ジャズのちブルース、時々ファンク。映画『Re:LIFE リライフ』のサントラはポップ&メロディアスで最高です!の巻

the rewrite

『ラブソングができるまで』(07)で落ち目のポップスターを演じたヒュー・グラントが、
今度は落ち目の脚本家を演じる『Re:LIFE リライフ』(14:原題『The Rewrite』)。
この設定だけでもかなり笑えるのですが、
映画本編もセリフがウィットに富んでいてすごく面白かった。

監督・脚本は『ラブソングができるまで』のマーク・ローレンスなのですが、
この方はかつてマイケル・J・フォックスのTVドラマ『ファミリー・タイズ』の脚本家でした。
なので今回もセリフのやり取りがほぼ『ファミリー・タイズ』のまんまのノリ。
これで面白くないわけがない。
ジョークも下品じゃないし、笑えてホロッとさせられたりもする、
「ロマコメの教科書」とでも言うべき堅実な作りになってます。

 

さてヒュー・グラントといえば「ロマコメの帝王」的な地位を確立させていますが、
「ヒュー・グラント主演作はサントラも良作が多い」という法則も見逃してはいけません。
定番の『ラブ・アクチュアリー』(03)や美声を披露した『ラブソングが出来るまで』、
エルヴィス・コステロの主題歌がヒットした『ノッティング・ヒルの恋人』(99)などいろいろありますね。

これらはいわゆる「ボーカル・コンピレーション」系のサントラでしたが、
彼の主演作はスコア盤にも傑作が多いのであります。
ジョン・パウエルがジャズ・スコアを書いた『トゥー・ウィークス・ノーティス』(02)とか、
バッドリー・ドローン・ボーイが音楽を手掛けた『アバウト・ア・ボーイ』(02)とか(これは歌モノも収録されてたけど)。

そして今回の『Re:LIFE リライフ』も、
「ヒュー・グラント傑作サントラの法則」に当てはまる良質なアルバムに仕上がっているのです!

 

音楽担当はクライド・ローレンス。
名字からも分かる通り、マーク・ローレンス監督の息子さんです。
アメリカ国内でも活動はインディーズな感じだし、
ましてや日本じゃまだまだ無名の存在…ということで、
今回サントラの日本盤にライナーノーツを書かせて頂くにあたって、
ちゃんとしたアーティスト紹介を書きたいと思い、
クライド本人にインタビューを申し込んだところOKを頂きまして、
いろいろと詳しく話を聞くことが出来ました。

クライドはあらゆる楽器を弾きこなすマルチ・ミュージシャンなのですが、
メイン楽器はピアノ(鍵盤楽器全般)。
なので今回の『Re:LIFE』も全編ジャジーなピアノ・サウンドを基調としたスコアになってます。
例えて言うなら『恋人たちの予感』(89)のハリー・コニック・Jr.とか、
デイヴ・グルーシンの映画音楽(特に『ザ・ファーム/法律事務所』(93)あたり)、
あるいはアニメ『スヌーピーとチャーリー・ブラウン』のヴィンス・ガラルティの劇中音楽など、
このあたりの音楽のイメージ。
ジャズピアノ曲と言っても難解で堅苦しい感じではなくて、
ポップス感覚でカジュアルに心地よく聴けるサウンドになっています。

 

クライド自身はジャズ・ミュージシャンというわけではなくて、
どちらかと言えばブルースとかソウル、ファンク系の音を好む人。
自分のバンドでもブルース・トラヴェラーのオープニング・アクトを務めたり、
ツアーの移動中にバンド仲間と「マイ・ガール」を歌ったりなんかしているので、
かなりのブルース/ソウル好きと見ていいでしょう。
ちなみにクライドは『ラブソングができるまで』の時も、
ヒュー・グラントが遊園地で歌ったDance With Me Tonightを作曲(クライドは当時12歳)しているのですが、
この曲の歌詞をよく聴くと、

“Put on some shoes, Come down here and listen to the blues”

…というフレーズがありまして、
もうこの人は筋金入りのブルース好きだなぁ、と思った次第でして。
(曲自体も何だかブルー・アイド・ソウルっぽい感じでしたし)
クライドへのインタビューの詳細については、
『Re:LIFE』の日本版サントラをお買い求めになって拙稿に目を通して頂ければと思います。

今回の『Re:LIFE』でもオリジナル・スコアのほかにボーカル曲を3曲提供しているのですが、
これがまたシブいブルースだったり、
ロックン・ソウルな感じだったりして、
なかなかクオリティの高い歌モノに仕上がっておりました。

「何かオサレで心地よく聴ける音楽はないかしらー?」という方、
メロディアスなピアノ曲をお探しの方、
『Re:LIFE』のサントラ盤は大変オススメなので是非!
映画本編も面白いですよ。

…というわけで『Re:LIFE』の音楽ネタは次回に続くのであります。

 

『Re:LIFE ~リライフ~』オリジナル・サウンドトラック
音楽:クライド・ローレンス
レーベル:Rambling Records
品番:RBCP-2966
発売日:2015/11/04
価格:2,400円(+税)

 

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