ナルニア国物語/第3章:アスラン王と魔法の島(音楽について)

narnia

『ナルニア』シリーズはこれまでハリー・グレッグソン=ウィリアムズが音楽を担当していましたが、監督がマイケル・アプテッドに交代した事により、音楽担当もアプテッドご贔屓のデヴィッド・アーノルドに代わりました。

アーノルドといえば、最近はすっかり「007映画の専属作曲家」という感じになりましたが、一連の007シリーズで聞かせている「オーケストラ+打ち込み」という作風とはうって変わって、今回の『アスラン王と魔法の島』では全編正統派のフルオケ・スコアを聞かせてくれています。アーノルドが活劇タッチの音楽を作曲するのは、三銃士をメイド・イン・香港チックなワイヤーアクションで撮った珍奇な映画『ヤングブラッド』(01)以来になると思われます。

で、今回のアーノルド版『ナルニア』。これがよく出来たスコアでございまして、「『インデペンデンス・デイ』(96)こそアーノルドの最高傑作」と公言してはばからないコアなサントラ・ファンにも満足して頂けるのではないかと。オーケストラに合唱隊、ペニー・ホイッスル、フィドル、エスニック・パーカッション、羊の角笛まで総動員した生音100%のスコアは聞き応え十分。HGWが前2作で作曲していた音楽ともひと味違ったノリで、なかなか新鮮です(HGWが作曲した前作までのテーマ曲のフレーズも一部スコアで使われてます)。

アーノルドといえば『トゥモロー・ネバー・ダイ』(97)でプロペラヘッズをフィーチャーしたブレイクビーツ・スコア”Backseat Driver”を作曲してサントラ・ファンの注目を浴び、『ワールド・イズ・ノット・イナフ』(99)でテクノ・スコア道を極めた感がありますが、90年代中頃は『スターゲイト』(94)や『ID4』のようなフルオケ・スコアを得意としていたわけで、本作はアーノルドの原点回帰というか、久々に壮大なフルオケ・アクション・スコアが聞ける貴重な一品となっています。大ウミヘビと派手な死闘を繰り広げるクライマックスの曲”Into Battle”がなかなかアツい。

エンドクレジットで流れる主題歌”THERE’S A PLACE FOR US”を歌っているのは、キャリー・アンダーウッド。ちなみにサントラ盤にはこの曲は収録されていません(恐らく大人の事情)。確かiTunesでシングルが配信されていたはず(7/9追記:アメリカのiTunes Music Storeでした。日本のiTunesでは売ってなかった・・・)。

サントラ盤はアーノルドのスコアを30曲収録していてボリューム満点。
ソニー・ミュージックから本日発売です。

『ナルニア国物語/第3章:アスラン王と魔法の島』オリジナル・サウンドトラック
音楽:デヴィッド・アーノルド
品番:SICP2893
定価:2,520円