字幕版も吹替え版も見応えアリ! 何度も観たい『LEGO(R) ムービー』

Lego_emmet

先日『LEGO(R) ムービー』(14)を観てきました。
春休みということで、観客の8割はお子様連れのママさん。
客層として自分はかなり浮いていましたが、
ちょっとばかり恥ずかしい思いをしてでも観る価値のある映画でした。
いやー本当に面白かったですこれ。

キャラクターも建物も背景も全部レゴ。
しかも爆発エフェクトとか海の水面、シャワーの泡&水も全部レゴ。
8bitゲームマシンで育った世代には、
このドット絵のようなポップでカクカクしたビジュアルがたまりません。
「君たち、近頃型にはまった生き方をしてないかい?」
「想像力(創造力)の可能性を広げようぜ!」というテーマも素晴らしい。

その一方で、
どう見てもくだらなそうなTVドラマ『僕ズボ』が高視聴率だったり、
Everything is Awesome!!!という歌が「何だか分からないけどサイコー!」的な感じでレゴワールドで大ヒットしていたり、
「君たち、上から押しつけられたものを右へ倣えで有難がっていないかい?」と、
嫌味にならない程度に「日常生活のマニュアル化」を風刺している点も秀逸です。

 

作り込みという点では、
ウィトルウィウスの持っている魔法の杖が食べかけのロリポップ・キャンディだとか、
ミケランジェロの横に亀忍者のミケランジェロがいるとか、
そのミケランジェロが「カワバンガ!」しか言わないとか、
ガンダルフとダンブルドアが混同されたままの扱いだとか、
物語後半で何の脈絡もなく登場するC-3POとランドーの声が、
原語だとちゃんとアンソニー・ダニエルズとビリー・ディー・ウィリアムスだとか、
スーパーマンの声がチャニング・テイタムだとか、
役立たずのグリーン・ランタンの声がジョナ・ヒルだとか、
バットマンがオーディオマニアとか、
話の本筋から外れた部分までとことん凝って作っているのが最高ですね。

 

自分は吹替え版での鑑賞でしたが、
ファミリームービーだからといって安易にタレント吹替えを使わないのもまた素晴らしい。
森川智之(エメット、スーパーマンほか)
山寺宏一(おしごと大王/おしごと社長、バットマン、ナレーターほか)
羽佐間道夫(ウィトルウィウス、パパ・コップ、ガンダルフほか)
玄田哲章(バッド・コップ/グッド・コップほか)
沢城みゆき(ワイルドガール、ユニキャットほか)
矢島晶子(エメット少年、コンピューターボイスほか)
岩﨑ひろし(ベニーほか)

…と完璧なキャスティング(敬称略)。
声優さんがひとりで複数の役を演じ分けているのがまた面白い。
フツーに観ていたら、
ワイルドガールとユニキャットが同じの声の人とは思わないでしょう。
『僕ズボ』で「僕のズボンはどっこぉぉぉ?」と素っ頓狂な声を出していたのは、
山寺さんだったのではないでしょうか(違ったらスイマセン)。
この映画を観たら、
「やっぱ日本語吹替えはプロの声優さんに限るぜ!」
…と思って頂けるのではないかと。
映画はタレント(お笑い芸人)が吹き替えたからといって、
決してセリフが面白くなるわけではないんですね。

 

ちなみに原語の声の出演はどうなっているかというと、
エメット=クリス・プラット(『マネーボール』(11)のスコット・ハッテバーグ役)
おしごと大王=ウィル・フェレル(ご存じ『俺たち○○』シリーズの暑苦しい人)
ワイルドガール=エリザベス・バンクス(『スリーデイズ』(10)のラッセル・クロウの妻役)
バットマン=ウィル・アーネット(『モンスターVSエイリアン』(09)でミッシング・リンクの声をアテていた人)
ウィトルウィウス=モーガン・フリーマン
ユニキャット=アリソン・ブリー(TVドラマ『MADMEN』のトルーディー・キャンベル役)
バッド・コップ/グッド・コップ=リーアム・ニーソン

…という具合。これは字幕版・吹替え版の両方で観て頂きたい。
どちらか片方だけ観ればいいという感じではなくて、
「吹替えでこういうセリフを言っていたけど、原語では何て言っているのかな?」
あるいはその逆で
「原語のこの言い回しは、吹替えでどんな日本語表現に変換されるのかな?」
…という具合に、英語・日本語のセンス・オブ・ユーモアの違いを確かめたくなる作品です。
英語のギャグを知るということは、
ある意味において外国文化(カルチャー)を体感・吸収することにも繋がりますしね。
こう見えて、なかなか奥の深い映画です。

音楽についてはまた次回。

 

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