『スケアリーストーリーズ 怖い本』BANGER!!!コラムの補足(マルコ・ベルトラミ独占インタビューこぼれ話…のようなもの)

先日、BANGER!!!で『スケアリーストーリーズ 怖い本』(19)の音楽コラムを書きました。

デル・トロら巨匠を支える作曲家 マルコ・ベルトラミ独占インタビュー!
怪物を音楽的に描き分けた『スケアリーストーリーズ 怖い本』
https://www.banger.jp/movie/64872/

音楽コラムというか、音楽担当のマルコ(・ベルトラミ)さんへのインタビュー記事ですね。『キング・オブ・エジプト』(16)以来、久々にマルコさんにインタビュー出来て楽しかったです。

インタビューこそ久々になってしまいましたが、マルコさんとはちょくちょくコンタクトを取っていて、彼が『フリーソロ』(18)でエミー賞の音楽賞を受賞した時とか、LAで山火事が猛威を振るった時とか、パンデミックの時のとか、お互いの近況報告も兼ねて時々やり取りしてました。

今回の場合、先方に連絡を取ったのが日本でオリ・パラを開催して新型コロナの感染者数が爆上がりしていた頃でした。
マルコさんが「君のところは大丈夫なの?」と仰るので、「感染者数が爆上がりして大変なので、出掛けなきゃいけないときは『クワイエット・プレイス』(18)のアボット一家みたいにものすごく気をつけて外を歩いてます」と答えたら、「ああ、なるほどねぇ(笑)。でもその気持ち分かるよ」と言ってくれました。そういう流れの中で、今回のインタビューが実現したというわけです。

『スケアリーストーリーズ』の音楽の聴きどころについては、BANGER!!!のコラムの中でだいたい書いてしまったので、当方のブログではその補足的なネタを少し書かせて頂きます。

まず本作のサントラなのですが、CDプレス盤で買ったら「DELUXE EDITION」と書かれてありました。
その割にはCD1枚だし収録時間も42分くらい(本編ではもっと曲が使われてます)なので、「どのへんがデラックスなのかな」と思ったのですが、通常版とデラックス版の違いはドノヴァンの”Season of the Witch”が収録されているかいないかの差でした
CDプレス盤はデジパック仕様で、ブックレットを広げると裏面がポスターのようなデザインになってました。でも「かかしのハロルド」の写真を部屋に飾りたいかと言われたら、正直ちょっと遠慮したいところです(不気味だから)。

ちなみにエンドクレジットで流れるラナ・デル・レイのカヴァーは未収録で、ダウンロード版がシングルとしてリリースされてます。これは「有名アーティストの主題歌はサントラでなく自社リリースのシングルで売りたい」というメジャーレーベルがよくやるやつでしょう。

ホラー映画の音楽なのでショッキングなスコアが多めですが、マルコさんもインタビューで語っていたとおり、物語の重要人物であるサラ・ベローズのテーマ曲がきちんと用意されているのがポイントかと。

マルコさんは近年バック・サンダースやマーカス・トランプなどの作曲家と組んで仕事をしていますが、アンナ・ドルビッチさんという方のお名前は今回初めて聞きました。
どうやらマルコさんがUSCで講義のクラスを持っていた時に受講していた人らしいですね。こうやって女性の映画音楽家さんがどんどん活躍していってくれると嬉しいです。

ギレルモ・デル・トロとマルコさんのご縁は『ミミック』(97)からなのでもう20年以上になりますが、最近は『パシフィック・リム』(13)のラミン・ジャワディや『シェイプ・オブ・ウォーター』(17)のアレクサンドル・デスプラとの仕事も増えたので(新作『Nightmare Alley』(21)もデスプラ様…だったのですが、『LOOPER』(12)や『ナイブズ・アウト』(19)のネイサン・ジョンソンに交代になった模様)、マルコさんとはあまり仕事しなくなっちゃうのかなと一時期思っておりました。
でもこうしてデル・トロのプロデュース作品で音楽を依頼しているので、作品の性質や規模、予算などを考慮した上で、どの作品の音楽をマルコさんに依頼しようか検討しているのではないかなと思います。

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