『The Statement』のサントラ盤(ノーマンド・コーベイル氏を偲んで)

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ノーマンド・コーベイルと言っても、よほどのサントラマニアでなければ「この人誰?」という感じかもしれません。
しかも”サントラマニア”といっても、「ゴールドスミスやモリコーネのレア盤発掘に余念がない人」というより、B級映画のあまり有名ではない作曲家もくまなくチェックするタイプの人。

ノーマンド・コーベイルはカナダ人の作曲家で、代表作はトミー・リー・ジョーンズの『ダブル・ジョパディー』(99)や、ウェズリー・スナイプスの『アート・オブ・ウォー』(00)など。ロバート・カーライルがヒットラーを演じたTV映画『ヒットラー』(03)の音楽も手掛けてます。
クリスチャン・デュゲイ監督作品の常連作曲家として、B級映画の音楽に箔をつけるような佳作・力作スコアを作曲していましたが、去年の今頃の時期(2013年1月25日)に亡くなられてしまいました。

今から11年くらい前、コーベイル氏にファンレターを送ったことがありました。
サントラ盤リリースの機会に恵まれなかったコーベイル氏ですが、当時ノーマン・ジュイソン監督作『The Statement』(03)のサントラが珍しくCDリリースになり、ワタクシは嬉しさのあまりアルバムの感想を書いてファンレターを送ったのでした(『アート・オブ・ウォー』の音楽も気に入ってたので)。

そうしたところご本人からかなり丁寧な返事が来まして、『The Statement』の音楽についても詳しく教えてくれました。
ノーマン・ジュイソンが自分のデモ音源を聴いて、音楽担当に指名してくれたこと。スコアの作曲を3週間で仕上げてロンドンのAir Sound Studioで録音したこと。『The Statement』をクラシカル・スリラーと捉えて曲作りをしたことなどいろいろ。
サントラの国内盤が発売されたら、その時にインタビューとして正式に聞こうと思っていたのに、当方が知りたいと思っていたことにほぼ答えて下さったのでした。
「何かすごいお返事を頂いてしまったぞ」という嬉しさと驚きから来る緊張で、誇張でも何でもなく手が震えてしまったのを今でも覚えています。

いつか何らかの形で正式にインタビューしたいと思っていたし、『アート・オブ・ウォー』と『スクリーマーズ』(95)の音楽がなかなかカッコよかったので、自分がレーベルを持ったら「発掘良品」的な感じでサントラが出せたらいいなと妄想したりもしていたのですが、それが実現する前にコーベイル氏は亡くなられてしまったのでした。56歳の若さで亡くなられたことが残念で仕方がありません。

ちなみに『The Statement』という映画ですが、マイケル・ケインがナチス・ドイツに協力したフランス人戦犯を演じるスリラーらしいです。
彼を追う女性判事役にティルダ・スウィントン、陸軍大佐役にジェレミー・ノーザム。アラン・ベイツやシャーロット・ランプリング、シアラン・ハインズら演技派が揃ってます。

題材が題材だし、演技派の名優揃いとはいえシブい顔ぶれなので、配給会社が「集客が見込めない映画」と判断したのは分かります。
でも11年経って未だに日本未公開・未DVD化というのはいかがなものか。クリストファー・ノーラン効果でマイケル・ケイン人気が再上昇している今こそ、さりげなくDVD化してTSUTAYAの棚にさりげなく置いてもらいたいと思うのですが、時期的にもう無理かな…。

コーベイルの音楽もかなりクオリティ高いので、個人的にはちゃんと映像とスコアが一体化した状態で、彼の音楽を味わいたいと考えております。

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