『キングスマン:ゴールデン・サークル』の音楽はキレッキレ&コッテコテだったの巻

新年一発目の映画は『キングスマン:ゴールデン・サークル』(17)でした。
正月ボケしたアタマをスッキリさせるにはちょうどいい映画でしたね~。
前作も相当ハデにやらかしてキレッキレでしたが、
今回は良くも悪くも過激な表現のリミッターを解除して、半ばヤケクソ気味にやりたい放題ヤッてしまった感じ。

個人的には前作の方がスタイリッシュかつテンポよく話がまとまっていて好きなのですが、『ゴールデン・サークル』も予想よりはいい出来でした。
少なくとも前作の良かった要素を全部ダメにしてしまった『キック・アス/ジャスティス・フォーエバー』(13)とはだいぶ違うかなと
やっぱりマシュー・ヴォーン自ら監督すると同じ続編でもクオリティが違うなと実感した次第です。

で、『キングスマン』といえば音楽も最高なわけですが、
前作『キングスマン』(15)の音楽が”キレッキレ”だったとすれば、
今回の『ゴールデン・サークル』は“キレッキレのコッテコテ”という感じでした。

 

本作の音楽がコッテコテになった三大要素は何かと言ったら、
「ステイツマン」「カントリー・ロード」「エルトン・ジョン」しかないでしょう。

まずヘンリー・ジャックマンとマシュー・マージェソンのスコアから見てみると、
今回もフルオケで「キングスマンのテーマ」を聴かせてくれておりまして、前作のスコアの”キレッキレ感”がキープされております。
で、物語にステイツマンが絡んでくるとドブロギターやスライドギター、フィドルがベンベンテロ~ンキュコキュコキュコーーとスコアにフィーチャーされるようになりまして、
ロデオマシーンに跨がりたくなるようなカウボーイ・スピリッツ溢れる音楽にシフトチェンジするのです。
このあたりが実にコッテコテな感じ。
これはこれで聴いていてなかなかアガるので全然アリだと思いますが。

ジャックマン&マージェソンのスコアでは、
本作のヴィランである「ポピーのテーマ」もなかなかの存在感でした。

で、前述のジョン・デンバーの「カントリー・ロード」はスコアの中でもフィーチャーされていて、
事実上の「第3のテーマ曲」的な扱いになってます。
ワタクシ映画本編を観るより先にサントラを聴いていたのですが、
アルバム20曲目でなぜかマーク・ストロングが「カントリー・ロード」を熱唱していて、
「どういう状況で流れるんだコレ?」と思っていたのですが…。
そうか…そういうことだったんだねマーリンさん…とちょっと胸が熱くなりました。
マーク・ストロング、『キック・アス』に続いてマシュー・ヴォーン作品で爆散。

John Denver – “Take Me Home, Country Roads”

 

一方、劇中使用曲で”コッテコテ”感を醸し出しているのがエルトン・ジョン。
「アンタ、カメオ出演なのに目立ちすぎだよ!大統領役のブルース・グリーンウッドより活躍してるじゃないの!」…と文句の一つも言いたくなるくらいやりたい放題やっていたのですが、
映画の中で4曲も自分の曲が使われているという破格の扱い。

Elton John – “Daniel”

Elton John – “Saturday Night’s Alright for Fighting”

Elton John – “Rocket Man (I Think It’s Going to Be a Long, Long Time)”

Elton John – “Jack Rabbit”

 

映画開始早々に流れるPrince and The Revolutionの”Let’s Go Crazy”は、
「ハデに行くぜ!」というマシュー・ヴォーン監督からのメッセージかもしれません。

ラストバトルで”Word Up!”を使っていたのも面白かったなーと。
前作のラストバトルでもKC・アンド・ザ・サンシャイン・バンドの曲を使っていて妙にノリノリでしたが。

The BossHoss – “Word Up!”

50年代の古き良きアメリカのお母さん…の皮を被ったサイコパスなポピー(及びポピーランド)を象徴する曲として使われているのが、バディ・ホリーの”Raining in My Heart”。
何しろ「あの特製バーガー」を食わせるシーンの曲だったので、
バディ・ホリーがご存命だったら曲の使用許可を出さなかったんじゃないだろうかと思うほどのヤバい選曲でした。ボナペティ。

そのほかの劇中使用曲はこんな感じだったと思います。

Harold Melvin & the Blue Notes – “Don’t Leave Me This Way”

Embrace – “Ashes”

Tom Chaplin – “Quicksand”

John Denver – “Annie’s Song”

Geoffrey Simon & The London Harp Sound – “Berlioz: Un bal (from Symphonie Fantastique)”

何しろ上映時間が前作より長くなって使用曲の数も増えたので、
今回はどの曲がどこで使われたか全部把握しきれておりません。
ただひとつ確実に言えるのは、
『キングスマン:ゴールデン・サークル』は劇中使用曲もオリジナル・スコアも”秒でアガる”ってことです。
サントラ盤は歌モノが入ってないスコア盤だけどオススメですよ!


 

Mychael Danna & Jeff Danna『A Celtic Romance』好評発売中!
レーベルショップ
iTunes A Celtic Romance: The Legend of Liadain and Curithir - Mychael Danna & Jeff Danna