『アイランド』の20周年リマスター拡張盤サントラを購入したので雑感。

先日、La-La Land Recordsから3,000枚限定でリリースになった『アイランド』(05)の公開20周年記念盤サウンドトラックアルバムを買いました。
「気が向いたときにブログで雑感を書けばいいや」と思っていたら、10月20日(月)にNHK BS「プレミアムシネマ」で放送があるということだったので、せっかくだからこのタイミングに合わせてブログを書こうと思い、急いで書きました。

【輸入盤国内品番】アイランド <リマスター拡張盤>(サウンドトラック)- amazon
オリジナル・サウンドトラック アイランド リマスター拡張盤(輸入盤国内品番)- TOWER RECORDS
The Island (20th Anniversary Remastered and Expanded Edition)<限定盤> – TOWER RECORDS

The Island (Original Motion Picture Soundtrack) – amazon music(旧Milan Records版)

映画公開当時Milan Recordsから出ていた通常盤のサントラは全15曲で収録時間が約56分。
劇伴集のサントラは40分前後のものが多かったので、スティーヴ・ジャブロンスキーの劇伴が14曲/50分近く聴けるこのアルバムは割と満足度が高かった(The Prom Kingの”Blow”をアルバム15曲目に収録)。なのでこの20年間結構よく聴いたサントラでした。

そして今回のCD2枚組La-La Land盤はというと、Disc 1とDisc 2にまたがって”Score Presentation”(映画で使われたバージョンの劇伴)を40曲収録し、さらにDisc 2には劇伴の別バージョンや別ミックスを”Additional Music”として収録。
映画の中で使われていた劇伴は100分くらいという計算になるのかな。本編が2時間16分だから分量的にそんな感じか。

『アイランド』の劇伴は「オーケストラ+電子音」という、いわゆる”ハンス・ジマー一派”のサウンド。ジャブロンスキーはリモート・コントロール・プロダクションズのメンバーなのでそうなるのは必然ではあるのですが、ジマーさんよりもむしろハリー・グレッグソン=ウィリアムズのサウンドに近い気がします。疾走感のあるリズムの使い方とか、そのリズムに重ねられるストリングスの浮遊感にHGWの影響が感じられる。
下積み時代に『アルマゲドン』(98)や『エネミー・オブ・アメリカ』(98)でHGWのサポートを務めていたから、現場でいろいろと学んだのでしょう。

映画が公開になったのが2005年ということもあって、それよりさらに10年前の『クリムゾン・タイド』(95)や『ザ・ロック』(96)の音楽に比べるとテーマ曲の打ち出し方はやや控えめですが、畳み掛けるようなリズムでグイグイ迫ってくるサウンドがなかなか聴き応えあります。

リズムがメインの曲は、川井憲次氏が『機動警察パトレイバー 劇場版 the Movie』のセルフライナーノーツで表現していた「ブラブラもの(=曲調に起伏がなく、映像を引き立てるための劇伴)」と捉えられがちなのですが、『アイランド』の劇伴はリズムメインの劇伴もしっかり面白いのがポイントかと。
打ち込みのリズムの組み立てが凝っているので聴き入ってしまうのです。

「2000年以降は『アイランド』みたいなアクション音楽が主流になっていくのかなぁ」などと思いながら当時サントラを聴いていましたが、実際はもっと抑え目でリアル志向のサウンドになっていった気がする。あまり派手にメインテーマを鳴らさず、映像との一体感を重視した劇伴というのかな。
個人的には”『ボーン・アイデンティティー』(02)の前と後”、そして”『ダークナイト』(08)の前と後”でハリウッドのアクション映画音楽の方向性が大きく変わったような気がします。『ボーン・アイデンティティー』公開後、多くのプロデューサーや監督があの映画の劇伴をテンプトラックに使うようになって、映画音楽家さんたちが困り果てたという話をどこかで読んだことがありましたし。

そんなわけで、20年前に流行ったスタイルのアクション映画音楽を存分に楽しめるという点でも、『アイランド』の拡張盤サントラは資料的価値の高いアルバムではないかと思います。

Gangster Squad (Original Motion Picture Score) – amazon music

ジャブロンスキーのサントラ盤は『L.A.ギャングストーリー』(13)以来10年ぶりくらいに買ったので、何だか新鮮な気持ちで曲を聴くことができました。

ところで当方が以前Xで「マッシヴ・アタックの”Inertia Creeps”みたいな曲」とポストした”Mass Vehicular Carnage”ですが、今回のLa-La Land盤では”Additional Music”扱いでした。たぶん「”Inertia Creeps”っぽい曲を作ってくれ」と言われたか、テンプトラックとしてこの曲を使っていたのではないかと思われます。
なお作曲はジャブロンスキーではなくクレイ・ダンカン。ブックレットに載っていたジャブロンスキーのインタビューによると、クレイ・ダンカンは「クールなエレクトロニック・サウンドの使い手」らしい。本作のスコア作曲にはブレイク・ニーリー、トレヴァー・モリス、クレイ・ダンカン、ラミン・ジャワディが参加していた模様。

「プレミアムシネマ」での放送を見たら、『アイランド』のサントラが欲しくなる方もいらっしゃるかもしれませんね。

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