
5/29から『ビッグ・リボウスキ』(98)の2週間限定リバイバル上映が始まるということで、映画情報サイト「BANGER!!!」にコラムを書きました。
超グータラ男、なぜ世界中で愛された? 『ビッグ・リボウスキ』の“クセ強”主人公誕生の経緯と挿入歌の秘密|BANGER!!!
https://www.banger.jp/movie/171664/
当方としてはサントラ(劇中挿入歌)にテーマを絞って、音楽についてみっちり書きたかったのですが、どうも世間一般では映画の小ネタや裏話が好まれるようで、そちらのほうにかなり文字数を割くことになりました。
まあ『ビッグ・リボウスキ』は自分の好きな映画だし、裏話には事欠かない作品なので、それをご紹介することにもある程度の意義はあったと思います。
で、当方のブログでは字数の都合でBANGER!!!コラムに書き切れなかったサントラの情報と、登場キャラに関する裏話をもう少し補足していこうかなと。
早速映画の中で使われた楽曲について書かせて頂きたいと思うのですが、劇中使用曲はこんな感じ。使われた順番もたぶんこれで合っている…と思います。
Tumbling Tumbleweeds – Sons of the Pioneers
The Man In Me – Bob Dylan
Mucha Muchacha – Esquivel
I Hate You – The Monks
Her Eyes Are a Blue Million Miles – Captain Beefheart
Requiem, K. 626: Lacrimosa – Wolfgang Amadeus Mozart
Hotel California – Gipsy Kings
Glück das mir verblieb (from the Opera “Die tote Stadt”) – Erich Wolfgang Korngold
Run through the Jungle – Creedence Clearwater Revival
Behave Yourself – Booker T. & the M.G.s
Walking Song – Meredith Monk
Traffic Boom – Piero Piccioni
Standing on the Corner – Dean Martin
Tammy – Written by Ray Evans and Jay Livingston
We Venerate Thy Cross – The Rustavi Choir
My Mood Swings – Elvis Costello
Lookin’ Out My Back Door – Creedence Clearwater Revival
Pictures at an Exhibition: Gnomus – Modest Mussorgsky
Oye Como Va – Santana
Ataypura – Yma Sumac
Lujon – Henry Mancini
Piacere Sequence – Teo Usuelli
Just Dropped In (To See What Condition My Condition Was In) – Kenny Rogers & The First Edition
‘Branded’ Theme Song – Written by Alan Alch and Dominic Frontiere
Peaceful Easy Feeling – Eagles
I Got It Bad & That Ain’t Good – Nina Simone
Stamping Ground – Moondog with Orchestra
Dick on a Case – Carter Burwell
Wie Glauben – Carter Burwell
Dead Flowers – Townes van Zandt
Viva Las Vegas – Shawn Colvin
The Big Lebowski Original Motion Picture Soundtrack – amazon music

このうちサントラ収録曲は写真に載っている14曲。未収録曲が結構多いので、このあたりは自分で補完する必要があるわけです。
ひとまず当方はCCRの曲2つとイーグルス、ボブ・ノーラン(作曲)の”Tumbling Tumbleweeds”、サンタナの”Oye Como Va”をサントラに追加しました。サンタナの曲は『カリートの道』(93)のサントラに入っていたので、新たに買い足す必要がありませんでした。
Sons of the Pioneers – Tumbling Tumbleweeds (1946 Version) – amazon music
Creedence Clearwater Revival / best of (amazon)
Santana / Abraxas (天の守護神) – amazon music
あとカーター・バーウェルの”Dick on a Case”は、とある場所で極めて合法的に音楽データを入手できました。我ながらよく探し当てたという感じ。
この曲は劇伴という扱いだと思うのですが、その一方でテクノポップ曲の”Wie Glauben”は「ニヒリスト軍団のラジカセから流れている曲」というのがポイント。もしかしたら彼らが以前活動していたバンド「アウトバーン」の曲という設定なのかもしれません。
Eagles (2013 Remaster) – amazon music
それからBANGER!!!のコラムで書いた「グレン・フライが”俺はイーグルスが大嫌いなんだよ”というデュードのセリフに腹を立てた」件ですが、ジェフ・ブリッジスは後日フライと顔を合わせたとき、「何を言われたかはもうよく憶えていないけど」と前置きしつつ、「“ケツの穴がきゅっと窄まるような”辛辣なこと」をフライに言われたと何かのインタビューで話していました。
あと『ビッグ・リボウスキ』のサントラ盤は発売時期かなにかの違いでジャケットデザインが数パターンあるみたいです。当方が所持しているのは本当にオーソドックスなやつです。収録曲に違いがなくても、デュードの顔アップのバージョンはどこかで見かけたらちょっと欲しいかも。
『ビッグ・リボウスキ』登場キャラクター裏話の補足
BANGER!!!のコラムでデュードとウォルターのモデルとなった実在の人物について書きました。
デュードのインスピレーションの源となったジェフ・ダウドは割と有名なので特に書き足すことはないのですが、ウォルターについてもうちょっと補足させて頂きます。
『ビッグ・リボウスキ』ブルーレイの映像特典を見ると、ジョン・グッドマンが「ウォルターは4人の人物がモデルになっている」的なことを話していますが、そのうちの3人がピーター・エクスラインとルイス・アバナシー、ジョン・ミリアスなのはほぼ確定でしょう。風貌はアバナシー(とミリアス)、ミリタリーマニア的言動はミリアスのイメージかと。アバナシーも気性の激しいタイプらしいという情報もありましたが。
エクスラインという人は背は高いものの巨漢という感じではないし、すぐにキレるような人物でもないのですが、ベトナム戦争のことになると10分も黙っていられないくらい饒舌になったらしい。
若き日のコーエン兄弟はエクスラインを「哲学王のピートおじさん」と呼んで慕っていたようですが、その頃のエクスラインは映画会社重役の仕事を辞めて南カリフォルニア大学で教鞭を執っていたみたいです。専門はストーリー分析だったとか。
で、エクスラインはコーエン兄弟に「なあ君たち、分かってもらいたいんだが、ジャングルで戦うのは砂漠で戦うより大変なんだよ」などベトナム戦争の話をあれやこれや語って聞かせていたので、そのとき聞いた話をウォルターのセリフとしていくつか使ったとのこと。
だからエクスラインが試写で『ビッグ・リボウスキ』を観たとき、自分の話がそっくりそのままウォルターのセリフになっていて大笑いしたそうな。
それからドニー役のスティーヴ・ブシェミですが、コーエン兄弟から脚本を読んでほしいと言われたとき、最初はこの役にあまり乗り気ではなかったそうです。
脚本を読み始めて「確かにドニーにはちょっとイラッとさせられるけど、こんな酷い扱い(=「黙れドニー!」とウォルターに何度も怒鳴られるアレ)を受けるいわれはないんじゃないか?」と思ったらしい。
で、この役を断ろうかなと思いながら脚本を読み進めていって、終盤デュードたち三人がニヒリストに絡まれたとき、ウォルターがドニーを守ろうとした場面を読んで「ウォルターはドニーを兄弟のように愛しているからあんな言い方ができるし、ドニーもそれを分かっているから、怒鳴られても平然と受け流せるんだな」と分かって考えを変えたのだとか。
コーエン兄弟はデュードとウォルターを「日頃からケンカばかりしている夫婦」のように捉えていて、それでも(ある種の腐れ縁のように)友達付き合いをしている関係として描いているそうな。
だからウォルターを常にイライラさせることで笑いを生み出している。
ドニーを「間の悪いタイミングで会話に入ってくる男」にしたのはウォルターイラつかせるためであり、物語の舞台を湾岸戦争の頃にしたのも政治的意図はなく、「ベトナム戦争従軍経験のあるウォルターが、ジャングルとは勝手の異なる砂漠での戦争にイラついている」状況を作り出すためなのだそうです。その目論見は見事に成功したと言えるでしょう。
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