フェイク・クライム -Henry’s Crime-

キアヌ・リーヴスが企画に惚れ込んで主演と製作(ノンクレジット)を兼任したインディーズ映画『フェイク・クライム』(10)を観てみた。

何というか、とってもゆるーーーーい映画。

キアヌとジェームズ・カーンとヴェラ・ファーミガの3人がいかにも「金庫、襲います!」みたいな感じで並んでいる日本版のポスターとかDVDのジャケットデザインは、ちょっとサギですな。少なくとも「クライム・サスペンス」ではありません。

漫然と日々を過ごしている高速道路の料金係の男ヘンリー(キアヌ)が、やってもいない銀行強盗の罪でムショ送りになり、ムショで知り合った詐欺師のマックス(カーン)から「無実の罪でお勤めを果たしたんだから、ホントに強盗でもやらなきゃ割が合わないわな」と言われて、出所後にマジで銀行強盗を計画するという何ともトボけたお話。

この映画のキアヌ、最初から終わりまで何かボーッとしてます。

■無実の罪で捕まっても、ワル仲間(2人のうち1人は高校時代のイジメっ子)をかばって服役。
■ワル仲間の片割れに自分の妻を寝取られても何も言わない。
■道路に立ってて車に撥ねられても怒らない(逆に撥ねた相手から「なに道路に突っ立ってんのよ!」と怒られる始末)。
■その自分を撥ねた舞台女優ジュリー(ヴェラ・ファーミガ)と恋仲になる。

と、まぁこんな感じ。お人好しというかボサっとしているというか。今更ながら、「キアヌって実際にこういう人なんじゃないか」と思ってしまった。そういう意味ではハマリ役。

で、銀行強盗を実行する上で、ひょんな事からヘンリーがチェーホフの『桜の園』の舞台に出る事になるのですが、この劇団のロシア人演出家があのピーター・ストーメア。相変わらずコテコテのロシア訛りでヘンな役を演じているので、この人の出演シーンは必見。あと、ジュリーが出演しているロトくじ「バッファロト」のCMが”いかにも”な感じで笑えるので注目。

ひとつ気になったのは、チンピラ役のフィッシャー・スティーヴンス。「頭でっかち、首細い、肩幅狭い」という体格がますます強調されてきて、何かバブルヘッド人形みたいなルックスになってきました。この前観た『アウェイク』(07)も胡散臭い役だったな、そういえば。

何ともユルい映画ですが、結末も「え?ここで終わり?」ってところで終わります。エンドクレジット後に何かあるのかと思ったほど。結局何もなくて(゚д゚)ポカーン。何もここまでユルくしなくても・・・。

ぬぼーっとした「おバカ系キアヌ」を楽しんで観られる人向きの映画です。

ちなみに作曲家のクレジットは出ませんでした。既製のソウル・ミュージックと追加音楽でまかなっている模様。

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