BANGER!!!で書いた『レクイエム・フォー・ドリーム』4Kリマスター見どころ&音楽紹介コラムの補足

先日、「BANGER!!!」で『レクイエム・フォー・ドリーム』(00)の見どころ&音楽紹介コラムを書きました。

観客を悪夢に引きずり込む“映像・演技・音楽”を解説!伝説のトラウマ映画『レクイエム・フォー・ドリーム』4Kで復活|BANGER!!! https://www.banger.jp/movie/161989/

映画音楽物書きの当方としては、この機会にクリント・マンセルの音楽を思う存分ご紹介したかったのですが、先方は「トリビア多め」な内容をご希望でしたので、あのような構成になりました。

個人的には裏話とか逸話を得意気に書く構成はあまり好きではないし、この映画の主要キャストのすさまじい役作りの話はつとに有名だから、トリビアネタで何を書くべきか悩みました。

その結果タピー・ティボンズ役のクリストファー・マクドナルドについて言及している人はあまりいないのではないかと思い、もともと好きな俳優さんでもあったので、文字数を多めに割いて彼の熱演をご紹介した次第です。2026年になってピーター・ガブリエルの”The Barry Williams Show”の話を出してくる人もあまりいないと思うし。

ちなみにタピーのテレビショーの場面は1日で撮ったというから、すごい集中力です。

そんなわけで、当方のブログではBANGER!!!のコラムで書ききれなかったネタとか補足しておきたいネタ、マンセルの劇伴についてより深く掘り下げたいことなどを書いていきたいと思います。

まずはクリント・マンセルの劇伴についてもっと詳しく書かせて頂きます。

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映画版『DOOM』のデラックス・エディション版サントラを購入。クリント・マンセルのギターロック劇伴を満喫しました。

Varèse Sarabandeから2,000枚限定でリリースになった『DOOM』(05)のデラックス・エディション版サントラを買いました。スコア作曲はクリント・マンセル。

DOOM: The Deluxe Edition Soundtrack Album – TOWER RECORDS
デジタル版はこちら↓
Doom (Original Motion Picture Soundtrack / Deluxe Edition) – amazon music

自分は映画公開当時通常盤サントラを買いましたが、こちらも収録時間が60分くらいあって、スコアの選曲もツボを押さえていて満足度の高い内容でした。

デジタル版の通常版サントラです↓
Doom (Original Motion Picture Soundtrack) – amazon music

今回のデラックス・エディションはCD2枚組で、Disc1が収録時間56分、Disc2が44分くらい。
通常盤と同じくナイン・インチ・ネイルズの”You Know What You Are”(Clint Mansell Remix)もちゃんと収録してます。
デラックス・エディションであり「スコア完全盤」であるとも言えるでしょう。

マンセルといえば『π』(98)や『レクイエム・フォー・ドリーム』(00)のような、作家性の強い映画の音楽を好んで手掛けることが多い作曲家というイメージを持っていたので、『DOOM』やその前年の『サハラ 死の砂漠を脱出せよ』(04)のような作品の音楽を手掛けたのが当時すごく意外に思えたものです。

しかし以前書いた『π』のサントラに関するブログでも言及したとおり、マンセルはダーレン・アロノフスキーと「最近の映画音楽はつまらない」「ジョン・カーペンターの『ハロウィン』(78)と『要塞警察』(76)の音楽は最高だ」と語り合って意気投合したということなので、『DOOM』のような映画にも興味があったのだと後年分かりました。

したがってこの『DOOM』は、”やっつけ仕事”ではないマンセル渾身のSFアクションホラー音楽が聴ける作品ということになるわけです。

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『π』のデジタルリマスター版が劇場公開になるので、音楽のことなどを振り返ってみる。

3月14日に映画『π』(98)のA24版デジタルリマスター版が劇場公開になるそうです。

自分がこの映画を観たのは、某理系私大の学生だった頃でした。
フェニル基を持った有機化合物のねじれ角ポテンシャルパラメータだか何だかを算出する作業に明け暮れていた時期で(卒業研究のテーマがそんな感じの内容だったのです)、毎日研究室でも自宅でもPCの画面で数字とにらめっこしていたので、『π』の主人公マックスの苦悩が他人事とは思えなかった。

この映画を観たあと「あまり根を詰めて実験したり測定したりすると病んでしまいそうだから、程々にしておこう…」と思った次第です。

この時期はテクノ系のアーティストのアルバムをよく聴いていたし、『ワイプアウトXL』なんかでもよく遊んでいたので、オービタルやマッシヴ・アタック、エイフェックス・ツインらが参加した『π』のサントラは大変魅力的で、映画を観る前に購入しました。
「踊れるテクノ」というよりも、実験音楽色の強いIDM(インテリジェント・ダンス・ミュージック)のコンピレーションという内容。ちなみにポップ・ウィル・イート・イットセルフ(以下PWEIと表記)のことをよく知らなかった自分が初めて買ったクリント・マンセルのサントラでもありました。

で、先にサントラを聴いて映画本編を観たら、劇中で使われていない曲がいくつもあったのでした。
「え? これインスパイア盤だったの?」と思ってサントラ盤をよく見てみると、「MUSIC FROM THE MOTION PICTURE」ではなく「MUSIC FOR THE MOTION PICTURE」と意味深長なことが書いてある。

この記述は一体…!? としばらく悩んだものの、答えが見つからず、その後すっかり忘れておりました。
しかしリマスター版が公開になるということで、ちょっと調べ直してみることにしました。

π(パイ) ― オリジナル・サウンドトラック – amazon

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『ゴースト・イン・ザ・シェル』音楽雑感

遅ればせながら、
先日『ゴースト・イン・ザ・シェル』(17)を観てきました。

ワタクシ『攻殻機動隊』は95年の劇場映画と『イノセンス』(04)、
テレビシリーズの『STAND ALONE COMPLEX』を鑑賞済で、
原作マンガを途中で挫折して、
『ARIZE』は観ていないという程度の攻殻フォロワーですが、
そのレベルのワタクシが今回の実写版を観た印象だと、
「様々な手法で表現できる壮大な物語のひとつの解釈」としては、
実写版のストーリーもアリではないかという感じです。

欲を言えば、イシカワのネットに潜入しての情報収集シーンをもっと観たかったなと思いましたが。

ワタクシの場合、今回の実写版『攻殻』最大の関心は音楽でございましたので、
ここでは音楽について思ったことをあれこれ書かせて頂きます。

 

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『ハイ・ライズ』は音楽でも階級社会を痛烈に風刺する。

high-rise

都内での劇場公開から遅れること約一ヶ月、
先日遅ればせながらヒエラルキー崩壊スリラー『ハイ・ライズ』(15)を観てきました。

そういう映画だということは分かっていましたが、
ポスタービジュアルなどでスタイリッシュさを前面に出しつつ、
映画開始数分でゴミ屋敷のような不潔でカオスな映像を見せられるという構成が強烈でしたね。。。
その後はエロ・グロ・インモラル・デカダンスな展開の連続。

 

「上層階に行くにつれて住民が富裕層になっていく」
「電力などの供給は上層階優先」
「下層階の住人の陳情は基本的に後回し(もしくは放置)」
…というとんでもないマンションですが、
「入居時に管理者側からルールの説明があったんじゃないの?」と思ったものの、
マンションの設計者ロイヤル氏(ジェレミー・アイアンズ)の言動を見ていると、
たぶん肝心なことは一切説明しなかったんだろうなと思いました。
こんなマンション、お金があっても絶対住みたくない…。

ことほどさようにイギリスの階級社会を痛烈に皮肉った本作ですが、
音楽もなかなかシニカルでした。

 

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