ロックンローラ

東京から戻ってきてから、毎年恒例の花粉症の症状が出て来てしまいました。
どうもこの前の東京は花粉の飛散量が多かったらしく、花粉をたんまり
吸い込んで仙台に帰ってきてしまったらしいです。

これから拷問のような日々が続くのだなぁ、と思うとちょっとユーウツです。

ま、それはさておき、先日『ロックンローラ』(08)を観て参りました。

マドンナと結婚してすっかりダメになってしまったガイ・リッチー監督の復活作!
・・・として知られる同作ですが、何だか海外での前評判の割には、日本では
いつの間にか公開日が決まっていて、さしたる宣伝もないままガーデンシネマで
上映されていたような気がします。勿体ないなぁ。面白かったですよコレ。

お話の構成はいつもの通り。ロンドン不動産ビジネスの大金を巡って、マフィアの
ボス・レニー(トム・ウィルキンソン)とその腹心アーチー(マーク・ストロング)、
胡散臭いロシア人実業家(カレル・ローデン)とその会計士ステラ(タンディ・ニュー
トン)、街のチンピラ・ワンツー(ジェラルド・バトラー)とその仲間たち、そしてヤク
漬けのロックスター・ジョニー(トビー・ケベル)がてんやわんやの大騒ぎ(←死語)を
繰り広げるという感じ。

「何の接点もないキャラ同士が、やがて1つの事件で繋がっていくストーリー」、
「複雑にこんがらがったプロットを整理するクールなナレーション」、「ガチャガチャ
したカメラワーク」、「イカす音楽」。もう、やってる事はほとんど『ロック・ストック&以下略』
とか『スナッチ』(00)と全く同じ。

でも、これがいいんですな。だって、マドンナが主演ってだけでアレだった『スウェプト・
アウェイ』(02)とか、カバラ神秘主義にドップリ浸かってヤバ気な出来だった『リボ
ルバー』(05)とか、正直イマイチだったんだもん。「こんなガイ・リッチー映画は観たく
ない!」と誰もが思ったはず。

だから、こうして原点回帰してくれたのは素直に嬉しい。これなら次回作の『Sherlock
Holmes』(09)も期待していいような気がします。

キャストでは、ガキ大将がそのまま大人になったようなジェラルド・バトラーの演技が
なかなかいいですな。『P.S. アイラヴユー』(07)のやんちゃなダメ亭主が更にダメに
なった感じ(笑)。何か、この人が女性ファンに人気がある理由が分かった気がする。
こういうガキ大将っぽいところが母性本能をくすぐるんだろうな、きっと。

あと、マーク・ストロングは最近売れてますね。前日に観た『バビロン A.D.』(08)にも
出てましたよ。『ワールド・オブ・ライズ』(08)とか『リボルバー』にも出てましたしね。
確かにダンディーな感じでカッコいいよなぁ。「細身のアンディ・ガルシア」って感じかな。

サウンドトラックもナイスなコンピレーション。オープニングで派手に流れるBlack Strobeの
「I’m A Man」とか、ジョニーがクラブの用心棒をブチのめすシーンのThe Subwaysの「Rock &
Roll Queen」なんかはアッパーで最高。ワンツーとロシア人2人組のアクション・シーンの
The Hives「The Stomp」からThe Scientists「We Had Love」への流れなんて、映像との
見事なハマりっぷりに脱帽です。笑えるんだけどカッコイイというか。

特筆すべきは、若い頃のジョニーがThe Clashの「Bank Robber」を鏡の前で歌っていて
義父のレニーに折檻されるエピソードですかね。子供なのに選曲が実にシブイ(笑)。
こうしてみると、確かにジョニー・クイドこそ真のロックンローラですな。

未見の方は観ておいて損はないですぞ。

3月17日追記:『ロックンローラ』のサントラ盤は、Universal Musicからリリースになってます(輸入盤)。

    

東京出張

今日は映画『バビロン A.D.』の内覧試写で東京に来ております。

20世紀フォックスさんの試写室は何度も行った事があるのですが、
今日はいつもと違う行き方をしよう! ・・・と思ったところ、
南北線と三田線を乗り間違えてしまいました。我ながらおマヌー。

でも、試写の始まる15分前には何とか会場入り。
まぁ慣れない事はしない方がいいという好例ですな。

映画については、公開時期が近づいたら詳しく書かせて頂きます。
簡単に見所だけ紹介させて頂きますと、

1:K-1戦士ジェロム・レ・バンナとヴィン・ディーゼルのドツキ合い
2:特殊メイクを施したジェラール・ドパルデューの鼻(普段の1.5倍です)
3:シャーロット・ランプリングの女帝っぷり
4:RZAとシャヴォ・オダジアン(シスタム・オブ・ア・ダウン)のユニット
「Achozen」の挿入歌

・・・でしょうか。

え?全然本編と関係ないものばっかりじゃないかって?
ですからまぁ、詳しい事は後日改めてって事で・・・(出し惜しみ)。

ちなみに音楽は『バンテージ・ポイント』(08)のアトリ・オルヴァルッソンが
手掛けております。

そんなわけで、現在ライナーノーツ原稿をホテルにて鋭意制作中です。
ここのホテルはコーヒーが美味なので、部屋で仕事をすりゃいいのに
わざわざラウンジまで足を運んでしまうのです。

明日はレーベル関係の仕事をした後、恵比寿ガーデンシネマで
『ロックンローラ』(08)を観て仙台に帰ります。

   

Out of Noise

教授の新作『Out of Noise』を購入しました。

今回は「フルアートワーク盤」、「パッケージレス盤」、「アナログ盤」、「配信盤」の
4つのリリース形態だったわけですが、ワタクシは無難に「パッケージレス盤」を
チョイスしました。

学生の頃だったら迷うことなく「フルアートワーク盤」を選んだと思うのですが、
以前『Sweet Revenge』と『Smoochy』を初回限定盤で買ったら置き場所に困った、
という思い出があるので、今回はパッケージレス盤にしました。

それに、今月は幸宏さんの新譜『Page by Page』と再発盤でお金を使いそうだったので・・・。

さて本題の『Out of Noise』なんですが、うーん・・・ワタクシにはかなり難解かつ高尚な
感じでした。

commonsのメールマガジンや雑誌の記事などを読んで、大体こういう音楽になるだろう
とは思っていたのですが、想像以上に「ピアノ曲」(『BTTB』とか『トニー滝谷』みたいな
感じ)が少ないなぁ、と。その辺がちょっと意外な気もしました。

commonsmartのサイト内に教授本人の楽曲解説があるので、詳しくはそちらを
見て頂くとして、まぁ今回のアルバムは教授の音楽のコアなファン向きというか、
「家具の音楽(サティ)」、「ミュージック・コンクレート」、「アンビエント」、「ブライアン・イーノ」
というようなキーワードにピンと来た方向けの作品と言えるでしょう。

ワタクシは『音楽図鑑』を教授作品のベストに挙げている人間なので、あのような音楽は
もうやってくれないのかな、と思うと少々寂しくなったりします。

でもHASYMOのライヴで「Tibetan Dance」とか演ってるから、本人もああいうノリは今でも
嫌いじゃないとは思うんだよなぁ。あるいは今の教授の音楽嗜好でああいうサウンドを
やろうとすると、前回の『Chasm』みたいになるのでしょうか。

今回の『Out of Noise』、ワタクシは仕事中のBGMや就寝前のBGMとして楽しんでます。
このアルバムは論理的に「理解」して聴こうとすると(精神的に)相当疲れますが、肩肘
張らずにリラックスして聴くとあら不思議、ピアノ、弦、環境音といった音の層が心地よく
耳に入ってくるではありませんか。

そんなわけで、第一印象の難解さから解放されたワタクシは、現在このアルバムを
仕事場でリピートして聴いている毎日です。

    

クリスチャン at ECW

このブログに「WWE」のカテゴリを作ったのはいいものの、最近何だか
WWEのストーリー(特にRAW)が以前よりもつまらなくて、特に書きたいと
思う事がなくなってしまったのですが、いやー今日のECWは嬉しいものが
ありました。

「キャプテン・カリスマ」(CLBに非ず)クリスチャンがWWEに復帰ですよ!

ウチはFIGHTING TV サムライに加入していないので、スカパー!の
無料開放デーでしかTNAを観られなかったのですが、今度から毎週
またクリスチャンが観られるので嬉しい限り。

しかもECWで復帰というのが嬉しいじゃありませんか。最近のRAWは
ストーリーが辛気くさいから、どうせ復帰するならECWかSmackdown!が
いいなぁ・・・と思っていただけに、ナイス選択。

ワタクシのご贔屓のクリス・ジェリコとマット・ハーディーが、シリアスで
ヘビーでダークなヒール・キャラになってしまって凹んでいたのですが、
クリスチャンの復帰でまたモチベーションが上がりそうです。

クリスチャンといえば、映画『シューテム・アップ』(07)にチョイ役で出てましたが、
ありゃチョイ役というよりエキストラでしたな(セリフ無いし・・・)。
Jay Resoでクレジットされてるし、アレは言われなきゃ気付かないわ。

   

パッセンジャーズ

さてさて、本日は『レイチェルの結婚』(08)でアカデミー主演女優賞にノミネートされたアン・ハサウェイ主演作『パッセンジャーズ』(08)のご紹介です。

こういう映画は予備知識ナシで観に行った方が断然面白いので、ストーリーについては「飛行機事故の生存者をめぐるサスペンス」という程度で詳細は伏せさせて頂きます。ま、カンのいい人は途中で結末が分かるかもしれませんが、だからといって「オレ、オチが分かっちゃったもんねー」と得意顔で吹聴するのは野暮ってもんです。

この映画で重要なのは、そこに至る「過程」なんですな。サントラ盤の解説にも書きましたが、『パッセンジャーズ』は「結末」ではなく「過程」をじっくり味わって頂きたいと。ワタクシはハーヴェイ・カイテルの「あの映画」とか、ユアン・マクレガーの「あの映画」の世界観が大好きなので、ラストは不覚にも目頭が熱くなりました。

特にパトリック・ウィルソンの演技がいいんですよ。『リトル・チルドレン』(06)で「プロム・キング」を演じたあの人なんですが、この映画ではミステリアスな生存者エリックを演じております。登場した時は大惨事で死にかけた割には妙に平然としていて、診察を口実にクレアをナンパしたりするヤサ男なのですが、映画が後半に進むにつれて繊細かつ包容力のある面を見せてくれたりして、なかなかカッコイイではないかと思ってしまったわけです。

女性ドラマを得意とするロドリゴ・ガルシア監督だけあって、アン・ハサウェイもかわゆく撮れてます。一応キャリアウーマン的役どころなのでしょうが、イマイチ頼りない感じが萌えどころというか(笑)。全編出ずっぱりですし、「ハサウェイたんラブラブ」な人にも満足して頂けるかと。

さて『パッセンジャーズ』の音楽はといいますと、エドワード・シェアマーが担当してます。強烈な個性のあるアーティストではないので、いまいちメジャーになりきれない感はありますが、今回の音楽はアンビエント系でよい感じ。シェアマーといえば、『光の旅人 K-PAX』(01)というアンビエント・スコアの隠れた名作を世に送り出した実績があるわけですが、本作はその延長線上にある音楽といっていいでしょう。ピアノ(キーボード)のメランコリックな調べと、さざ波のように押しては退いていくシンセ・サウンドが心地よいです。特にエンドタイトル曲が出色なので、映画が終わっても席を立たない方がよろしいかと思います。

サントラ盤はランブリング・レコーズより3月4日発売です。輸入盤はハサウェイたんの顔が少々バタ臭い(?)感じで写っているので、ジャケットは国内盤の方が日本人の美的感覚に合っていると思います。

『パッセンジャーズ』オリジナル・サウンドトラック
音楽:エドワード・シェアマー
品番:GNCE7045
定価:2,625円