優雅でポップでメロディアス、隠し味にはちょっとした緊張感。 映画『二ツ星の料理人』の音楽

Burnt(Score)

ワタクシ今の仕事を10年以上やっておりますが、ブラッドリー・クーパー主演作のサントラの仕事をしたことがなくて、いつかやってみたいなーと常々思っていたのですが、念願叶って『BURNT』こと『二ツ星の料理人』(15)のサントラ盤(スコア盤)にライナーノーツを書かせて頂くことになりました。

映画のあらすじを簡単にご紹介しますと、過去にトラブルを起こして料理界から姿を消した天才シェフのアダム・ジョーンズ(ブラッドリー・クーパー)が、今度こそ悲願の「ミシュランの三ツ星」を獲得してやると心に誓い、過去の悪習慣を一切断ってロンドンのホテルレストランで再起を図るというお話。

 

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『JASON BOURNE』の音楽がジョン・パウエル&デヴィッド・バックリーに決まったらしいので…

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アイデンティティーとスプレマシー、
アルティメイタムの三部作で完結したはずの『ジェイソン・ボーン』シリーズですが、
こんな大ヒットコンテンツをハリウッドが簡単に終わらせるはずもなく、
『JASON BOURNE』(16)として再始動することになりました。

まぁ続編を作るにあたってストーリー的にも無理がない脚本が出来て、
ポール・グリーングラス監督もマット・デイモンもやる気になったので、
それぞれの思惑が一致してのシリーズ復活ということなのでしょう。

なおジェレミー・レナー主演の番外編『ボーン・レガシー』(12)も続編を作る予定はある…らしいです、一応。

 

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老舗喫茶店探訪記 番外編:「ネルヘン」のマスターと『サマータイム・キラー』のサントラ盤を語るの巻。

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青葉区花京院1丁目にひっそりと佇む喫茶店「ネルヘン」。
去年の2月くらいに初めてお邪魔した時は、
マスターのオジサンがえらく無口だったので、
正直ちょっと萎縮してしまったのですが、
その後「どうやらネルヘンのマスターは映画好きらしい」という情報を小耳に挟みまして、
(小耳に挟んだというよりネットで情報を知ったのですが)
それじゃあもう一度行ってみようかなと思ったのでした。

しかもそのネット情報によると、
ネルヘンのマスターは映画『サマータイム・キラー』(72)がお好きらしい。
『サマータイム・キラー』といえばアレですよ、
先日twitterにも書きましたが、
ランブリング・レコーズさんの「サウンドトラック名作選35」でリマスター盤が発売になったあの映画です。
ワタクシがこのタイミングでこのアルバムを買ったのも何かの縁ということで、
サントラ盤を持参してネルヘンに突入しました。

 

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母と子のドラマだからこそ見てほしい…!映画『ルーム』に出ているオジサンたちの名演技

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さて先週末から日本公開になった映画『ルーム』(15)。
「ブリー・ラーソンの演技すげぇ!」とか、
「ジェイコブ・トレンブレイ君の演技もすげぇ!」とか、
「トレンブレイ君かわいい」というような感想は既に出尽くしていると思うので、
ここではちょっと違った切り口から映画を観ていきたいと思います。

この『ルーム』という映画、
基本的に「母と子の物語」という構成になっておりまして、

「ママ(=ジョイ)とジャック」
「ばあば(=ナンシー)とママ」
「ばあばとジャック」

…の3人の関係が重要なんですね。
なので”大人の男性”の影が非常に薄い。
いや、影が薄いというより「出番が少ない」と言うべきか。
しかし彼らも少ない出番の中で忘れがたい名演を披露しているので、
このあたりを是非観ていただきたいと思うのであります。

 

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弦とピアノの音色が母と子の絆を描き出す…。映画『ルーム』の深遠なる音楽世界

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先月、サントラ盤ライナーノーツの仕事で『ルーム』(15)の試写を観てきました。
話には聞いていましたが、凄い映画でした。。
「感動した」とか「泣いた」とか、もうそういうレベルの話ではなくて、
観終わった後、「この世界で生きていくってどういうことなんだろう?」と数日考え込んでしまうような、
衝撃的かつ忘れがたい作品になっています。

こういう映画は事前情報をあまり入れずに観た方がいいと思うので、
ここでは映画の内容には極力触れずに、
音楽のことを中心に書かせて頂こうと思います。

 

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