エレクトリック・ミスト 霧の捜査線(In The Electric Mist):音楽について

in the electric mist

『エレクトリック・ミスト』の音楽を手掛けたのは、『スクリーム』シリーズでおなじみのマルコ・ベルトラミ。何でもベルトラン・タヴェルニエ監督が『メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬』(05)の音楽を気に入って、「マルコ・ベルトラミに音楽を作曲してもらおう」と思ったらしい。僕はてっきりトミー・リー・ジョーンズが「この映画の音楽にはベルトラミがいいぞ」と推薦したものとばかり思ってましたが。

監督直々のご指名を受けたマルコさんは、ケイジャン音楽のリサーチのため、相棒のバック・サンダースと共にオールドアメリカン・ミュージックの大御所ダーク・パウエルのスタジオに籠もってケイジャン音楽を聞きまくったそうです。

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『イースターラビットのキャンディ工場』の音楽

HOP_JP

前回この映画について、「子供に付き合って映画を見に来たオトナを退屈させない作り」と書きましたが、それは日本語吹替えに限った話ではなくて、もともとの映画自体がそういう作りになってます。

主人公のイービーの声が、アクの強いR指定のコメディアンのラッセル・ブランドだし、80年代の人気スター、デヴィッド・ハッセルホフが本人役で特別出演しているし、プレイボーイ・マンションのシーンでインターフォン越しに喋っているのはヒュー・ヘフナー本人だし、ゲームソフト会社のシーンではブラインド・ボーイズ・オブ・アラバマ(本人)とイービーのジャム・セッションまで聞けてしまう。劇中、こんな感じで大人向けの小ネタがところどころに挿入してあります。

あとは劇中の挿入歌。イービーがハリウッドを放浪するシーンでポイズンの”Every Rose Has Its Thorn”が流れたり、フレッド(ジェームズ・マースデン)とイービーが末っ子の学芸会(?)でバウ・ワウ・ワウの”I Want Candy”を歌ったり(エンドクレジットではコーディ・シンプソンのカヴァー版が使われてます)、妙に懐かしい選曲。これは明らかに「いま現在小さいお子さんのいるお父さん・お母さん」対象の選曲でしょう。

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『イースターラビットのキャンディ工場』の日本語吹替え

HOP_US

先頃、都内某所で『イースターラビットのキャンディ工場』の試写を見てきました。実写とCGを組み合わせたファミリー向けのコメディー映画です。

主役のウサギ、イービーの日本語吹替えが山寺宏一氏、プータロー青年フレッド役のジェームズ・マースデンの吹替えが『天装戦隊ゴセイジャー』の千葉雄大という”宮城県出身コンビ”だったので、もしかしたらその縁で宮城県在住の自分がライナーノーツを担当する事になったのかしらん、と考えてみたり。ま、ただの偶然かもしれませんが。

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カーズ2(音楽について)

cars 2

今回の『カーズ2』(11)は個人的にイマイチ乗り切れなかったわけですが(前回のブログ参照)、それは映画を見る前に聞いたサントラ盤がなかなかイイ出来だったから。音楽の良さに期待を膨らませすぎた分、本編でのメーターの想像以上のジャージャー・ビンクスっぷりにガッカリ来てしまったと。

というわけで、本日はサントラ盤の事をダラダラと。今回のアルバムも前作同様「歌モノ+オリジナルスコア」という構成で、歌モノ5曲にスコアが21曲の全26曲収録。

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カーズ2(映画について)

うーん、今回はメーター(おとぼけオンボロレッカー車)が主役なのね・・・。『カーズ2』というより、メーターが主役のスピンオフ映画と言った方がいいかもしれませぬ。

前作『カーズ』(06)では助演キャラだったので、メーターの自覚のないトラブルメーカー&空気の読めなさっぷりもギリギリ許容範囲だったのですが、今回はほとんど主役級の扱いなのでおバカっぷりもパワーアップ(泣)。最初から最後までトンチンカンな言動を繰り返すし、正直見ていてツラかった・・・。劇中、マックィーンが「僕はメーターにひどい事を言ってしまった」と後悔するシーンがありましたが、少なくとも日本のパーティーのシーンで彼が言ってた事は正論じゃないかと思うけどなぁ。

メーターに感情移入できないのは自分が屈折しているせいだろうか?と思ったものの、メーターをジャージャー・ビンクスと評した感想を結構見かけたので、まぁ自然な反応なのかな、と思った次第。どうもアメリカ人は「自覚のないおバカキャラ」を面白がる傾向があるらしい。ジャージャー(ま、コイツはSWファンに嫌われましたが)とかアダム・サンドラーとか、日本人にはチト笑えない芸風かと。

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