仕事で『ブラザー・ミッション ライド・アロング2』のスコア盤を聴いたら、思った以上によい出来のアクションコメディ音楽だったお話。

以前のブログでも2度ほどお知らせしたランブリング・レコーズさんのBack Lot Music旧作サントラ15タイトル国内仕様リリース企画。3月も5タイトルが発売になりました。
その中でワタクシが音楽解説を書かせて頂いていたのが、『ブラザー・ミッション ライド・アロング2』(16)。説明不要かとも思いますが、『ライド・アロング ~相棒見習い~』(14)の続編です。

『ブラザー・ミッション ライド・アロング2』オリジナル・サウンドトラック(amazon)
『ブラザー・ミッション ライド・アロング2』オリジナル・サウンドトラック(TOWER RECORDS)

主演のアイス・キューブ、ケヴィン・ハート、助演のティカ・サンプター。ブルース・マクギル、監督のティム・ストーリー、スコア作曲のクリストファー・レナーツが続投。

クリストファー・レナーツといえば、ワタクシ10年近く前に『イースターラビットのキャンディ工場』(11)のスコア盤に音楽解説を書かせて頂きまして、その時の差込解説書にも書いたのですが、レナーツは「歌曲が目立つ映画でスコアを作曲している人」で、ヒット作(主にコメディ映画)でいい仕事をしていても、なかなかサントラリスナーに注目されない印象がありました。『イースターラビットのキャンディ工場』も、『アルビン/歌うシマリス3兄弟』(07)も、『ソーセージ・パーティー』(16)もそういうタイプの映画だった。

2000年代でレナーツのスコアをじっくり聴きたかったら、ゲームソフト『メダル・オブ・オナー』の初期作(「ライジングサン」「パシフィックアサルト」「ヨーロッパ強襲」)あたりを聴くしかなかった。

でも最近はNetflixの『ロスト・イン・スペース』(18~)やAmazonの『ザ・ボーイズ』(19~)の音楽を担当していて、スコアアルバムもリリースされているので、徐々に注目されつつあるのかなという感じです。
日本で最もレナーツのスコアを真剣に聴いている(…と自分では思ってます)ワタクシにとっては、彼が好調なのは大変嬉しく思います。

…とまぁそんなわけで『ライド・アロング2』の音楽解説も心を込めて書かせて頂いたわけですが、音源を聴いたら当方の思った以上に聴き応えのあるスコア(劇伴)だったので、楽しいお仕事でもありました。

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『イースターラビットのキャンディ工場』の音楽

HOP_JP

前回この映画について、「子供に付き合って映画を見に来たオトナを退屈させない作り」と書きましたが、それは日本語吹替えに限った話ではなくて、もともとの映画自体がそういう作りになってます。

主人公のイービーの声が、アクの強いR指定のコメディアンのラッセル・ブランドだし、80年代の人気スター、デヴィッド・ハッセルホフが本人役で特別出演しているし、プレイボーイ・マンションのシーンでインターフォン越しに喋っているのはヒュー・ヘフナー本人だし、ゲームソフト会社のシーンではブラインド・ボーイズ・オブ・アラバマ(本人)とイービーのジャム・セッションまで聞けてしまう。劇中、こんな感じで大人向けの小ネタがところどころに挿入してあります。

あとは劇中の挿入歌。イービーがハリウッドを放浪するシーンでポイズンの”Every Rose Has Its Thorn”が流れたり、フレッド(ジェームズ・マースデン)とイービーが末っ子の学芸会(?)でバウ・ワウ・ワウの”I Want Candy”を歌ったり(エンドクレジットではコーディ・シンプソンのカヴァー版が使われてます)、妙に懐かしい選曲。これは明らかに「いま現在小さいお子さんのいるお父さん・お母さん」対象の選曲でしょう。

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