第82回アカデミー賞 最優秀作曲賞ノミネート作品

第82回アカデミー賞ノミネート作品が発表になりました。まぁ今年は『アバター』(09)が
ほとんどの賞を獲ってしまうと思うので、イベントとしては面白味に欠けるような気もします。
が、しかし。仕事柄作曲賞の行方には興味があったりして。ノミネート作品は以下の通り。

ジェームズ・ホーナー:『アバター』(09)
アレクサンドル・デプラ:『Fantastic Mr. Fox』(09)
マルコ・ベルトラミ & バック・サンダース:『ハート・ロッカー』(08)
ハンス・ジマー:『シャーロック・ホームズ』(09)
マイケル・ジアッキノ:『カールじいさんの空飛ぶ家』(09)

『シャーロック・ホームズ』は先月サントラ盤の仕事で試写を観てきたばかりですが、
確かに面白い音楽でした。ジマーの場合、毎回作曲に携わるコンポーザーの数が
多いので、アカデミー賞の規定でノミネートの対象にならなかったりする事がある
わけですが(『ダークナイト』(08)とか)、今回は大丈夫だったらしい。

アトリ(・オルヴァルッソン)さんがアコーディオンを演奏しているので、個人的に
この中で一番思い入れのあるサントラです。そのうちブログでもちゃんとサントラに
ついて書かないといけませんな。

以前のブログで「マルコさんは『ハート・ロッカー』で作曲賞候補にならないのかな?」
などと書きましたが、本当に候補になりました。何度かインタビューした事のある方
なので、今回のノミネートは嬉しいものがあります。前回候補になった『3時10分、
決断のとき』(07)の音楽も素晴らしかったし。

ただ、今回はアカデミー会員ウケするようなタイプの音楽じゃないのがツライところ。
何か、「映画の評価が高いから、ついでに音楽も入れとくか」という感じで選んだような
気もする。

アレクサンドル・デプラは『記憶の棘』(04)あたりから英語圏での評価が高くなって
きましたが、今年は彼の中でもかなり異色の作品でのノミネート。こういう音楽も
イケる人だったのですね。西部劇のパロディ風スコアと申しましょうか。ハッキリ
言ってこの映画での受賞は難しそう。

ジアッキノはオスカーを獲ったら「TVゲーム音楽畑出身で初のオスカー受賞者」
という快挙を成し遂げるのですが、果たしてどうなるか(グラミー賞とゴールデン・
グローブ賞は獲ったけど)。
『M:I:3』(06)でインタビューした時、この方は「スコアにデジタル音を使いすぎると、
映画から人間味が失われてしまう」と言ってました。生音・フルオケにこだわって
曲を作る、正統派の映画音楽家さんです。

それにしても、『カールじいさん』の音楽はこんなに評価が高いのに、未だにCDを
出さずに配信オンリーとはどうした事か。今からでも遅くないからCDでサントラを
出してくれ。

個人的にはジアッキノに受賞してもらいたいのですが、結局『アバター』のホーナーが
獲ってしまったりして…。