえ、『ワイルド・スピード』以外の彼の出演作をもっと観て頂きたいので、
本日は『テイカーズ』(10)について書きたいと思います。

 

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『キャプテン・フィリップス』でヘンリー・ジャックマンが描く「単純じゃない世界」の音楽

captain phillips_JP

今回は『キャプテン・フィリップス』(13)の音楽について。
作曲は『X-MEN:ファースト・ジェネレーション』(11)のヘンリー・ジャックマン。
ポール・グリーングラス作品の常連、ジョン・パウエルではありません。

まず起用されたのがパウエルではなくジャックマンだった事に驚いたのですが、
近年のパウエルはアニメ映画の作曲機会が増えてきたので、
作品傾向が若干変わってきたのかもしれません。
とはいえ、リモート・コントロール所属のジャックマンも、
過去にパウエルの作品(『ハンコック』(08)など)で追加音楽を作曲しているので、
全く繋がりがないというわけでもないでしょう。
「パウエルに作曲を依頼したらジャックマンを推薦された」なんて経緯もあったかもしれません。
(あくまで推測)

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