BELOW / ビロウ

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『ピッチブラック』(00)などでコアなファンの多いデヴィッド・トゥーヒー監督・脚本、そしてダーレン・アロノフスキーが脚本(原案)・製作を手掛けた2002年作品。第二次大戦中のアメリカ海軍潜水艦内を舞台にした密室スリラー映画。

公開当時はあまりヒットしたという話は聞きませんでしたが、ザ・シネマで放送していたのを久々に見たら、結構面白かった。

「潜水艦に女を乗せるのは不吉」というジンクスを上手く利用したオリヴィア・ウィリアムズのキャラの使い方とか、潜水艦という逃げ場のない場所でジワジワと精神を蝕まれていく乗組員の描写とか、事件の真相の見せ方(『羅生門』風と言えなくもない?)とか、クセ者脚本家ふたりの持ち味がよく出てるんじゃないかと。

映画の中盤で「俺たちは独軍艦なんか沈めてないんだ。沈められたのは実は俺たちの方なのさ」なんて観客のオチ予測を先読みしたかのようなセリフを乗組員に言わせちゃうあたりも、ひねくれ者(多分)のトゥーヒーらしい脚本だなーと思ったり。

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The Saint

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地震のニュースとか東電の会見ばかり見ていると、ストレスが溜まって精神衛生上とてもよくないので、気分転換にザ・シネマで放送中の『セイント』(97)を久々に見てみました。近年すっかりでっぷりして顔がデカくなってしまったヴァル・キルマーが、まだギリギリ二枚目役を演じられた頃の映画。

内容はまぁ可もなく不可もなく、ソツなくまとまったハーレクイン風ロマンティック・アクション映画といったところでしょうか。エマ・ラッセル博士役のエリザベス・シューが最高にカワイイので、つい最後まで見てしまいましたが。

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PANDORUM

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「ポール・W・S・アンダーソン=『バイオハザード』シリーズの監督」として知られていますが、個人的には『イベント・ホライゾン』(97)こそアンダーソン監督のベスト作品ではないかと思っています。

そんなわけで、日本公開前から楽しみにしていたアンダーソン製作のSFホラー『パンドラム』(09)ですが、これが期待通りの面白さ。日本の劇場公開時は大した宣伝もされず、ひっそり公開してひっそり上映終了になってしまった印象があるのですが(確かパンフレットも作られなかったはず)、この映画、ヘタなSF大作よりよっぽど見応えがありました。

ジャンル的には限定空間型ホラーといったところでしょうか。宇宙船内のみで物語が進行するところも『イベント・ホライゾン』と同じ。宇宙船と呼ぶには異様な造形のエリジウム号のデザインも、鈍色の寺院といった趣だったイベント・ホライゾン号のデザインを踏襲していて嬉しい限り。このメタリックな世界観、好きな人にはたまらないはず。オススメです。

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ナルニア国物語/第3章:アスラン王と魔法の島(音楽について)

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『ナルニア』シリーズはこれまでハリー・グレッグソン=ウィリアムズが音楽を担当していましたが、監督がマイケル・アプテッドに交代した事により、音楽担当もアプテッドご贔屓のデヴィッド・アーノルドに代わりました。

アーノルドといえば、最近はすっかり「007映画の専属作曲家」という感じになりましたが、一連の007シリーズで聞かせている「オーケストラ+打ち込み」という作風とはうって変わって、今回の『アスラン王と魔法の島』では全編正統派のフルオケ・スコアを聞かせてくれています。アーノルドが活劇タッチの音楽を作曲するのは、三銃士をメイド・イン・香港チックなワイヤーアクションで撮った珍奇な映画『ヤングブラッド』(01)以来になると思われます。

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ナルニア国物語/第3章:アスラン王と魔法の島(映画について)

先月末にTOHOシネマズ 六本木ヒルズで試写を観てきたのですが、『ナルニア』を映画館で観るのは今回が初めてでした。

1作目も2作目もスターチャンネルで放送していたやつを観たのですが、上映時間が2時間以上で、その割には合戦シーンがあっさりしていてイマイチ盛り上がらないなーという印象でございました(まぁ、基本的に子供向けの映画ですから・・・)。

が、今回は上映時間が1時間52分とタイトにまとまっているうえに、映画終盤の大ウミヘビとのバトルシーンが結構迫力がありまして、シリーズ中一番よく出来てるのでは? と思いました。「『アバター』品質の3D映像!」かどうかは正直微妙ですが。

さて『ナルニア』シリーズといえば、ハリポタとか指輪物語に比べると「子役が地味」というイメージがあったわけですが、ペベンシー兄妹のうち、あっさり顔の長男ピーターといしのようこ似の長女スーザンは前作でナルニア卒業となったため、今回は次男のエドマンドと末っ子のルーシーが晴れて主人公となりました。エドマンド役のスキャンダー・ケインズがなかなかのハンサム君に成長してまして、美少年好きの女性映画ファンはとりあえずこの点だけでも本作を押さえておいて損はないかと。僕の友達(女性)は「エドマンドは絶対成長したらイケメンになる」と1作目の時から確信していたそうですが、彼女の読みは当たってました。

ダニエル・ラドクリフは、この先どんな役を演じてもずっとハリー・ポッターのイメージがついて回る気がするし、イライジャ・ウッドはあの「ぱっちりおめめ」が役の幅を狭めている印象があるのですが、スキャンダー君はいい意味で色がついていないので、他の映画でもソツなくいろんな役を演じる事が出来るんじゃないかなーと思う。

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