『タイタニック』20周年記念CD4枚組サントラ盤は、サントラリスナーとして買ってよかったアルバムだったと思う。

2017年にLa-La Land Recordsから『タイタニック』(97)の20周年記念サントラ盤がリリースされました。


全世界5,000枚限定、CD4枚組、36ページフルカラーブックレットという内容。
CDの内訳はディスク1と2で映画に使われたスコアを完全収録、
ディスク3に追加音楽とスコアの別バージョン、
ディスク4にイ・サロニスティが演奏した船内楽団の曲などのソースミュージックを収録といった具合。
価格は日本円にして9,000円前後。

ワタクシ『タイタニック』は映画史に残るスペシャルな映画だとは思うし、ジェームズ・ホーナーの音楽も好きなのですが、「何十回も観ました!」という映画ではなかったので、発売当初はこのサントラ盤の購入を見送っておりました。

しかし限定盤ということで、後になって欲しくなった時に在庫がなくなっていて、「やっぱり買っておけばよかった…」と後悔するのも嫌だったので思い切って購入。何度かアルバムを聴いた結果、「買って正解だったな」と思うようになりました。

正直なところ、ハンス・ジマーやジェームズ・ニュートン・ハワードのサントラに比べると、ホーナーの作品はそれほど買っていないのですが、そのぶん当方が所有している彼のサントラは強烈な映画体験、もしくは音楽体験をした作品が多くなっています。
『エイリアン2』(86)や『パトリオット・ゲーム』(92)、『今そこにある危機』(94)は前者で、『この森で、天使はバスを降りた』(96)や『ニュー・ワールド』(05)などは後者、『コマンドー』(85)はその両方かな…。『タイタニック』も映画それ自体のインパクトと音楽の素晴らしさの両方にノックアウトされた作品でした。

だから中古CDショップなどで『タイタニック』のサントラ盤(通常盤)が250円くらいで投げ売りされているのを見かけると、人知れず悲しい気持ちになったものです。
「それだけサントラが売れたってことなんだろうけど、売らずに手元に置いておこうよ…」と思ってしまうのですね。

金曜ロードショーで前後編に分けての放送があるということで、改めて『タイタニック』の音楽を聴いてみましたが、メロディの美しさに惚れ惚れしてしまう。
セリーヌ・ディオンの「マイ・ハート・ウィル・ゴー・オン」をはじめ、ヘイリーが歌った『ニュー・ワールド』の主題歌や、シャルロット・チャーチが歌った『ビューティフル・マインド』(01)の主題歌など、映画のメインテーマを歌モノに昇華させるホーナーのメロディメイカーとしての才能はズバ抜けてるなと

そしてホーナーは『タイタニック』の音楽で「1940年代のハリウッド大作のような音楽や、1912年の英国音楽的な手法は避けた」と語っているのが興味深い(ブックレットの解説書より)。時代物ではあるけれども、音楽はモダンな感覚で行きたいと。
そんな本作の”モダン”な要素を担っているのが、シンセサイザーの使用とシセルのヴォーカルだったわけです。
シンセはあからさまに使うのではなく、「皆がオーケストラしか使ってないだろうと思っているところに、色を添える感じで使っている」のだとか。
そういったコンテンポラリーな音楽表現にアイリッシュ音楽のエッセンスが加わることによって、『タイタニック』の唯一無二と言ってもいいドラマティックで美しいスコアが出来上がったと。個人的には『アバター』(09)より『タイタニック』の音楽のほうが好きです。

それにしても、『エイリアン2』はスケジュールの都合で短期間での作曲を余儀なくされ、ホーナーのスコアが本来の意図とは別なシーンで使われたり、曲自体が差し替えられたり散々な創作環境だったにもかかわらず、よくジェームズ・キャメロンとの再タッグが実現したなぁと今更のように思います。
もっとも『アビス』(89)はアラン・シルヴェストリ、『ターミネーター2』(91)と『トゥルーライズ』(94)はブラッド・フィーデルが担当したので、ホーナー×キャメロンのタッグが実現するまで11年かかったのもまた事実ですが。

同世代のジマーやJNH、ダニー・エルフマン、トーマス・ニューマンらが今も業界の第一線で活動しているのを見ると、やはりホーナーの早すぎる死(自身が操縦していた小型飛行機の墜落事故)が悔やまれます。もっとホーナーの新作が聴きたかった。

Mychael Danna & Jeff Danna『A Celtic Romance』好評発売中!
レーベルショップ
iTunes
A Celtic Romance: The Legend of Liadain and Curithir - Mychael Danna & Jeff Danna