Film Music Magazineが選ぶ2015年のベスト・フィルムスコア10選

chappie

映画音楽専門誌…というか、
映画音楽情報サイトのFilm Music Magazineが、
今年のベスト・フィルムスコアを10タイトルと、
The Runners-Upの作品を10タイトル、
注目すべきニューカマーの作曲家を選出していました。

http://www.filmmusicmag.com/?p=15503

専門サイトの作品選びというのは往々にして過度にマニアックだったり、
映画音楽通を気取った感じのものだったりもするのですが、
ここのサイトのトップ10はサントラビギナーにも優しい作品が並んでいて、
ワタクシの感覚とも割と合ってるセレクトになってましたねー。

 

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『キングスマン』は劇中使用曲の選曲センスもキレッキレだった!…の巻

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Pomp and Circumstance (From “Kingsman: The Secret Service”) – amazon MP3

前回『キングスマン』(14)のオリジナル・スコアについて書かせて頂いたので、今回は映画本編で使われた既製曲について。

マシュー・ヴォーン監督作品のシニカルかつ意表を突く選曲センスには『レイヤー・ケーキ』(04)の時から注目しておりましたが(デュラン・デュランの”Ordinary World”の使い方とか)、今回の選曲もなかなかすごかった…。
曲数的には『キック・アス』(10)の時よりも少ないのですが、選曲の裏に込められたユーモアのドギツさは『キック・アス』以上でした。

ひとまず使用曲をざっとリストアップしてみると大体こんな感じ。

Money For Nothing
Written by Mark Knopfler / Sting
Performed by Dire Straits

Bonkers
Written by Dizzee Rascal (as Dylan Mills) / Armand Van Helden
Performed by Dizzee Rascal & Armand Van Helden

Feel the Love
Written by Piers Agget (as Piers Aggett), Kesi Dryden,
Amir Amor (as Amir Izadkhah), John Newman
Performed by Rudimental

Free Bird
Written by Allen Collins / Ronnie Van Zant
Performed by Lynyrd Skynyrd
Courtesy of MCA Records Inc.

Pomp & Circumstance
Written by Edward Elgar

Give It Up
Written by Deborah Carter / Harry Wayne Casey (as Harry Casey)
Performed by KC & The Sunshine Band

Slave To Love
Written by Bryan Ferry
Performed by Bryan Ferry

Get Ready For It
Written by Gary Barlow / Howard Donald /
Mark Owen / Steve Robson
Performed by Take That

Heavy Crown
Written by Iggy Azalea / Jon Turner / Jon Shave /
George Astasio / Jason Pebworth / Ellie Goulding & Salt Wives
Performed by Iggy Azalea and Ellie Goulding

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シンフォニックでスタイリッシュ、そしてメロディアスな『キングスマン』の音楽

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Kingsman: The Secret Service – Original Motion Picture Score (amazon)
Kingsman: The Secret Service – Original Motion Picture Score (TOWER RECORDS)

9月は『ピクセル』(15)と『キングスマン』(14)がほぼ同時公開ということで、図らずもヘンリー・ジャックマンの音楽担当作品がまとめて公開されることになりました。

マシュー・ヴォーンの監督作では『レイヤー・ケーキ』(04)が一番好きで、『X-MEN:ファースト・ジェネレーション』(11)も結構よかったかなと思うのですが、『キック・アス』(10)は正直なところ周囲の盛り上がりほど作品に乗れなかった部分が多々ありまして、特にヒットガールに関してはハートを奪われるどころか無双が凄絶で恐ろしさすら感じた始末でした。

なので今回の“キレッキレ”なるキャッチコピーが踊る『キングスマン』はどうかなーと思ったのですが、まあ思っていたよりは面白かったかなと。相変わらず劇中かなりハデに殺生をやってくれますが、当方の想像よりも血生臭くない見せ方をしていたのでこれならいいんじゃないかと。自分の感覚で例えるなら『ブレイド』(98)のバンパイア消滅描写に近い感じ。

作り手側のスタンスも比較的フェアというか何というか、階級意識(エリート意識)の強い人とか、政界・財界のセレブな人たちとか、ロンドン下町のチンピラとか、キリスト教原理主義者とか、スマホ中毒の現代人とか、過激な環境保護論者とか、そういう人たちを等しく皮肉りまくっている。
そんな中で大殺生ショーを繰り広げた結果、最後に“Manners Maketh Man”というテーマに帰結するという屈折したユーモアセンスが刺さる人には刺さるのではないかと。

というわけで本編の感想はこのへんにして、『キングスマン』の音楽について書かせて頂きます。

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レトロゲーマー激燃え映画『ピクセル』は80年代「ファミコン通信」読者必見かも…?の巻

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ジョニー・マーのLiquiroom公演の翌日、
ワタクシ仕事で『ピクセル』(15)のマスコミ試写に行ってきたのでした。
懐かしのゲームキャラが地球侵略にやってくるアレです。

この映画、本国での評価が賛否真っ二つで、
アダム・サンドラーのギャグも前半いささかキレがなかった(想定の範囲内)ものの、
NYのパックマンバトルあたりからだんだん盛り上がってきて、
帰りの新幹線の車内でプレス資料を見ながら映画の内容を思い出していたら、
何だかんだで満足感のある105分だったじゃないの!面白いよコレ!と思いました。
で、先日twitterでもちょこっと書きましたが、
帰宅して仕事場の本棚を見たらハッと気づいたわけです。

「この映画『しあわせのかたち』の実写版みたいだったんだ!」と。

 

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アクション映画音楽ファン必聴! 意外かもしれませんが『ピクセル』の劇伴は燃えるフルオケ・サウンドです!

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「世界がピコピコ崩壊する」がキャッチフレーズのレトロゲーム・ディザスター映画『ピクセル』(15)。
劇中音楽は人気作曲家のヘンリー・ジャックマンが担当しております。
今秋日本公開予定の『キングスマン』(14)とか、
『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』(14)とか、
『ベイマックス』(14)の音楽を手掛けた人ですね。
本作への起用のキッカケとなったのはやはり『シュガー・ラッシュ』(12)だと思いますが。

何しろレトロゲームキャラが大量出演する映画ですから、
今回の音楽も『シュガー・ラッシュ』寄りのポップなスタイルか、
あるいはもっとピコピコした音を多用した曲作りをするのだろうなと予想していましたが、
ジャックマンは『ピクセル』で普遍的なスタイルのフルオケ・スコアを作曲していました。
テクノポップっぽい電子音はほとんど使ってません。
いやーこれは少々驚きました。

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